Debian GNU/Linux インストールガイド 製作著作 ? 2004, 2005 the Debian Installer team 本マニュアルはフリーソフトウェアです。GNU 一般公有使用許諾にそって、配布・改変 する事ができます。付録 E. GNU General Public License のライセンスを参照してくだ さい。 概要 この文書は PowerPC (「powerpc」) アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 3.1 システム (コードネーム「sarge」) のインストール説明書です。また、さらに詳しい情報へのポ インタや、ほとんどの新しい Debian システムに対応した構築法に関する情報も含んで います。 警告 このインストールガイドは、旧 Debian インストールシステム (「boot-floppies」) 用 に書かれた初期のマニュアルをベースにしており、新しい Debian インストーラ用に更 新しています。しかし powerpc について、完全には更新・事実関係チェックが行われて いません。不完全・時代遅れだったり、まだ boot-floppies インストーラのマニュアル のままの部分が残っているかもしれません。このマニュアルの新版 (このアーキテクチ ャに対して、できる限りよく書かれています) は、インターネット (debian-installer home page) で見つけられます。またそこで追加の翻訳も見つかるでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目次 powerpc 用 Debian GNU/Linux 3.1 のインストール 1. ようこそ Debian へ 1.1. Debian とは? 1.2. GNU/Linux とは? 1.3. Debian GNU/Linux とは? 1.4. Debian の入手 1.5. このドキュメントの最新版の入手 1.6. この文書の構成 1.7. 著作権およびソフトウェアライセンスについて 2. 必要なシステム 2.1. サポートするハードウェア 2.1.1. サポートするアーキテクチャ 2.1.2. CPU・マザーボード・ビデオのサポート 2.1.3. グラフィックカード 2.1.4. マルチプロセッサ 2.2. インストールに利用できるメディア 2.2.1. フロッピーディスク 2.2.2. CD-ROM/DVD-ROM 2.2.3. ハードディスク 2.2.4. USB メモリースティック 2.2.5. ネットワーク 2.2.6. Un*x・GNU システム 2.2.7. サポートする記憶装置 2.3. 周辺機器やその他のハードウェア 2.4. GNU/Linux に適したハードウェアの購入 2.4.1. 独占的・閉鎖的なハードウェアを避ける 2.4.2. 似非ないし「仮想」パリティ RAM 2.5. 必要なメモリとディスクスペース 2.6. ネットワーク接続機器 3. Debian GNU/Linux のインストール前に 3.1. インストールプロセスの概要 3.2. 既存データをバックアップしてください! 3.3. 必要な情報 3.3.1. 文書 3.3.2. ハードウェア情報の取得先 3.3.3. ハードウェア互換性 3.3.4. ネットワークの設定 3.4. 必要な最低限のハードウェア 3.5. マルチブートシステムでの事前パーティション分割 3.5.1. MacOS/OSX のパーティション分割Partitioning 3.6. インストール前に行うハードウェア・OS の設定 3.6.1. OpenFirmware の起動 3.6.2. 気をつけるべきハードウェアの問題 4. システムインストールメディアの入手 4.1. 公式 Debian GNU/Linux CD-ROM セット 4.2. Debian ミラーサイトからのファイルのダウンロード 4.2.1. どこでインストールイメージを探すか 4.3. ディスクイメージからのフロッピーの作成 4.3.1. Linux や Unix システムでのディスクイメージの書き込み 4.3.2. DOS, Windows, OS/2 でのディスクイメージの書き込み 4.3.3. MacOS からのディスクイメージの書き込み 4.4. USB メモリスティックでの起動用ファイルの準備 4.4.1. ファイルのコピー -- 簡単な方法 4.4.2. ファイルのコピー -- 柔軟な方法 4.5. ハードディスク起動ファイルの準備 4.5.1. OldWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動 4.5.2. NewWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動 4.6. TFTP ネットブート用ファイルの準備 4.6.1. BOOTP サーバの設定 4.6.2. DHCP サーバの設定 4.6.3. TFTP サーバの立ち上げ 4.6.4. TFTP イメージを適切な場所に配置する 4.7. 自動インストール 4.7.1. Debian インストーラを用いた自動インストール 5. インストールシステムの起動 5.1. PowerPC でのインストーラの起動 5.1.1. CD-ROM からの起動 5.1.2. ハードディスクからの起動 5.1.3. USB メモリスティックからの起動 5.1.4. TFTP での起動 5.1.5. フロッピーからの起動 5.1.6. PowerPC ブートパラメータ 5.2. ブートパラメータ 5.2.1. Debian Installer パラメータ 5.3. インストールプロセスのトラブルシューティング 5.3.1. フロッピーディスクの信頼性 5.3.2. 起動設定 5.3.3. カーネルの起動時メッセージの意味 5.3.4. バグレポータ 5.3.5. インストールレポートの送信 6. Debian Installer の使用法 6.1. インストーラの動作 6.2. コンポーネント入門 6.3. それぞれのコンポーネントの使用法 6.3.1. Debian Installer のセットアップとハードウェアの設定 6.3.2. パーティション分割とマウントポイント選択 6.3.3. 基本システムのインストール 6.3.4. システム起動可能化 6.3.5. 第 1 ステージ完了 6.3.6. その他 7. 新しい Debian システムを起動させる 7.1. 決着のとき 7.1.1. OldWorld PowerMacs 7.1.2. NewWorld PowerMacs 7.2. Debian 起動後の (基本) 設定 7.2.1. タイムゾーンの設定 7.2.2. ユーザとパスワードの設定 7.2.3. PPP の設定 7.2.4. APT の設定 7.2.5. パッケージのインストール 7.2.6. ソフトウェアインストール中の質問 7.2.7. メール配送エージェントの設定 7.3. ログイン 8. 次のステップとそれから 8.1. Unix を初めてお使いになる方へ 8.2. Debian に慣れる 8.2.1. Debian パッケージングシステム 8.2.2. アプリケーションの種類の管理 8.2.3. cron ジョブ管理 8.3. さらなる文書や情報 8.4. 新しいカーネルのコンパイル 8.4.1. カーネルイメージの管理 A. インストール Howto A.1. 前置き A.2. インストーラを起動する A.2.1. CD-ROM A.2.2. Floppy A.2.3. USB メモリスティック A.2.4. ネットワークからの起動 A.2.5. ハードディスクからの起動 A.3. インストール A.4. インストールレポートを送ってください A.5. そして最後に... B. Debian でのパーティション分割 B.1. Debian のパーティションとそのサイズを決める B.2. ディレクトリツリー B.3. お勧めするパーティションルール B.4. Linux におけるデバイス名 B.5. Debian のパーティション分割プログラム B.5.1. 最近の PowerMac でのパーティション分割 C. ランダムビット C.1. Preconfiguration ファイルサンプル C.2. Linux のデバイス C.2.1. マウスのセットアップ C.3. タスクに必要なディスクの空き容量 C.4. Unix/Linux System システムからの Debian GNU/Linux のインストール C.4.1. はじめに C.4.2. debootstrap のインストール C.4.3. debootstrap の実行 C.4.4. 基本システムの設定 C.4.5. カーネルのインストール C.4.6. ブートローダのセットアップ D. 付記 D.1. この文書について D.2. この文書への貢献 D.3. 多大な貢献 D.4. 商標表示 E. GNU General Public License E.1. Preamble E.2. GNU GENERAL PUBLIC LICENSE E.3. How to Apply These Terms to Your New Programs 表目次 3.1. インストールに必要なハードウェア情報 3.2. 最低限必要なシステム (推奨値) powerpc 用 Debian GNU/Linux 3.1 のインストール Debian を試していただきありがとうございます。 Debian の GNU/Linux ディストリビ ューションは、他に類を見ないものであることを分かっていただけることでしょう。 Debian GNU/Linux は、世界中から質の高い「自由なソフトウェア」をよりすぐり、首尾 一貫したディストリビューションとしてまとめあげられています。こうして集められた ものは、個々のソフトウェア以上の力を発揮することでしょう。 多くの方は、このマニュアルを読まずに Debian をインストールしたいと思っているこ とでしょう。また、それが可能なように Debian インストーラは設計されています。イ ンストールガイド全体を読む時間がなければ、インストール Howto (基本的なインスト ールプロセスをご案内します) と、追加情報やうまくいかないときのための、マニュア ルへのリンクを読むことをお奨めします。インストール Howto は、付録 A. インストー ル Howto にあります。 そうは言っても、このマニュアルのほとんどを読んでくださることを望んでいますし、 読むことでより多くの知識を得られ、よりインストールがうまくいきやすくなるでしょ う。 第1章ようこそ Debian へ 目次 1.1. Debian とは? 1.2. GNU/Linux とは? 1.3. Debian GNU/Linux とは? 1.4. Debian の入手 1.5. このドキュメントの最新版の入手 1.6. この文書の構成 1.7. 著作権およびソフトウェアライセンスについて この章では、Debian プロジェクトと Debian GNU/Linux の概略を紹介します。 Debian プロジェクトの歴史と Debian GNU/Linux についてすでにご存知でしたら、この章を飛 ばして構いません。 1.1. Debian とは? Debian は、有志の集まってできた団体で、フリーソフトウェアを開発し、Free Software Foundation (フリーソフトウェア財団) の理想を推進することを目的としてい ます。Debian プロジェクトは 1993 年に、比較的新しい Linux カーネルをもとにした 、完全で一貫性あるディストリビューションの制作のために、Ian Murdock が開発者を 広く募ったときに始まりました。献身的なファンたちの比較的小さな団体は、最初 Free Software Foundation によって支援を受け、 GNU の哲学に影響されていましたが、数年 後には 900 人もの Debian 開発者を抱える組織になりました。 Debian 開発者はさまざまな活動に参加しています。例えば、 Web や FTP サイトの管理 、グラフィックデザイン、ソフトウェアライセンスの法律的な分析、文書の執筆、そし てもちろん、ソフトウェアパッケージのメンテナンスです。 私たちの哲学を伝え、Debian が支持する原則を信じている開発者を引き寄せるために、 Debian プロジェクトは、私たちの価値の概略を述べ、Debian 開発者であるとはどうい うことかという指針とするために、多数の文書を発表しています: ● Debian 社会契約は、Debian のフリーソフトウェアコミュニティへの関与について 述べたものです。この社会契約を守ることに同意する人は、誰でもメンテナになる ことができます。メンテナは誰でも、Debian に新しいソフトウェアを追加すること ができます -- そのソフトウェアが私たちの条件に照らしてフリーであり、パッケ ージの品質が基準を満たしていれば。 ● Debian フリーソフトウェアガイドライン (DFSG) は、フリーソフトウェアに関する Debian の基準を明確かつ簡潔に述べたものです。この DFSG は、フリーソフトウェ ア運動において非常に影響力のある文書で、オープンソースの定義のもととなった ものです。 ● Debian ポリシーマニュアルは、 Debian プロジェクトの品質基準を詳しく定めたも のです。 Debian 開発者は、ほかの多数のプロジェクトにも関与しています。それらのプロジェク トには、Debian 固有のものもあり、Linux コミュニティの一部や全体に関係するものも あります。例えば、 ● Linux Standard Base (LSB) は、基本的な GNU/Linux システムを標準化し、サード パーティのソフトウェア・ハードウェア開発者が (特定の GNU/Linux ディストリビ ューションではなく) 一般的に Linux 向けにプログラムやデバイスドライバを簡単 に設計することができるようにすることを目的としたプロジェクトです。 ● Filesystem Hierarchy Standard (FHS) は、Linux のファイルシステムのレイアウ トを標準化しようという試みです。これによって、ソフトウェア開発者はパッケー ジが様々な GNU/Linux ディストリビューションにどのようにインストールされるか を心配することなしに、プログラムのデザインに努力を集中することができます。 ● Debian Jr. は、 Debian を若年ユーザに提供できるようなものにするための内部プ ロジェクトです。 より一般的な情報については、 Debian FAQ を参照して下さい。 1.2. GNU/Linux とは? Linux はオペレーティングシステム (あなたとコンピュータの間に立ち、他のプログラ ムを実行させる一連のプログラム) です。 オペレーティングシステムは、様々な基礎的なプログラムを含んでいます。それらによ って、コンピュータは、ユーザと交信したり指示を受け取ったり、ハードディスクやテ ープ、プリンタにデータを読み書きしたり、メモリの使い方を制御したり、他のソフト ウェアを実行したりすることができます。オペレーティングシステムの最も重要な部分 は、カーネルです。 GNU/Linux システムにおいては、Linux がカーネルです。システム の残りの部分は、他のプログラムでできており、その大部分は GNU プロジェクトによっ て書かれたものです。Linux カーネルだけでは動作するオペレーティングシステムを構 成できませんので、多くの人が日常的に「Linux」と呼ぶシステムのことを、私たちは「 GNU/Linux」と呼ぶようにしています。 Linux は Unix オペレーティングシステムを手本にしています。当初から、Linux はマ ルチタスク、マルチユーザシステムとして設計されました。この事実により、Linux は 他の有名なオペレーティングシステムに対し、十分差別化できています。しかし、Linux はあなたが想像するよりもさらに異なっています。他のオペレーティングシステムとは 対照的に、誰も Linux を所有しません。その開発の多くは無償のボランティアによって 行われます。 後に GNU/Linux になるものの開発は 1984 年、フリーソフトウェア財団が GNU という Unix ライクなオペレーティングシステムの開発を始めたときに始まりました。 GNU プロジェクトは、Unix (tm) や、Linux などの Unix ライクなオペレーティングシ ステムと共に使うための一連のフリーソフトウェアツールを開発してきました。これら のツールは、ファイルのコピー・削除といった日常的な作業から、プログラムの作成・ コンパイルや様々なドキュメントフォーマットの高度な編集といった作業までを可能に します。 多くのグループや個人が Linux に寄与する中で、最大の単独貢献者はいまだに (Linux の中で使用されるほとんどのツールだけでなく哲学も作成した) フリーソフトウェア財 団と、 Linux を可能にしたコミュニティーです。 Linux カーネルは、 Linus Torvalds というフィンランド人の計算機科学の学生が 1991 年に、Usenet の comp.os.minix ニュースグループに Minix の代替カーネルの初期バー ジョンを公表したのが始まりです。 Linux International の Linux 史のページ参照し て下さい。 Linus Torvalds は、数人の信用できる協力者の助けを得て、数百人の開発者の仕事を調 整し続けています。 linux-kernel メーリングリストにおける議論のすばらしい要約が 、毎週 Kernel Traffic で読むことができます。linux-kernel メーリングリストのより 詳しい情報は、 linux-kernel メーリングリスト FAQ で読むことができます。 Linux ユーザは、それらのソフトウェアの大きな選択の自由を持っています。例えば、 Linuxユーザは、1 ダースの異なるコマンドラインシェルや数種のグラフィカルデスクト ップの中から選ぶことができます。この選択できるということが、しばしばコマンドラ インやデスクトップを変更できるという考えに慣れていない、他のオペレーティングシ ステムのユーザを当惑させています。 Linux はまた、ほとんどクラッシュせず、複数のプログラムを同時に実行するのに優秀 で、多くのオペレーティングシステムより安全です。これらの利点により、Linux はサ ーバー市場で最も急成長しているオペレーティングシステムです。さらに最近、Linuxは 、ホーム・ビジネスユーザにも人気が出始めました。 1.3. Debian GNU/Linux とは? Debian の哲学や方法論と、GNU ツール・Linux カーネル・その他の重要なフリーソフト ウェアとを組み合わせることにより、Debian GNU/Linux と呼ばれるユニークなディスト リビューションが形成されています。このディストリビューションは、多数のソフトウ ェアパッケージから構成されています。ディストリビューションに含まれる個々のパッ ケージは、実行ファイル・スクリプト・ドキュメント・設定情報などから構成されてい ます。また各パッケージには、そのパッケージに責任を持つメンテナがいて、そのパッ ケージを最新に保ち、バグ報告を追跡し、パッケージにされているソフトウェアの上流 開発者と連絡をとることについて、第一に責任を負います。大きなユーザベースが、バ グ追跡システムとあいまって、問題がすぐに発見・解決されることを保証しています。 Debian は、細部に注意を払うことで、高品質で安定でスケーラブルなディストリビュー ションとなっています。小さなファイアウォールから科学用途のデスクトップワークス テーションやハイエンドネットワークサーバまで、様々な用途に合わせたインストール が可能です。 Debian は、技術的な優越性や Linux コミュニティーのニーズや期待への深いコミット メントによって、上級ユーザに特に人気があります。 Debian はさらに、現在 Linuxが 普通に持っている多くの特徴を導入しました。 例えば、Debian はソフトウェアの簡単なインストール・削除用にパッケージ管理システ ムを持った初めての Linux ディストリビューションでした。さらに、再インストールせ ずにシステムの更新ができる、初めての Linux ディストリビューションでした。 Debian は Linux 開発のリーダーであり続けています。その開発プロセスは (完全なオ ペレーティングシステムを構築し維持するような非常に複雑なタスクであったとしても) オープンソース開発モデルが、どれほどうまくいくことができるかの好例となっていま す。 Debian を他の GNU/Linux ディストリビューションと区別する最大の特徴は、パッケー ジ管理システムです。Debian システムの管理者は、システムにインストールされるパッ ケージに関して、ひとつのパッケージのインストールからオペレーティングシステム全 体の自動アップデートまで、完全に制御することができます。個々のパッケージをアッ プデートしないように設定することもできます。あなた自身がコンパイルしたソフトウ ェアについて、その依存関係を設定することもできます。 「トロイの木馬」や他の悪意あるソフトウェアからあなたのシステムを守るために、 Debian のサーバは、アップロードされてきたパッケージが登録された Debian 開発者か らのものかどうかを確かめます。また、Debian の各パッケージはより安全な設定となる ように細心の注意が払われています。もしリリースされたパッケージにセキュリティ上 の問題が発生すれば、その修正版は通常すぐに利用可能になります。 Debian の簡単な アップデートオプションによって、セキュリティ修正はインターネットを通じて自動的 にダウンロード・インストールすることができます。 あなたの Debian GNU/Linux システムについてサポートを受けたり、Debian の開発者た ちと連絡したりする第一の、そして最良の方法は、Debian プロジェクトが運営する多数 のメーリングリストを用いることです (この文章の執筆時点で 160 以上のメーリングリ ストがあります)。メーリングリストを簡単に講読するためには、 Debian メーリングリ スト講読ページを訪れて、フォームに必要事項を記入するとよいです。 1.4. Debian の入手 インターネットを通じて Debian GNU/Linux をダウンロードしたり Debian の公式 CD を購入したりするための情報については、入手方法についてのページを参照して下さい 。 Debian のミラー一覧には、Debian の公式ミラーサイトがすべて載っていますので、 もっとも近いサイトを簡単に探すことができます。 Debian は、インストール後に非常に簡単にアップグレードできます。このインストール 手順では、システムの設定についてお助けします。一度インストールがすんでしまえば 、必要に応じてこのようなアップグレードを行えるようになります。 1.5. このドキュメントの最新版の入手 この文書には絶えず変更が加えられています。 Debian GNU/Linux システムの 3.1 リリ ースに関する最新情報については、 Debian 3.1 ページにて確認してください。このイ ンストールマニュアルの最新版は、公式インストールマニュアルページからも利用でき ます。 1.6. この文書の構成 この文書は、初めて Debian をお使いになるユーザのために書かれたマニュアルです。 お手持ちのハードウェアの動作に関しては一般的な知識があることを前提としています が、なるべく専門的な知識がなくてもお読みいただけるよう心がけています。 また熟練したユーザであっても、この文書で、最低限インストールに必要な容量や、 Debian インストールシステムでサポートされるハードウェアの詳細など、参考になる情 報を得ることができるでしょう。熟練したユーザの方には、この文書のあちこちをかい つまんでお読みになることをお勧めします。 基本的にこの文書は、実際に体験するインストールのプロセスに沿って、順々に説明す るように構成されています。Debian GNU/Linux のインストールの各作業段階と、それに 関連するこの文書の各節は以下の通りになっています。 1. 章 2. 必要なシステムでは、お手持ちのハードウェアがインストーラのシステム要 件を満たしているかどうかを調べます。 2. 章 3. Debian GNU/Linux のインストール前にでは、既存のシステムをバックアップ し、 Debian のインストールに先だつシステム設計やハードウェアの設定を行いま す。もしマルチブートシステムを考えているのでしたら、ハードディスク上に、 Debian 用パーティションを作るための空き領域を作っておく必要があるかもしれま せん。 3. 章 4. システムインストールメディアの入手では、あなたのインストール方法のた めのインストールファイルを入手します。 4. 章 5. インストールシステムの起動では、インストーラを起動します。またこの章 では、起動に問題があった際のトラブルシューティングの手順についても紹介しま す。 5. 付録 B. Debian でのパーティション分割では、Debian システムのための Linux パ ーティションを作成します。 6. 章 6. Debian Installer の使用法に従って実際のインストールを実行してください 。ここでは言語選択、周辺機器のドライバモジュールの設定、 (CD からインストー ルしていない場合) 残りのインストールするファイルをデビアンサーバから直接取 得するようなネットワーク接続の設定、ハードディスクのパーティション分割、最 小構成のシステムのインストールを行います。 7. 章 7. 新しい Debian システムを起動させるでは、新しくインストールした基本シ ステムを起動し、いくつかの追加の設定を行います。 8. 項7.2.5. 「パッケージのインストール」では、追加ソフトウェアのインストールを 行います。 システムのインストールが終了したら、章 8. 次のステップとそれからを読んで下さい 。この章では、Unix や Debian に関する情報の探し方や、カーネルの交換の方法が説明 されます。 最後に、付録 D. 付記には、この文書に関する情報や貢献の方法が載っています。 1.7. 著作権およびソフトウェアライセンスについて この文書を読んでいる方は、多数の商用ソフトウェアにあるようなライセンス (購入し たソフトウェアのコピー 1 部を、1 台のコンピュータで使用できる) はご存知のことで しょう。しかし、このシステムはそのようなものとは違います。私たちは、あなたの通 っている学校や仕事場にあるすべてのコンピュータにインストールすることを勧めます 。また、友達に貸して、彼らのコンピュータにインストールするのを手伝ってあげまし ょう。さらには、わずかな制限にさえ気をつければ、何千部ものコピーを作って売るこ とも可能です。なぜなら、Debian はフリーソフトウェアに基づいているからです。 フリーソフトウェアとは著作権を持っていないという意味ではありません。また、この ソフトウェアを含む CD が無償で配布されなければならないという意味でもありません 。フリーソフトウェアとは、まず、個々のプログラムのライセンスにおいて、プログラ ムを利用したり再配付したりする権利のためにお金を払う必要がないことを意味してい るのです。また誰でも、そのソフトウェアを拡張したり、改造したり、修正すること、 さらにその成果を再配付することが可能であることも意味しています 注意 Debian プロジェクトでは、ユーザの実用性に関する妥協から、私たちのフリーの基準に 適合しないパッケージも利用できるようになっています。これらは公式なディストリビ ューションの一部ではありませんが、 Debian ミラーの contrib や non-free エリアま たはサードパーティ製 CD-ROM で入手できます。 Debian FAQ の「Debian FTP アーカイ ブ」の節をご覧ください。 このシステムに入っているプログラムの多くは、GNU 一般公有使用許諾 GNU General Public License 「(GPL)」にしたがって利用許諾されています。この GPL は、プログラ ムのコピーを配布するときには、必ずプログラムのソースコードを利用可能にしておく ことを要求しています。これは、ユーザがそのソフトウェアを変更できることを保証す るものです。そのため、私たちは、Debian システムに含まれる GPL 準拠のプログラム のソースコード^[1]をすべて収録しています。 Debian に収録されたプログラムの著作権やソフトウェアライセンスの形式には、他にも 数種あります。それぞれのプログラムの著作権やライセンスは、一度システムをインス トールすれば、 /usr/share/doc/パッケージ名/copyright ファイルを探せば見つけるこ とができます。 ライセンスや、Debian がメインディストリビューションにソフトウェアを収録する際に 用いているフリーの基準に関してより詳細な情報をお求めの場合は、 Debian フリーソ フトウェアガイドラインをご覧ください。 最も重要な法律上の注意点は、このソフトウェアが無保証であることです。これは、こ のソフトウェアを作成したプログラマらがコミュニティの利益を考えてのことです。ソ フトウェアは、いかなる目的への利用に対しても保証されていません。しかし、ソフト ウェアがフリーであるゆえに、ユーザには必要に応じてソフトウェアを修正する権限が 与えられます。また、このようにしてソフトウェアの拡張が誰かによってなされれば、 その利益も享受できます。 ━━━━━━━ ^[1] Debian ソースパッケージの探し方や展開の仕方やバイナリの作成方法に関する情 報については、 Debian FAQ の「Debian パッケージ管理システムの基本」をご覧くださ い。 第2章必要なシステム 目次 2.1. サポートするハードウェア 2.1.1. サポートするアーキテクチャ 2.1.2. CPU・マザーボード・ビデオのサポート 2.1.3. グラフィックカード 2.1.4. マルチプロセッサ 2.2. インストールに利用できるメディア 2.2.1. フロッピーディスク 2.2.2. CD-ROM/DVD-ROM 2.2.3. ハードディスク 2.2.4. USB メモリースティック 2.2.5. ネットワーク 2.2.6. Un*x・GNU システム 2.2.7. サポートする記憶装置 2.3. 周辺機器やその他のハードウェア 2.4. GNU/Linux に適したハードウェアの購入 2.4.1. 独占的・閉鎖的なハードウェアを避ける 2.4.2. 似非ないし「仮想」パリティ RAM 2.5. 必要なメモリとディスクスペース 2.6. ネットワーク接続機器 この節では、Debian を始めるために必要なハードウェアに関する情報を扱います。また 、GNU や Linux でサポートされるハードウェアに関するより詳しい情報へのリンクも用 意しました。 2.1. サポートするハードウェア Debian は、Linux カーネルや GNU ツールセットが必要とする以上のハードウェアを要 求しません。それゆえ、Linux カーネル、libc、gcc などが移植されていて、Debian の 移植版が存在すれば、どんなアーキテクチャやプラットフォームでも Debian を動作さ せることができます。すでに Debian でテストされている PowerPC アーキテクチャの詳 細は、移植版のページ (http://www.debian.org/ports/powerpc/) を参照してください 。 この節では、PowerPC でサポートされるハードウェアのさまざまな設定のすべてに触れ ることは避け、一般的な情報とさらなる情報が見つけられる場所へのポインタを紹介し ます。 2.1.1. サポートするアーキテクチャ Debian 3.1 は 11 の主要なアーキテクチャと、「フレーバー」と呼ばれる各アーキテク チャのバリエーションをサポートしています。 ┌───────────┬─────┬────────────┬──────┐ │ アーキテクチャ │Debian 名 │ サブアーキテクチャ │ フレーバー │ │ │ 称 │ │ │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │ │vanilla │ │ │ │ ├──────┤ │Intel x86 ベース │i386 │ │speakup │ │ │ │ ├──────┤ │ │ │ │linux26 │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │Atari │atari │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │Amiga │amiga │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │68k Macintosh │mac │ │Motorola 680x0 │m68k ├────────────┼──────┤ │ │ │ │bvme6000 │ │ │ │ ├──────┤ │ │ │VME │mvme147 │ │ │ │ ├──────┤ │ │ │ │mvme16x │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │DEC Alpha │alpha │ │ │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │ │sun4cdm │ │Sun SPARC │sparc │ ├──────┤ │ │ │ │sun4u │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │ │netwinder │ │ │ │ ├──────┤ │ │ │ │riscpc │ │ARM・StrongARM │arm │ ├──────┤ │ │ │ │shark │ │ │ │ ├──────┤ │ │ │ │lart │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │CHRP │chrp │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │PowerMac │pmac │ │IBM/Motorola PowerPC │powerpc ├────────────┼──────┤ │ │ │PReP │prep │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │APUS │apus │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │PA-RISC 1.1 │32 │ │HP PA-RISC │hppa ├────────────┼──────┤ │ │ │PA-RISC 2.0 │64 │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │Intel ia64 ベース │ia64 │ │ │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │ │r4k-ip22 │ │ │ │SGI Indy/Indigo 2 ├──────┤ │MIPS (ビッグエンディア│mips │ │r5k-ip22 │ │ン) │ ├────────────┼──────┤ │ │ │Broadcom BCM91250A │sb1-swarm-bn│ │ │ │(SWARM) │ │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │Cobalt │cobalt │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │ │r4k-kn04 │ │MIPS (リトルエンディア│mipsel │DECstation ├──────┤ │ン) │ │ │r3k-kn02 │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │Broadcom BCM91250A │sb1-swarm-bn│ │ │ │(SWARM) │ │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │ │ │VM-reader や DASD からの│generic │ │IBM S/390 │s390 │IPL │ │ │ │ ├────────────┼──────┤ │ │ │テープからの IPL │tape │ ├───────────┼─────┼────────────┼──────┤ │vmrdr │ │ │ │ └───────────┴─────┴────────────┴──────┘ この文書は PowerPC アーキテクチャへのインストールを扱います。なお、他のアーキテ クチャに関する情報については、 Debian 移植版ページをご覧ください。 2.1.2. CPU・マザーボード・ビデオのサポート サポートされる主な powerpc のサブアーキテクチャは、 PMac (Power-Macintosh), PReP, APUS (Amiga Power-UP System), CHRP の 4 つです。いずれのサブアーキテクチ ャも自身で起動する方法があります。さらに、異なる CPU の変種をサポートする、4 種 のカーネルフレーバーがあります。 Be-Box、MBX といった他の powerpc アーキテクチャへの移植は作業中ですが、まだ Debian ではサポートされません。また、将来的にはその 64bit 移植版もサポートする 予定です。 2.1.2.1. カーネルフレーバー Debian では CPU タイプに基づいて、 powerpc カーネルのフレーバーが 4 種類ありま す。 powerpc ほとんどのシステムはこのカーネルフレーバーを使用します。これは PowerPC 601, 603, 604, 740, 750, 7400 プロセッサをサポートしています。 G4 を含む Apple の Power Macintosh システムは、このいずれかのプロセッサを使用しています。 power3 POWER3 プロセッサは IBM の 64 ビットサーバシステムで使用されています。よく 知られたモデルは、IntelliStation POWER Model 265 や pSeries 610/640、 RS/ 6000 7044-170, 7043-260, 7044-270 です。 power4 POWER4 プロセッサは、つい最近の IBM 64 ビットサーバシステムで使用されていま す。よく知られたモデルは、pSeries 615, 630, 650, 655, 670, 690 です。 Apple G5 も POWER4 アーキテクチャをベースにしており、このカーネルフレーバー を使用します。 apus このカーネルフレーバーは、Amiga Power-UP System をサポートしています。 2.1.2.2. Power Macintosh (pmac) サブアーキテクチャ Apple (そしてたとえば Power Computing のような他のメーカー) は、 PowerPC プロセ ッサベースの Macintosh コンピュータを製造しています。アーキテクチャのサポートの 種類により、NuBus, OldWorld PCI, NewWorld に分類されています。 680x0 系のプロセッサを搭載した Macintosh コンピュータは、PowerPC 系ではなく代わ りに m68k マシンとなります。「Mac II」から始まり Centris 650 や Quadra 950 のよ うな 3 桁のモデルナンバーのものがこれに該当します。 Apple の iMac 以前の PowerPC モデルは 4 桁の数字になっています。 Nubus システムは debian/powerpc では現在サポートされていません。モノリシック Linux/PPC カーネルアーキテクチャがこれをサポートしていないのです。代わりに、こ れを使うには Debian ではまだサポートしていない MkLinux Mach マイクロカーネルを 使う必要があります。これには以下のものが該当します。 ● Power Macintosh 6100, 7100, 8100 ● Performa 5200, 6200, 6300 ● Powerbook 1400, 2300, 5300 ● Workgroup Server 6150, 8150, 9150 以上のマシン用の Linux カーネルは http://nubus-pmac.sourceforge.net/ で限定的に サポートされています。 OldWorld システムはフロッピードライブと PCI バスを備えた、ほとんどの Power Macintosh のことです。 603, 603e, 604, 604e ベースの Power Macintosh が OldWorld マシンです。ベージュの G3 システムも、OldWorld です。 対して NewWorld PowerMac と呼ばれるのが半透明の PowerMac です。すべての iMac, iBook, G4 システム, 青い G3 システム, 1999 年以降に製造されたほとんどの PowerBook が含まれます。 NewWorld PowerMac は、1998 年半ばから製造され、 MacOS 用に「ROM in RAM」システムを使用しています。 Apple のハードウェアの仕様は、 AppleSpec から、古いハードウェアに関しては AppleSpec Legacy から入手できます。 ┌────────────────────────────────┬────┐ │ Model 名/型番 │ 世代 │ ├─────────────────┬──────────────┼────┤ │ │iMac Bondi Blue, 5 Flavors, │NewWorld│ │ │Slot Loading │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │iMac Summer 2000, Early 2001│NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │iMac G5 │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │iBook, iBook SE, iBook Dual │NewWorld│ │ │USB │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │iBook2 │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │iBook G4 │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh Blue and │NewWorld│ │ │White (B&W) G3 │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh G4 PCI, AGP,│NewWorld│ │ │Cube │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh G4 Gigabit │NewWorld│ │ │Ethernet │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh G4 Digital │NewWorld│ │ │Audio, Quicksilver │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh G5 │NewWorld│ │Apple ├──────────────┼────┤ │ │PowerBook G3 FireWire Pismo │NewWorld│ │ │(2000) │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │PowerBook G3 Lombard (1999) │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │PowerBook G4 Titanium │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │PowerBook G4 Aluminum │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Xserve G5 │NewWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Performa 4400, 54xx, 5500 │OldWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Performa 6360, 6400, 6500 │OldWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh 4400, 5400 │OldWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh 7200, 7300, │OldWorld│ │ │7500, 7600 │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh 8200, 8500, │OldWorld│ │ │8600 │ │ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh 9500, 9600 │OldWorld│ │ ├──────────────┼────┤ │ │Power Macintosh (ベージュ) │OldWorld│ │ │G3 ミニタワー │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │Power Macintosh (ベージュ) デスク │OldWorld │ │ │トップ, オールインワン │ │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │PowerBook 2400, 3400, 3500 │OldWorld │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │PowerBook G3 Wallstreet (1998) │OldWorld │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │Twentieth Anniversary Macintosh │OldWorld │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │Workgroup Server 7250, 7350, 8550,│OldWorld │ │ │9650, G3 │ │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │ │PowerBase, PowerTower / Pro,│OldWorld│ │ │PowerWave │ │ │Power Computing ├──────────────┼────┤ │ │PowerCenter / Pro, │OldWorld│ │ │PowerCurve │ │ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │UMAX │C500, C600, J700, S900 │OldWorld│ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │APS │APS Tech M*Power 604e/2000 │OldWorld│ ├─────────────────┼──────────────┼────┤ │Motorola │Starmax 3000, 4000, 5000, │OldWorld│ │ │5500 │ │ └─────────────────┴──────────────┴────┘ 2.1.2.3. PReP サブアーキテクチャ ┌──────────────────────────────┐ │ モデル名 / モデル No │ ├──────┬───────────────────────┤ │ │Firepower, PowerStack Series E, PowerStack II │ │ ├───────────────────────┤ │ │MPC 7xx, 8xx │ │ ├───────────────────────┤ │Motorola │MTX, MTX+ │ │ ├───────────────────────┤ │ │MVME2300(SC)/24xx/26xx/27xx/36xx/46xx │ │ ├───────────────────────┤ │ │MCP(N)750 │ ├──────┼───────────────────────┤ │ │40P, 43P │ │ ├───────────────────────┤ │ │Power 830/850/860 (6070, 6050) │ │IBM RS/6000 ├───────────────────────┤ │ │6030, 7025, 7043 │ │ ├───────────────────────┤ │ │p640 │ └──────┴───────────────────────┘ 2.1.2.4. CHRP サブアーキテクチャ ┌──────────────────┐ │ モデル名 / モデル No │ ├──────┬───────────┤ │IBM RS/6000 │B50, 43P-150, 44P │ ├──────┼───────────┤ │Genesi │Pegasos I, Pegasos II │ └──────┴───────────┘ 2.1.2.5. APUS サブアーキテクチャ ┌──────────────────────────┐ │ モデル名 / モデル No │ ├───────────────┬──────────┤ │Amiga Power-UP Systems (APUS) │A1200, A3000, A4000 │ └───────────────┴──────────┘ 2.1.3. グラフィックカード Debian がサポートするグラフィックインターフェースは、 XFree86 の X11 System の サポートに基づいたものです。ほとんどの AGP, PCI, PCIe ビデオカードは XFree86 の 下で動作します。サポートされているグラフィックバス、カード、モニタ、ポインティ ングデバイスに関するより詳細な情報については、 http://www.xfree86.org/ をご覧く ださい。なお Debian 3.1 は XFree86 バージョン 4.3.0 を採用しています。 2.1.4. マルチプロセッサ マルチプロセッササポート (「対称型マルチプロセッシング」や SMP と呼ばれている) がこのアーキテクチャではサポートされています。しかし Debian 3.1 の標準カーネル イメージは SMP をサポートしていません。標準の非 SMP カーネルは SMP システムでも 起動できますから、インストールには問題ありません。標準カーネルは単に 1 番目の CPU を用います。 マルチプロセッサを利用するためには、Debian の標準カーネルを置き換える必要があり ます。その手順に関する話題は項8.4. 「新しいカーネルのコンパイル」にあります。現 時点 (カーネルバージョン 2.6.8) で SMP を有効にするためには、カーネルコンフィグ レーションの「Platform support」セクションにある「Symmetric multi-processing support」を選択してください。 2.2. インストールに利用できるメディア 本節は、Debian をインストールするのに、どのメディアを使用するかを決める助けとな るでしょう。例えば、マシンにフロッピーディスクドライブがあれば、 Debian をイン ストールするのに使用することができます。各メディアに対して利点と欠点を挙げた、 章全体をメディアに費やした章 (章 4. システムインストールメディアの入手) があり ます。一度そこへ行ったら、このページを参照したくなるかもしれません。 2.2.1. フロッピーディスク いくつかの状況では、最初の起動はフロッピーディスクから行う必要があるでしょう。 通常 3.5 インチ高密度 (1440 kB) フロッピードライブがあれば充分です。 CHRP フロッピーのサポートは、現在中断しています。 2.2.2. CD-ROM/DVD-ROM 注意 このマニュアルで「CD-ROM」と記述してある場合は、オペレーティングシステムから見 て等価なので、 CD-ROM・DVD-ROM と見なしてください。 (SCSI でも IDE/ATAPI でもな いような、非常に古く非標準な CD-ROM ドライブを除く) いくつかのアーキテクチャでは CD-ROM ベースのインストールをサポートしています。 起動可能な CD-ROM をサポートしたマシンでは、フロッピーを必要としない完全なイン ストールが可能です。 CD-ROM からの起動ができないシステムでは、そのほかのテクニ ックを組み合わせればインストールに CD-ROM を使えます。章 5. インストールシステ ムの起動を参照して一度他の方法で起動してください。 2.2.3. ハードディスク ハードディスクからインストールシステムを直接ブートするのは、多くのアーキテクチ ャで使える方法です。これは他の OS に、ハードディスク上にあるインストーラをロー ドするよう要求します。 2.2.4. USB メモリースティック 多くの Debian ボックスではシステムのセットアップやレスキュー用途のみにフロッピ ー・CD-ROM ドライブが必要です。サーバの操作をしている方は、そんなドライブを省略 して、システムのインストールや修復に USB メモリースティックを使用する事を既に考 えているでしょう。 2.2.5. ネットワーク またネットワーク越しにシステムを起動することもできます。 ネットワーク越しに起動を行い、すべてのローカルファイルシステムを NFS でマウント して、ディスクレスインストールをすることも一つの選択です。 オペレーティングシステムのカーネルをインストールした後は (基本システムインスト ール後の PPP を含め) 残りのシステムは FTP、HTTP 経由でネットワークインストール できます。 2.2.6. Un*x・GNU システム 他の Unix ライクシステムが稼働していれば、このマニュアルの残りで説明している debian-installer を使用しないで、 Debian GNU/Linux をインストールできます。この インストール方法なら、他の方法ではサポートしないハードウェアや、ダウンタイムを 用意できないユーザにとって便利です。この方法に興味があれば、項C.4. 「Unix/Linux System システムからの Debian GNU/Linux のインストール」へスキップしてください。 2.2.7. サポートする記憶装置 Debian の起動ディスクには、さまざまなシステムに最大限対応したカーネルが収められ ています。そのため残念ながら、まったく使われることのないたくさんのドライバがカ ーネルを肥大化させています (再構築の仕方は項8.4. 「新しいカーネルのコンパイル」 をご覧ください)。しかし、さまざまなハードウェアへ確実に Debian をインストールす るにはできるだけ幅広いデバイスをサポートするのが望ましいでしょう。 Linux カーネルでサポートされる外部記憶装置は、すべてこのブートシステムでもサポ ートされています。ただし現行の Linux カーネルは、 CHRP システムのフロッピーをま ったくサポートしていないことにご注意ください。 2.3. 周辺機器やその他のハードウェア Linux は、マウス、プリンタ、スキャナ、PCMCIA、 USB デバイスなどのさまざまなハー ドウェアに幅広く対応しています。しかし、システムのインストールに、これらのデバ イスが必要なわけではありません。 2.4. GNU/Linux に適したハードウェアの購入 Debian や他の GNU/Linux ディストリビューションをプリインストールしたシステムを 出荷しているベンダもあります。多少余分なお金がかかるかもしれませんが、ある程度 の安心を購入できることになります。このハードウェアは GNU/Linux でしっかりサポー トされていることが確信できるわけですから。 Linux がバンドルされたシステムを購入する場合でも、中古のシステムを購入する場合 でも、そのハードウェアが Linux カーネルでサポートされているか改めて確認すること が重要です。前述の参考資料の中に、そのハードウェアが挙げられているかどうかを確 認してください。 (もしいれば) 購入先の販売員には、Linux システムを購入すること を伝えましょう。また、Linux に友好的なハードウェアベンダを支援しましょう。 2.4.1. 独占的・閉鎖的なハードウェアを避ける あるハードウェアメーカーは、どのようにドライバを書いたらよいかをまったく教えて くれません。また、Linux のソースコード公開を妨げる NDA (非公開の同意) をしない 限り、文書を見せてくれないメーカーもあります。 これらのデバイスが Linux 上でまったく動作しないのは、それに関する文書を読むこと が許可されていないためです。このようなハードウェアを作っているメーカーに、文書 を公開するように要請してください。もしもたくさんの人たちが要請すれば、彼らも Linux が重要な市場であると認識するでしょう。 2.4.2. 似非ないし「仮想」パリティ RAM コンピュータを取り扱っているお店でパリティ付き RAM を購入するとき、もしかしたら 本当のパリティ付きのものではなく、仮想パリティのものを手に入れることになるかも しれません。仮想パリティ SIMM を見分けるには、パリティなしの同等の SIMM よりも チップがひとつだけ多く、かつその余分のチップが他のチップよりも小さいことでわか ります (常にこの識別が可能とは限りませんが)。仮想パリティ SIMM はパリティなしの メモリと同様のものです。それらは 1 ビットの RAM エラーを、パリティをサポートし たマザーボード上の本当のパリティ付き SIMM のようには知らせてくれません。もうこ れ以上、仮想パリティ SIMM にパリティなしの SIMM より高いお金を払ってはいけませ ん。もう少しお金を払って本当のパリティ付き SIMM を買いましょう。こちらは、ちゃ んと 8 ビットにつき 1 ビットのメモリを買うことになりますから。 PowerPC アーキテクチャの RAM に関する問題やどの RAM を買うべきかについての完全 な情報が必要ならば、 PC ハードウェア FAQ をご覧ください。 2.5. 必要なメモリとディスクスペース 最低でも 32MB の RAM と 110MB のハードディスクが必要です。最小限のコンソールベ ースシステム (全て標準パッケージ) には 250MB 必要です。 X Window System や、開 発プログラム、ライブラリなどのソフトウェアを、ある程度インストールするには、少 なくとも 400MB 必要になるでしょう。多かれ少なかれ完全なデスクトップシステムにす るには、数ギガバイトが必要になるでしょう。 2.6. ネットワーク接続機器 Linux カーネルがサポートしているすべてのネットワークインターフェースカード (NIC) が、起動ディスクにおいてもサポートされています。ただ、お使いになるネット ワークドライバをモジュールとしてロードする必要があるでしょう。 第3章 Debian GNU/Linux のインストール前に 目次 3.1. インストールプロセスの概要 3.2. 既存データをバックアップしてください! 3.3. 必要な情報 3.3.1. 文書 3.3.2. ハードウェア情報の取得先 3.3.3. ハードウェア互換性 3.3.4. ネットワークの設定 3.4. 必要な最低限のハードウェア 3.5. マルチブートシステムでの事前パーティション分割 3.5.1. MacOS/OSX のパーティション分割Partitioning 3.6. インストール前に行うハードウェア・OS の設定 3.6.1. OpenFirmware の起動 3.6.2. 気をつけるべきハードウェアの問題 本章は、インストーラを起動する前の、 Debian をインストールする準備について扱い ます。ここでは、データのバックアップ、ハードウェアに関する情報収集、必要な情報 の特定といったことを含みます。 3.1. インストールプロセスの概要 はじめに、再インストールについて述べておきます。 Debianで、システムの完全な再イ ンストールが必要になる状況は、非常にまれです。おそらく、もっともありそうなケー スはハードディスクの機械的な故障でしょう。 多くの普通のオペレーティングシステムが、重大な故障が起きたり、 OS の新バージョ ンへのアップグレードの際に、完全インストールを要求するかもしれません。完全な新 インストールを要求しなくても、使用するプログラムを新 OS で適切に動かすために再 インストールしなければなりません。 Debian GNU/Linux では、うまく行かない場合、OS を取り替えるのではなく修理できる ケースの方がはるかに多いでしょう。アップグレードでは大量のインストールは必要あ りませんし、常にその場でアップグレードできます。また OS のリリースが続いても、 プログラムにはほとんど常に互換性があります。プログラムの新バージョンが、より新 しい依存するソフトウェアを要求する場合、 Debian パッケージングシステムは、必要 なソフトウェアをすべて自動的に識別し、確実にインストールします。再インストール が必要ないように力を尽くしてきており、再インストールをしなくてはならないという のは、最後の手段であるというのがポイントです。インストーラは、既に存在するシス テムに対して再インストールするように、設計されていません。 ここでは、インストールプロセスの中で行う処理を一段階ずつまとめておきましょう。 1. インストールするハードディスクにある、既存のデータや文書のバックアップ。 2. インストールを始める前に、コンピュータの情報と必要な文書を集める。 3. ハードディスクに Debian のパーティションに使える領域を確保する。 4. インストーラと、そのマシンで必要な特殊なドライバファイルの場所を確認ないし ダウンロードする。(Debian CD ユーザは不要) 5. 起動テープ・フロッピー・USB スティックを作る。または起動ファイルを配置する 。 (ほとんどの Debian CD ユーザは CD のどれかから起動できます) 6. インストールシステムを起動する。 7. インストールする言語を選択する。 8. 可能なら、イーサネットネットワーク接続を有効にする。 9. Debian をインストールするパーティションを作成し、マウントする。 10. 自動で行われる基本システムのダウンロード・インストール・セットアップを監視 する。 11. Debian GNU/Linux と既存システムを起動するブートローダをインストールする。 12. 新しいシステムを初めて起動し、システムの初期設定を行う。 13. 追加ソフトウェア (タスクやパッケージ) を好みに応じてインストールする。 インストール中に問題があったら、どのステップのどのパッケージでつまずいたかを知 るお手伝いをします。このインストール劇の、そんな主演ソフトウェア俳優をご紹介し ます。 インストーラの debian-installer は、このマニュアルの主役です。ハードウェアを検 出して適切なドライバをロードし、 dhcp-client を使用してネットワーク接続を設定し 、基本システムパッケージをインストールするのに debootstrap を実行します。このプ ロセスで多くの俳優が、より小さな役を演じますが、初めて新しいシステムを起動する 時に、debian-installer はそのタスクを終えることになります。 新しい基本システムを起動する際、base-config は、ユーザの追加、時間帯の設定 (tzsetup)、パッケージインストールシステムの設定 (apt-setupを使用) を司ります。 その後で、関連プログラムのグループをインストールする taskselを起動します。その 後、個々のパッケージソフトを選べる aptitude を起動できます。 初めてシステムを起動する前で、debian-installer が完了した時には、システムを操作 するのに、非常に基本的なコマンドラインしかありません。モニタにウィンドウを表示 するようなグラフィカルインターフェースは、最終ステップで tasksel や aptitude を 使って選択しないとインストールされません。多くの Debian GNU/Linux システムは、 処理を行う上で本当ならグラフィカルユーザインターフェースを特に必要としないよう なサーバであるため、これはオプションとなっています。 X のシステムは、 debian-installer とは完全に分かれていて、実際には非常に複雑な ことに注意してください。 X ウィンドウシステムのインストールとトラブルシュートは 、このマニュアルの想定外です。 3.2. 既存データをバックアップしてください! インストールを始める前に、現在使用しているシステムのすべてのファイルをバックア ップしてください。今回が、最初から入っていたもの以外の OS をインストールする最 初の試みでしたら、おそらくディスクのパーティション分割をやり直して Debian GNU/ Linux 用の領域を作る必要があるでしょう。ディスクのパーティション分割作業では、 どんなプログラムを使ったとしても、ディスク上のすべてのデータを消してしまう可能 性はゼロではありません。インストールに用いられるプログラム群は、極めて信頼性が 高く、何年も使用されてきたものです。しかし、これらは強力な機能を持つことになる ので、誤動作が起こったときの被害も大きくなります。バックアップを取った後でも、 質問に答える前に充分注意し、よく考えて行動に移してください。ほんの数分間程余計 に配慮することで、何時間もの不要な作業を避けることができるかもしれません。 また、システムをマルチブートシステムにする (複数のオペレーティングシステムを共 存させる) 場合には、既にインストールされている OS の配付メディアが手元にあるこ とを確かめてください。特にブートドライブのパーティションを切り直す場合は、オペ レーティングシステムのブートローダや、場合によっては (Macintosh などでは) オペ レーティングシステムそのものを再インストールしなければならないかもしれません。 3.3. 必要な情報 3.3.1. 文書 3.3.1.1. インストールマニュアル 現在ご覧になっている文書です。それぞれプレーンテキスト、HTML、PDF 形式です。 ● install.ja.txt ● install.ja.html ● install.ja.pdf 3.3.1.2. ハードウェアの文書 しばしば、ハードウェアの設定や使用についての有用な情報を含んでいます。 3.3.2. ハードウェア情報の取得先 多くの場合、インストーラはハードウェアを自動的に検出することができます。しかし 、準備としてインストール前にハードウェアに習熟することをお奨めします。 ハードウェアの情報は次のようなところから集められます。 ● 各ハードウェアに付属してきたマニュアル。 ● コンピュータの BIOS 設定画面。この画面を表示させるには、コンピュータの起動 時に何らかのキーの組合せを入力します。この組合せについてはマニュアルを見て ください。 Delete キーの場合が多いようです。 ● 各ハードウェアのケースや箱。 ● 他の OS のシステムコマンドやシステムツール、ファイルマネージャの表示など。 こちらからは、 RAM やハードドライブのメモリに関する情報が得られることが多い です。 ● あなたの部門のシステム管理者や、インターネットサービスプロバイダ。こちらか らは、ネットワークや電子メールに関する設定情報が得られます。 表 3.1. インストールに必要なハードウェア情報 ┌───────┬─────────────────────────────┐ │ ハードウェア │ 必要な情報 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ │ドライブの台数 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │システムでの接続順序 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │IDE か SCSI か (大抵のコンピュータは IDE) │ │ハードディスク├─────────────────────────────┤ │ │利用できる空き領域 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │パーティション │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │他の OS がインストールされているパーティション │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ │メーカーと型番 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │サポートする解像度 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │水平同期周波数 │ │モニタ ├─────────────────────────────┤ │ │垂直同期周波数 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │サポートする色深度 (色数) │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │スクリーンサイズ │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ │形式: シリアル, PS/2, USB のいずれか │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │ポート │ │マウス ├─────────────────────────────┤ │ │メーカー │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │ボタンの数 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ │メーカーと型番 │ │ネットワーク ├─────────────────────────────┤ │ │アダプタの形式 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ │メーカーと型番 │ │プリンタ ├─────────────────────────────┤ │ │サポートする印刷解像度 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ │メーカーと型番 │ │ ├─────────────────────────────┤ │ビデオカード │利用できるビデオ RAM │ │ ├─────────────────────────────┤ │ │サポートする解像度と色深度 (モニタの機能もチェックするこ │ │ │と) │ └───────┴─────────────────────────────┘ 3.3.3. ハードウェア互換性 ブランドメーカーの製品の多くは、問題なく Linux で動作します。また Linux 向けの ハードウェアも日々進歩しています。しかし、それでもまだ Linux は、ある種の OS ほ どには多種多様なハードウェアに対応していません。 ハードウェアの互換性をチェックするには、 ● 新しいドライバが出ていないか、メーカーの web サイトを調べましょう。 ● エミュレーション情報を web サイトやマニュアルで調べましょう。あまり有名でな いブランドの場合、もっと有名なブランドのドライバや設定が使えることもありま す。 ● Linux のハードウェア互換性情報を、自分のアーキテクチャ向けの web サイトで調 べましょう。 ● 他に使ったことのあるユーザがいないか、インターネットで調べましょう。 3.3.4. ネットワークの設定 インストール対象のコンピュータがネットワークに 24 時間フルに接続されているなら ば (つまり、PPP 接続ではなく Ethernet やそれと同等な接続の場合)、ネットワーク管 理者に以下の情報を尋ねておかなければなりません。 ● ホスト名 (自分で決められるかもしれません) ● ドメイン名 ● コンピュータの IP アドレス ● ネットワークのネットマスク ● ネットワークにゲートウェイがある場合は、経路を向けるデフォルトゲートウェイ システムの IP アドレス ● DNS (Domain Name Service) サーバとして使用するネットワーク上のホスト 一方、管理者に DHCP サーバが利用でき推奨すると言われたなら、 DHCP サーバがイン ストールプロセスの間、コンピュータに直接提供するので、この情報は必要ありません 。 ワイヤレスネットワークが使用できるなら次の情報も探さねばなりません。 ● ワイヤレスネットワークの ESSID ● (適用できるなら) WEP セキュリティキー 3.4. 必要な最低限のハードウェア コンピュータのハードウェアに関する情報が集まったら、そのハードウェアが今から行 おうとしているインストールの条件に足るものであるかどうかをチェックしましょう。 やむを得ない場合は、以下に載っているリストよりは性能の劣るハードウェアでなんと かしなければならないこともあるでしょう。しかし、これらのお奨めを無視した場合は 、結局不満を感じる可能性が高くなってしまうと思います。 デスクトップシステムには OldWorld PowerPC, NewWorld PowerPC のいずれのモデルで も充分でしょう。サーバには最低 132 MHz のマシンをお勧めします。 表 3.2. 最低限必要なシステム (推奨値) ┌────────┬───────┬───────┐ │ 使い方 │ RAM │ハードディスク│ ├────────┼───────┼───────┤ │デスクトップなし│24 メガバイト │450 メガバイト│ ├────────┼───────┼───────┤ │デスクトップあり│64 メガバイト │1 ギガバイト │ ├────────┼───────┼───────┤ │サーバ │128 メガバイト│4 ギガバイト │ └────────┴───────┴───────┘ 以下には、よくある Debian システムの使い方の例を紹介します。関連したプログラム 群が使うディスク容量については、項C.3. 「タスクに必要なディスクの空き容量」から も情報が得られます。 標準的なサーバ 小規模かつ簡素なサーバで、気難しいシェルユーザをあまりたくさんは抱えていな い場合の値です。 FTP サーバ、ウェブサーバ、DNS、NIS、POP をやらせるとしたら 、ディスク領域は 100MB で足りるでしょう。後は提供するデータに応じた容量を追 加する必要があるでしょう。 デスクトップ 標準的なデスクトップマシンで、X Window System、全デスクトップ環境、サウンド 、エディタなどが入ります。標準デスクトップタスクを使用すれば、約 2GB が必要 ですが、それより少なくても実行できます。 作業コンソール さらに贅沢を省いたマシンで、X Window System や X アプリケーションはカットし たものです。ラップトップ・モバイルコンピュータにいいかもしれません。サイズ はだいたい 140MB くらいです。 開発機 Perl, C, C++ といった開発用のパッケージをすべて含んだデスクトップです。 X11 や他の用途にもいろいろなパッケージを追加するとすると、およそ 800MB くらいを 予定しておくべきでしょう。 これらのサイズには、通常存在するユーザファイル、メール、データなどは含まれてい ないことにご注意ください。自分のファイルやデータに必要な容量は、気前良く確保し ておくに越したことはありません。特に、/var パーティションには、ログファイルのよ うな一般的な内容に加え、Debian 特有の状態情報が多く置かれます。 dpkg のファイル (インストールされたパッケージすべてに関する情報) は、簡単に 20MB を消費します。 また apt-get は、インストールする前にダウンロードしたパッケージをここに置きます 。 /var には最低 100MB は割り当てておくべきでしょう。 3.5. マルチブートシステムでの事前パーティション分割 「ディスクのパーティション分割」とは、ディスクをセクションに分けることです。各 セクションは他のセクションから独立しています。この作業は要するに、家の中に壁を 作るようなものです。ある部屋に家具を入れても、それは他の部屋には影響しないとい うわけです。 システム上に既にオペレーティングシステムが入っていて、同じディスクに Linux も入 れたい場合には、ディスクのパーティション分割をやり直す必要があります。 Linux は Windows や MacOS のパーティションにはインストールできません。他の Linux システ ムとはパーティションを共有することも可能かもしれませんが、ここではそれは取り扱 いません。少なくとも、Debian の root には専用のパーティションが必要となります。 現在のパーティションの設定は、Drive Setup, HD Toolkit, MacToolsのような、現在の OS に対応したパーティション分割ツールを使えばわかります。パーティション分割ツー ルには、必ず既存のパーティションを (変更せずに) 表示する機能が付いています。 一般には、既にファイルシステムの入っているパーティションを変更すると、そこの情 報はすべて破壊されてしまいます。従って、パーティション分割をやり直す前には、必 ずバックアップを取っておくべきです。また家の比喩を用いてみましょう。壁を動かす 前には、家具が壊れないよう、それらは前もってどけておくでしょう? コンピュータに 2 台以上のハードディスクがある場合は、その内の 1 台を Debian 専 用にするといいかもしれません。そうすれば、インストールシステムの起動前にパーテ ィション分割を行う必要はありません。インストーラに含まれているパーティション分 割プログラムが、この仕事を的確にこなしてくれます。 マシンに 1 台しかディスクがなくても、現在の OS を Debian GNU/Linux で完全に置き 換えてしまうつもりなら、パーティション分割はインストーラを起動した後で、インス トール作業の一部として行って構いません (項6.3.2.1. 「ディスクのパーティション分 割」)。しかしこれが可能なのは、インストーラシステムをテープ、CD-ROM、接続された マシンのファイルのいずれかから起動する場合だけです。ちょっと考えてみてください 。ハードディスクにあるファイルから起動して、起動したインストールシステムからそ のファイルのあるディスクをパーティション分割し、つまり起動ファイルを消してしま ったとしたら。そのインストールが一発でうまいこと行くように祈るしかないですね。 まあこの場合に最悪の状況となったとしても、もともと入っていたシステムのインスト ールテープや CD などで、コンピュータを元の状態に戻す方法はきっとあるでしょうが 。 既にコンピュータに複数のパーティションがあり、それらの一部を消したり置き換えた りすることによって充分な空き領域が確保できる場合にも、 Debian インストーラのパ ーティション分割プログラムで作業を行って構いません。しかしこの場合でも、以降の 内容は目を通しておきましょう。パーティションマップ中の現在のパーティションの並 び順などによって、いずれにしてもインストール前にパーティション分割作業をしなけ ればならないような場合もあり得るからです。 上記のどれにも当てはまらない場合、インストールをはじめる前にパーティション分割 を行い、Debian に割り当て可能な領域を作ってやらなければなりません。一部のパーテ ィションを他の OS に使う場合は、そのパーティションはその OS のパーティション分 割ツールで作成するほうが良いでしょう。しかし Debian GNU/Linux 用のパーティショ ンは、他の OS のツールでは作らないようお勧めします。そのツールで作るのは、残し ておきたい OS のパーティションだけにしてください。 同じマシンに複数の OS をインストールするつもりでしたら、 Linux をインストールす る前に、他の OS を全部先にインストールしておきましょう。 Windows などの他の OS をインストールすると、 Linux を起動する機能が破壊されてしまったり、あるいはその OS のものでないパーティションをフォーマットし直すよう促されたりするからです。 このような動作から復旧したり、そのような提案を断ったりすることはできますが、先 にそちらのシステムをインストールしておけば、最初からトラブルを避けることができ ます。 OpenFirmware に Debian GNU/Linux を自動的に起動させるには、 Linux パーティショ ンを他の OS のパーティション (特に MacOS のブートパーティション) よりディスクの 先頭近くに置かなければなりません。事前パーティション分割を行うときにはこのこと を心に留めておきましょう。 Linux 用に使う場所を埋めておくパーティションを、他の 起動可能なパーティションよりもディスクの前の方に作らなければなりません (Apple ディスクドライバ用の小さなパーティションは起動可能ではありません)。この場所埋め のパーティションは、後で Linux をインストールするときに削除し、実際の Linux パ ーティションと置き換えることができます。 現在ディスクがひとつ、パーティションもひとつ (デスクトップコンピュータだと普通 の設定) になっていて、元の OS と Debian とのデュアルブートにしたい場合は、以下 の手順を踏む必要があります。 1. コンピュータのすべてをバックアップする。 2. 元の OS のインストールメディア (CD-ROM やテープ) から起動する。 MacOS CD か ら起動する場合は、起動中に c キーを押しっぱなしにして、強制的に CD をアクテ ィブな MacOS にする。 3. 既存の OS のパーティション分割ツールを使って、そのシステムのパーティション を作る。 Debian GNU/Linux 用にも場所埋めのパーティションか、空き領域を作る 。 4. その OS を、新しくつくったパーティションにインストールする。 5. 新しく入れたその OS で起動しなおして、すべて問題ないか確かめる。問題なけれ ば Debian インストーラの起動ファイルをダウンロードする。 6. Debian インストーラを起動して、Debian のインストールを続ける。 3.5.1. MacOS/OSX のパーティション分割Partitioning MacOS CD の Utilities フォルダに、 Apple Drive Setup アプリケーションが入ってい るはずです。これを用いて既存のパーティションを調整できます。ただしディスク全体 をいちどにパーティション分割することしかできません。ディスクドライバパーティシ ョンは Drive Setup からは見えません。 GNU/Linux で用いるところに、場所埋め用パーティションを作るのを忘れないでくださ い。できればディスクの先頭に置きましょう。後で Debian GNU/Linux のインストーラ から、一度消して置き換えることになりますので、タイプは何でも構いません。 MacOS 9 と OS X の両方をインストールする予定でしたら、 OS 9 と OS X にはそれぞ れ別々のパーティションを作るのが良いでしょう。両者を同じパーティションにインス トールすると、起動 OS を選ぶために Startup Disk が (再起動時にも) 必要になりま す。この両者の選択は、起動時には行えないのです。別々のパーティションにしておけ ば、起動時に option キーを押しておけば、OS 9 と OS X 共に、別々の選択肢が現れま す。また yaboot のブートメニューにも、同じように別々の選択肢をインストールでき ます。 Startup Disk はマウント可能なパーティションをすべていじってしまう [訳注: 原文 de-bless] ので、 GNU/Linux の起動が影響されることがあります。 OS 9、OS X の各パーティションは、それぞれどちらの OS からもアクセスできます。 GNU/Linux は UFS パーティションの情報にはアクセスできませんが、 HFS+ パーティシ ョン (MacOS 拡張パーティション) をサポートしています。 OS X は、この 2 つのいず れかをブートパーティションに必要とします。 MacOS 9 は HFS パーティション (MacOS 標準パーティション) か HFS+ にインストールできます。 MacOS と GNU/Linux システ ムで情報を共有するには、情報交換用のパーティションを作るのが手軽です。 HFS パー ティションと MS-DOS FAT パーティションが MacOS と Linux の双方でサポートされて います。 3.6. インストール前に行うハードウェア・OS の設定 この節では、Debian のインストールに先立って必要となるハードウェアの設定について 見ていきます。通常この作業では、システムのファームウェアの設定をチェックし、場 合によってはその設定を変更することになります。「ファームウェア」は、ハードウェ アが利用する中核的なソフトウェアで、電源投入後のブートプロセスの間に起動される 、最も重要なものです。あなたが使うことになる Debian GNU/Linux の信頼性に影響を 与えうる、既知のハードウェアの諸問題についても、同様に取り扱っていく予定です。 3.6.1. OpenFirmware の起動 普通 PowerPC システムでは BIOS (OpenFirmware と呼ばれます) の設定をする必要はあ りません。OpenFirmware は PReP と CHRP を備えていますが、残念ながらこの起動方法 はメーカーによって千差万別です。マシンに付属の、ハードウェアの文書にあたる必要 があるでしょう。 PowerPC の Macintosh では、OpenFirmware はブート時に Command-option-O-F で起動 できます。通常はチャイムの後でこのキー入力がされているかを調べますが、正確なタ イミングはモデルによっていろいろです。詳しい情報は http://www.netbsd.org/Ports/ macppc/faq.html を見てください。 OpenFirmware のプロンプトは次のようになります。 ok 0 > PowerPC Mac の古いモデルでは、OpenFirmware とユーザとの通信は、デフォルトでシリ アル (モデム) ポート経由になっていることがあります (場合によっては変更できない こともあります)。このようなマシンで OpenFirmware を起動すると、単に真っ黒な画面 が表示されることになります。この場合 OpenFirmware と通信するには、別のコンピュ ータで端末プログラムを動かして、それをモデムポートにつなぐ必要があります。 OldWorld Beige G3 マシンでは、OpenFirmware の 2.0f1 と 2.4 は使い物になりません 。ファームウェアにパッチを当てないと、このようなマシンではまずハードディスクか らのブートはできません。ファームウェアのパッチは System Disk 2.3.1 ユーティリテ ィに含まれており、Apple の ftp://ftp.apple.com/developer/macosxserver/utilities /SystemDisk2.3.1.smi.bin から入手できます。このユーティリティを MacOS から展開 し、実行して Save ボタンを押すと、ファームウェアのパッチが nvram にインストール されます。 3.6.2. 気をつけるべきハードウェアの問題 多くの人たちが、例えば 90 MHz の CPU を 100 MHz で動作させるようなことに挑戦し ています。これはうまくいく時もありますが、温度などの要因に敏感で、実際にシステ ムに損傷を与えることもあります。この文書の著者は、自分のシステムを 1 年間オーバ ークロックで動作させたことがありますが、その後カーネルのコンパイル中に gcc が予 期しないシグナル (unexpected signal) で中断するようになってしまいました。この問 題は CPU の速度を普通に戻すことで解決しました。 メモリモジュールの不良 (あるいはデータを改変してしまうその他のハードウェア障害) が起きた場合、最初にやられるのは gcc コンパイラであることが多いようです。 gcc は膨大なデータ構造を構築し、それを繰り返し使うからです。このようなデータ構造に エラーが生じると、不正な命令が実行されてしまったり、存在しないアドレスへのアク セスを発生させたりします。この結果として、gcc が予期しないシグナルで中断するの です。 3.6.2.1. 64 MB 以上の RAM Linux カーネルが、搭載されている RAM 容量の検出に失敗することがあります。この場 合の対処については項5.2. 「ブートパラメータ」をご覧ください。 第4章システムインストールメディアの入手 目次 4.1. 公式 Debian GNU/Linux CD-ROM セット 4.2. Debian ミラーサイトからのファイルのダウンロード 4.2.1. どこでインストールイメージを探すか 4.3. ディスクイメージからのフロッピーの作成 4.3.1. Linux や Unix システムでのディスクイメージの書き込み 4.3.2. DOS, Windows, OS/2 でのディスクイメージの書き込み 4.3.3. MacOS からのディスクイメージの書き込み 4.4. USB メモリスティックでの起動用ファイルの準備 4.4.1. ファイルのコピー -- 簡単な方法 4.4.2. ファイルのコピー -- 柔軟な方法 4.5. ハードディスク起動ファイルの準備 4.5.1. OldWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動 4.5.2. NewWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動 4.6. TFTP ネットブート用ファイルの準備 4.6.1. BOOTP サーバの設定 4.6.2. DHCP サーバの設定 4.6.3. TFTP サーバの立ち上げ 4.6.4. TFTP イメージを適切な場所に配置する 4.7. 自動インストール 4.7.1. Debian インストーラを用いた自動インストール 4.1. 公式 Debian GNU/Linux CD-ROM セット 現在、Debian GNU/Linux をインストールする最も簡単な方法は、公式 Debian CD-ROM セットを使うことです。ベンダからこのセットを購入できます。 (CD ベンダページをご 覧ください) 高速なネットワーク接続と CD 書き込み装置があれば、 Debian ミラーか ら CD-ROM イメージをダウンロードしてもかまいません (詳細説明は Debian CD ページ をご覧ください)。 Debian CD セットを持っていて、マシンをこの CD から起動できる なら、章 5. インストールシステムの起動の項目までスキップできます。多くの人が、 それぞれの環境で必要とするであろうファイルを CD に収めるようにするには、たくさ んの労力が費やされています。それでも、バイナリパッケージのフルセットには、CD が 数枚必要です。 3 枚以上 CD を使うのが嫌なら、棚の節約になって CD 交換マラソンを しなくてすむ DVD 版を考えてもいいでしょう。 あなたのマシンが CD からの起動をサポートしていなくても、 CD セットを持っている のでしたら、最初のシステムインストーラの起動にフロッピーディスク、ハードディス ク、 usb スティック、ネットブート、カーネルを CD から手動起動といった別の方法が 使えます。これらの別法による起動に必要なファイルも CD にあります。 Debian ネッ トワークアーカイブと CD のフォルダ構成は同じです。よって、起動に必要となる何ら かのファイルの、アーカイブ中でのファイルパスが (後述するように) わかっていれば 、 CD の同じディレクトリやサブディレクトリからファイルを探せます。 いったんインストーラが起動すれば、ほかの必要なファイルはすべて CD から取得でき ます。 CD セットを持っていない場合は、インストーラのシステムファイルをダウンロードして 、フロッピーディスク、ハードディスク、 usb スティック、接続されたコンピュータの いずれかに保存します。そしてそこからインストーラを起動します。 4.2. Debian ミラーサイトからのファイルのダウンロード もっとも近い (そしておそらくもっとも速い) ミラーサイトを探すには、 Debian ミラ ーサイト一覧を参照してください。 Debian ミラーサイトからファイルをダウンロードするとき、バイナリ(binary) モード でファイルをダウンロードするよう確認してください。テキスト (text) モードや自動 選択モードではだめです。 4.2.1. どこでインストールイメージを探すか インストールイメージは、各 Debian ミラーサーバの debian/dists/sarge/main/ installer-powerpc/current/images/ にあります。 -- 各イメージとその用途が、 MANIFEST に記載されています。 4.3. ディスクイメージからのフロッピーの作成 CD から起動できないハードウェアやその他の理由の時に通常最後の手段として、インス トーラを起動するのに起動可能なフロッピーディスクを用います。 Mac USB フロッピードライブではフロッピーディスクからの起動はできないそうです。 ディスクイメージは、フロッピーディスクの完全な内容をそのままの形式で含むファイ ルです。 boot.img のようなディスクイメージは、フロッピーディスクに単純にコピー することはできません。イメージファイルをフロッピーディスクにそのままの形式で書 き込むには、特別なプログラムを用います。これらのイメージがディスクの内容の raw イメージであるためです。これらのファイルからフロッピーへは、データのセクタコピ ーが必要になります。 プラットフォームによって、ディスクイメージからフロッピーを作成する方法は異なり ます。この節では、それぞれのプラットフォームにおいて、ディスクイメージからフロ ッピーを作成する方法を説明します。 どの方法でフロッピーを作成するにせよ、一旦イメージを書き込んだら、忘れずにフロ ッピーの書き込み禁止タブをずらして書き込み禁止にし、不注意で壊すことがないよう にしましょう。 4.3.1. Linux や Unix システムでのディスクイメージの書き込み フロッピーディスクイメージをフロッピーディスクに書き込むためには、おそらくシス テムの root 権限が必要になるでしょう。質の良い、空のフロッピーディスクをフロッ ピードライブに挿入し、次のコマンドを使ってください。 $ dd if=filename of=/dev/fd0 bs=1024 conv=sync ; sync filename のところには、フロッピーディスクイメージのどれかの名前を書きます。 ( filename をどうするかは、項4.2. 「Debian ミラーサイトからのファイルのダウンロー ド」を参照してください) /dev/fd0 はフロッピーディスク装置によく使われている名前 ですが、あなたのワークステーションでは異なるかもしれません。このコマンドは、 Unix がフロッピーディスクへの書き込みを終える前に終了してプロンプトを返すかもし れません。そのため、フロッピードライブのディスク使用中のランプを見て、ランプが 消えていること、およびディスクの回転が止まっていることを確認した後に、フロッピ ーディスクをドライブから取り出してください。システムによっては、ドライブからフ ロッピーディスクを取り出すには、なんらかのコマンド実行が必要となることもありま す。 システムによっては、ドライブに挿入されたフロッピーディスクを自動的にマウントし ようとします。そのようなワークステーションで、フロッピーディスクにイメージを raw mode 形式で書き込むには、この自動マウント機能を無効にしなければならないかも しれません。残念ながら、これをどのように行うかは OS によって異なります。 powerpc Linux 上でフロッピーを書き込む場合、フロッピーの取り出しが必要です。 eject プログラムはこれをうまく扱いますが、インストールしなければならないでしょ う。 4.3.2. DOS, Windows, OS/2 でのディスクイメージの書き込み i386 マシンが利用できるときは、フロッピーへのイメージのコピーには以下のプログラ ムのどれかが使えます。 MS-DOS では rawrite1・rawrite2 プログラムを使用できます。このプログラムを使用す るには、まず DOS で起動しているかどうか確認してください。このプログラムを Windows 上の DOS ボックスで使用しようとしたり、 Windows のエクスプローラでダブ ルクリックしても、動作しないことが予想されます。 Windows 95, NT, 98, 2000, Me, XP そしておそらくそれ以降のバージョンでは、 rwwrtwin プログラムが動作します。これを使用するには、同じディレクトリに diskio.dll を展開する必要があります。 以上のツールは、公式 Debian CD-ROM の /tools にあります。 4.3.3. MacOS からのディスクイメージの書き込み Make Debian Floppy という AppleScript を使えば、提供されているディスクイメージ ファイルをフロッピーに書き込むことが出来ます。この AppleScript は ftp:// ftp2.sourceforge.net/pub/sourceforge/d/de/debian-imac/MakeDebianFloppy.sit から ダウンロードできます。デスクトップに unstuff して、フロッピーイメージファイルを その上にドラッグするだけです。 AppleScript をインストールし、 extensions manager で有効にしておく必要があります。フロッピーの内容を消去してファイルイメ ージの書き込みを進めて良いかを Disk Copy から尋ねられます。 MacOS のユーティリティ Disk Copy を直接使ったり、フリーウェアのユーティリティ suntar を使うこともできます。 root.bin ファイルをフロッピーイメージの例として、 これらのユーティリティでフロッピーイメージからフロッピーディスクを作製する方法 を以下にいくつか紹介します。 4.3.3.1. Disk Copy を用いたディスクイメージの書き込み 公式 Debian GNU/Linux CD にあったファイルからフロッピーイメージを作る場合は、 Type と Creator は既に適切な値になっています。ここに示す Creator-Changer の作業 は、イメージファイルを Debian ミラーからダウンロードした場合でのみ必要となりま す。 1. Creator-Changer を取得し、これを用いて root.bin ファイルをオープンします。 2. Creator を ddsk (Disk Copy) に変更し、 Type を DDim (バイナリフロッピーイメ ージ) に変更します。これらのフィールドでは大文字小文字が区別されますので注 意してください。 3. 重要: Finder から Get Info を用いて、フロッピーイメージの Finder 情報を表示 させてください。ここで File Locked チェックボックスに「X」を入れ、イメージ を間違ってマウントしてしまった場合でも MacOS がブートブロックを消してしまわ ないようにしてください。 4. Disk Copy を入手します。 MacOS システムや CD をお持ちなら、既にその中にある でしょう。持っていなければ http://download.info.apple.com/ Apple_Support_Area/Apple_Software_Updates/English-North_American/Macintosh/ Utilities/Disk_Copy/Disk_Copy_6.3.3.smi.bin を試してみてください。 5. Disk Copy を実行します。Utilities->Make a Floppy を選び、現われたダイアログ で locked イメージファイルを選んでください。フロッピーを挿入するよう求めら れ、続いてその内容を本当に消していいかどうかを訊かれます。書き込みが終わっ たらフロッピーはイジェクトされます。 4.3.3.2. suntar を用いたディスクイメージの書き込み 1. suntar を http://hyperarchive.lcs.mit.edu/HyperArchive/Archive/cmp/ suntar-223.hqx から入手します。suntar プログラムを起動し、 Special メニュー から「Overwrite Sectors...」を選びます。 2. 求められたところでフロッピーディスクを挿入し、 Enter を押します (セクタ 0 から始めます)。 3. file-opening ダイアログから root.bin ファイルを選びます。 4. フロッピーがうまく作成されたら、File->Eject を選びます。フロッピーの書き込 みでエラーが起こったら、そのフロッピーは捨てて別のフロッピーを試してくださ い。 作成したフロッピーを使う前に、ツメを動かして書き込み防止にしてくださいこうして おかないと、間違って MacOS にマウントされてしまった場合、 MacOS がフロッピーを 壊してしまいます。 4.4. USB メモリスティックでの起動用ファイルの準備 USB スティックの準備のため、 GNU/Linux が既に動いていて、USB をサポートしている システムが必要になります。 usb-storage カーネルモジュールをきちんとロードして ( modprobe usb-storage)、 USB スティックをマッピングしているのがどの SCSI デバイ スかを検出してみるべきです。 (この例では /dev/sda を使用します) おそらく USB ス ティックに書き込むために、ライトプロテクトスイッチを切らなければなりません。 USB スティックは少なくとも 128 MB のサイズがなければなりません (項4.4.2. 「ファ イルのコピー -- 柔軟な方法」のようにすれば、より小さなセットアップが可能です)。 4.4.1. ファイルのコピー -- 簡単な方法 yaboot やその設定ファイルと同様に、 (カーネルを含む) インストーラの全ファイルが 入った hd-media/boot.img.gz というオールインワンファイルがあります。 mac-fdisk の C コマンドで USB スティックに "Apple_Bootstrap" タイプのパーティションを作成 し、以下のように USB スティックに直接展開してください。 # zcat boot.img.gz > /dev/sda2 警告 この方法を使うとデバイス上の既存の物は破壊されてしまいます。 USB スティックの正 しいデバイス名を確認して使用してください。 その後、USB メモリスティック ( HFS ファイルシステムになっている) をマウントし ( mount /dev/sda2 /mnt)、そこに Debian netinst か、名刺型 ISO イメージをコピーし てください。ファイル名は .iso で終わっていなければならないことに注意してくださ い。終わったら、USB スティックをアンマウントしてください (umount /mnt)。 4.4.2. ファイルのコピー -- 柔軟な方法 もっと柔軟なものがよかったり、何が起きているか知りたいのなら、以下に説明する USB スティックにファイルを置く方法を使用すべきです。 4.4.2.1. PowerPC での USB スティックのパーティション分割 ほとんどの USB スティックは、 Open Firmware で起動できるようにあらかじめ設定さ れていません。 Mac システムでは、mac-fdisk /dev/sda を起動して、 i コマンドで新 規パーティションマップを初期化、 C コマンドで Apple_Bootstrap タイプのパーティ ションを作成してください。 (注: 先頭のパーティションはいつもパーティションマッ プそのものになっています) その後、以下を入力してください。 $ hformat /dev/sda2 USB スティックの正確なデバイス名を使用する事に注意してください。 hformat は、 hfsutils Debian パッケージに含まれています。 USB スティックから起動してカーネルをスタートするために、 USB スティックにブート ローダを配置します。 yaboot ブートローダは、 HFS ファイルシステムにインストール でき、編集中のテキストファイルを認識できます。 HFS ファイルシステムをサポートす る OS であれば、ブートローダの設定を変更できます。 yaboot とともにある通常の ybin ツールは、 USB ストレージデバイスを認識しません 。そのため、hfsutils ツールを使って、 yabootを手動でインストールしなければなり ません。以下を入力してください。 $ hmount /dev/sda2 $ hcopy -r /usr/lib/yaboot/yaboot : $ hattrib -c UNIX -t tbxi :yaboot $ hattrib -b : $ humount 繰り返しますが、正確なデバイス名を使用するよう注意してください。この手順中でパ ーティションをマウントする必要はありません。この手順ではパーティションにブート ローダを書き込み、 Open Firmware が起動できるように HFS ユーティリティを使って 印を付けます。これが終われば USB スティックは、通常の Unix ユーティリティを使う 準備ができたことになります。 このパーティションをマウントし (mount /dev/sda2 /mnt)、以下のファイルを Debian アーカイブから USB スティックへコピーしてください。 ● vmlinux (カーネルバイナリ) ● initrd.gz (初期 RAM ディスクイメージ) ● yaboot.conf (yaboot 設定ファイル) ● boot.msg (追加起動メッセージ) ● 追加カーネルモジュール yaboot.conf 設定ファイルには、以下の行を含まなければなりません。 default=install root=/dev/ram message=/boot.msg image=/vmlinux label=install initrd=/initrd.gz initrd-size=10000 append="devfs=mount,dall --" read-only 起動するイメージに応じて、ramdisk_size パラメータを、増やす必要があることに注意 してください。 4.4.2.2. ISO イメージの追加 今度は、Debian ISO イメージ (名刺、netinst、完全版のいずれか) を、 USB スティッ クに (入るならば) 入れましょう。 ISO イメージのファイル名は .iso で終わっていな ければなりません。 ISO イメージを使わずネットワーク越しにインストールしたければ、もちろん前の手順 をスキップしてください。さらに、hd-media/initrd.gz はネットワークをサポートしな いので、 hd-media のものの代わりに、 netboot ディレクトリにある初期 RAM ディス クを使わなければならないでしょう。 終わったら、USB メモリスティックをアンマウントし (umount /mnt)、ライトプロテク トスイッチを有効にしてください。 4.5. ハードディスク起動ファイルの準備 このインストーラは、ハードディスクパーティションに配置したファイルから起動でき ます。別の OS から起動することもできますし、 BIOS から直接ブートローダを起動す ることもできます。 この方法を使えば、完全な「ピュアネットワーク」インストールを行うことができます 。これは、CD メディアを探して焼いたり、たくさんの信頼できないフロッピーディスク を相手に苦闘したり、といったリムーバブルメディアのすべての激論を避けることがで きます。 インストーラは、HFS+ ファイルシステムにあるファイルから起動できます。 MacOS System 8.1 以上ならば HFS+ ファイルシステムが使えます。 NewWorld PowerMac はす べて HFS+ を使っています。現在のファイルシステムが HFS+ かどうかを調べるには、 調べたいボリュームに対して情報をみる (Get Info) を実行してください。 HFS ファイ ルシステムなら Mac OS Standard、 HFS+ ファイルシステムなら Mac OS Extended とな ります。 MacOS と Linux の間でファイル (特にインストール用にダウンロードしたフ ァイル) をやりとりするためには、HFS パーティションが必要です。 ハードディスクからのインストールシステムの起動には、システムが「NewWorld」モデ ルか「OldWorld」モデルかによって、別々のプログラムを使います。 4.5.1. OldWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動 boot-floppy-hfs フロッピーは、Linux インストールシステムの起動に miBoot を使い ます。しかし miBoot をハードディスクからの起動に使うのは簡単ではありません。 MacOS から起動する BootX は、ハードディスクに置かれたファイルからの起動をサポー トしています。 BootX は、Debian のインストールが完了した後に、 MacOS と Linux をデュアルブートさせるのにも使えます。 Performa 6360 では、quik はハードディス クを起動できるようにはできません。そのためこのモデルでは BootX が必要です。 BootX の配布パッケージを http://penguinppc.org/projects/bootx/ から、または Debian http/ftp ミラーや公式 Debian CD の dists/woody/main/disks-powerpc/ current/powermac ディレクトリから入手して、unstuff してください。アーカイブから 取り出すには Stuffit Expander を使ってください。パッケージの中には、Linux Kernels という名前の空のフォルダがあります。 linux.bin と ramdisk.image.gz を disks-powerpc/current/powermac フォルダからダウンロードし、これらを Linux Kernels フォルダに置いてください。その後、Linux Kernels フォルダをアクティブな System Folder に置いてください。 4.5.2. NewWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動 NewWorld PowerMac は、ネットワークや ISO9660 CD-ROM からの起動をサポートしてお り、またハードディスクに置かれた ELF バイナリを直接ロードして起動することも可能 です。これらのマシンでは yaboot を使って直接 Linux を起動できます。 yaboot はカ ーネルと RAM ディスクを直接 ext2 パーティションからロードでき、MacOS とのデュア ルブートにすることもできます。ハードディスクからのインストーラの起動は、特にフ ロッピードライブのない最近のマシンには向いているでしょう。 BootX は NewWorld PowerMac をサポートしておらず、使うべきではありません。 前に Debian アーカイブからダウンロードした次に示すファイルを、ハードドライブの root 階層にコピー (移動では駄目) してください (各ファイルを、 option を押しなが らハードドライブアイコンにドラッグします)。 ● vmlinux ● initrd.gz ● yaboot ● yaboot.conf これらのファイルを置いた MacOS パーティションのパーティション番号を記録しておき ましょう。 MacOS の pdisk プログラムがあれば、 L コマンドでパーティション番号を 確認できます。このパーティション番号は、インストーラを起動させたときに Open Firmware プロンプトから入力するコマンドで必要となります。 To boot the installer, proceed to 項5.1.2.3. 「OpenFirmware からの NewWorld Mac の起動」. インストーラを起動させるには、項5.1.2.3. 「OpenFirmware からの NewWorld Mac の起動」に進んでください。 4.6. TFTP ネットブート用ファイルの準備 インストール対象のマシンが LAN に接続されている場合、 TFTP を用いると、そのマシ ンをネットワーク越しに他のマシンから起動できます。インストールシステムを別のマ シンから起動するには、その「別のマシン」の特定の場所に起動ファイルを置き、また インストール対象のマシンの起動をサポートするよう設定しなければなりません。 設定が必要なのは TFTP サーバです。また多くのマシンでは BOOTP サーバ、DHCP サー バのいずれかの設定が必要です。 BOOTP は IP プロトコルのひとつです。クライアントに対して、使うべき IP アドレス と、ブートイメージをネットワークのどこから取得するかを伝えます。 DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) は、 BOOTP との後方互換性を保ちつつ、より柔軟に拡 張させたものです。システムによっては DHCP でしか設定できないこともあります。 PowerPC では、NewWorld Power Macintosh マシンを使っている場合は、 BOOTP ではな く DHCP を使う方が良いです。最近のマシンには、BOOTP では起動できないものがあり ます。 Trivial File Transfer Protocol (TFTP) は、ブートイメージをクライアントに提供す るために用います。理論的には、どんなサーバでも、どんなプラットフォームでも、こ れらのプロトコルを実装してさえいれば利用できます。この節では、SunOS 4.x, SunOS 5.x (Solaris), GNU/Linux での例を示します。 4.6.1. BOOTP サーバの設定 GNU/Linux で使える BOOTP サーバは二つあります。 CMU の bootpd と、もう一つは実 際には DHCP サーバなのですが、 ISC の dhcpd です。それぞれ Debian GNU/Linux で は bootp パッケージと dhcp パッケージに入っています。 CMU bootpd を使う場合は、まず /etc/inetd.conf ファイルの該当行をアンコメント (または追加) する必要があります。 Debian GNU/Linux では update-inetd --enable bootps を実行し、続いて /etc/init.d/inetd reload とすれば OK です。この行は次の ようなものです。 bootps dgram udp wait root /usr/sbin/bootpd bootpd -i -t 120 ここで次に /etc/bootptab を作成します。このファイルの書式は、 printcap, termcap, disktab ファイルなどでお馴染みの、例のわかりにくい形式になっています。 詳細は bootptab マニュアルページを見てください。 CMU bootpd では、クライアント のハードウェア (MAC) アドレスを知っておかなければなりません。 /etc/bootptab の 例を示します。 client:\ hd=/tftpboot:\ bf=tftpboot.img:\ ip=192.168.1.90:\ sm=255.255.255.0:\ sa=192.168.1.1:\ ha=0123456789AB: 少なくともクライアントのハードウェアアドレスを指定している「ha」オプションは変 更する必要があるでしょう。「bf」オプションはクライアントが TFTP で取得するファ イルを指定しています。詳細は項4.6.4. 「TFTP イメージを適切な場所に配置する」を 参照してください。 対照的に、ISC dhcpd を使っての BOOTP の設定は実に簡単です。 dhcpd では、BOOTP クライアントはやや特殊な DHCP クライアントとして取り扱われます。アーキテクチャ によっては、BOOTP によるクライアントの起動には複雑な設定が必要になります。これ に該当してしまったら、項4.6.2. 「DHCP サーバの設定」の節を読んでください。該当 しないアーキテクチャでは、クライアントの含まれるサブネットの設定ブロックに allow bootp というディレクティブを追加し、 /etc/init.d/dhcpd restart で dhcpd を再起動するだけです。 4.6.2. DHCP サーバの設定 フリーソフトウェアの DHCP サーバのひとつは、 ISC の dhcpd です。 Debian GNU/ Linux では、これは dhcp パッケージに入っています。次に示すのは、dhcp の設定ファ イル (普通は /etc/dhcpd.conf) の例です。 option domain-name "example.com"; option domain-name-servers ns1.example.com; option subnet-mask 255.255.255.0; default-lease-time 600; max-lease-time 7200; server-name "servername"; subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 { range 192.168.1.200 192.168.1.253; option routers 192.168.1.1; } host clientname { filename "/tftpboot/tftpboot.img"; server-name "servername"; next-server servername; hardware ethernet 01:23:45:67:89:AB; fixed-address 192.168.1.90; } 注: 新しい(そして好ましい) dhcp3 パッケージは /etc/dhcp3/dhcpd.conf を使用しま す。 この例では、servername というサーバがひとつあり、 DHCP サーバ, TFTP サーバ, ネ ットワークゲートウェイの仕事をすべて行っています。 domain-name オプション、サー バ名、クライアントのハードウェアアドレスは、必ず変更する必要があります。 filename オプションは TFTP 経由で取得するファイルの名前です。 dhcpd の設定ファイルの編集を終えたら、 /etc/init.d/dhcpd restart によって dhcpd を再起動してください。 4.6.3. TFTP サーバの立ち上げ TFTP サーバを立ち上げるには、まず tftpd が有効になっているか確認します。 /etc/ inetd.conf に次のような行があればおそらく大丈夫です。 tftp dgram udp wait nobody /usr/sbin/tcpd in.tftpd /tftpboot Debian パッケージは一般的にインストールする際、デフォルトで正しくセットアップで きます。 /etc/inetd.conf を見て、in.tftpd の引数に与えられているディレクトリを覚えてくだ さい。後でこのディレクトリを使います。 in.tftpd のバージョンによっては、 -l 引 数をつけると、すべての要求をシステムログに記録できます。これは起動エラーの診断 に有用です。 /etc/inetd.conf を変更したら、変更したことを inetd に伝えなければ なりません。 Debian マシンでは /etc/init.d/inetd reload を実行します。他のマシ ンでは、inetd のプロセス ID を見つけて、 kill -HUP inetd-pid を実行します。 4.6.4. TFTP イメージを適切な場所に配置する 次に行うことは、項4.2.1. 「どこでインストールイメージを探すか」の記述にある、必 要な TFTP ブートイメージを、 tftpd のブートイメージディレクトリに置く作業です。 このディレクトリは普通 /tftpboot です。 tftpd が特定のクライアントの起動に用い るファイルへのリンクを、ここに作らなければなりません。残念ながら、ファイルの名 前は TFTP クライアントによって決まり、強制力のある標準は存在しません。 NewWorld Power Macintosh マシンでは、 yaboot ブートローダを TFTP ブートイメージ に設定します。 yaboot は次にカーネルと RAM ディスクイメージを、同じく TFTP によ って取得します。ネットワークブートには、yaboot-netboot.conf を使います。これを yaboot.conf という名前に変えて、 TFTP のディレクトリに置いてください。 4.7. 自動インストール 複数のコンピュータにインストールするため、完全自動インストールが可能です。この ための Debian パッケージは、 fai (インストールサーバを使う場合), replicator, systemimager, autoinstall, それに Debian インストーラそのものです。 4.7.1. Debian インストーラを用いた自動インストール Debian インストーラは、 preconfiguration ファイルによる自動インストールをサポー トしています。 preconfiguration ファイルは、ネットワークやリムーバブルメディア から読み込まれ、インストール中の質問に対する回答を、埋めていくのに使われます。 debian-installer で使用するほとんどの質問は、この方法であらかじめ設定できますが 、いくつかの例外があります。ディスク全体のパーティション (再) 分割や、ディスク の空き領域は利用できますが、すでにあるパーティションの利用はできません。現在、 RAID や LVM のセットアップは、あらかじめ設定できません。また、ネットワークドラ イバモジュール以外のカーネルモジュールパラメータをあらかじめ設定できません。 preconfiguration ファイルは、 debconf-set-selections コマンドで使用される形式の ファイルです。編集できるよく説明されていて動作するサンプルは、項C.1. 「 Preconfiguration ファイルサンプル」にあります。 また、あらかじめ設定するすべての値を記述した完全なファイルを得るには、マニュア ルインストールを行ったあとに、 debconf-get-selections (debconf-utils パッケー ジ) を使用して debconf データベースと cdebconf データベース (/var/log/ debian-installer/cdebconf にある) を、以下のようにひとつのファイルにダンプしま す。 $ debconf-get-selections --installer > file $ debconf-get-selections >> file しかしこの方法で生成したファイルでは、いくつかの項目が設定されない可能性があり ます。そのためほとんどのユーザにとっては、取っかかりとして、項C.1. 「 Preconfiguration ファイルサンプル」にあるファイルの方がよいでしょう。 preconfiguration ファイルがあれば、これをお好みに編集したうえで、 web サーバに 配置したり、インストーラの起動メディアにコピーできます。配置した場所ならどこで も、このファイルを起動時にインストーラに読み込ませるようパラメータに渡す必要が あります。 ネットワークからダウンロードした preconfiguration ファイルを、インストーラに使 うようにさせるには、カーネルの起動パラメータに preseed/url=http://url/to/ preseed.cfg と追加します。もちろん、インストーラがネットワークをセットアップし preconfiguration ファイルをダウンロードするまで、preconfiguration は効果を現し ません。そのため、インストーラが全く質問せずに、 DHCP でネットワークをセットア ップできるときに最も有用になります。ネットワーク設定中にまったく質問が出なくな るように、インストール優先度を「重要」に設定したいと思うかもしれません。項 5.2.1. 「Debian Installer パラメータ」をご覧ください。 CD に preconfiguration ファイルを置くために、 preconfiguration ファイルを含む ISO イメージのマスターを、新たに作る必要があるでしょう。詳細は mkisofs のマニュ アルを参照してください。また、フロッピーに preseed ファイルを置いて、 preseed/ file=/floppy/preseed.cfg とすることもできます。 第5章インストールシステムの起動 目次 5.1. PowerPC でのインストーラの起動 5.1.1. CD-ROM からの起動 5.1.2. ハードディスクからの起動 5.1.3. USB メモリスティックからの起動 5.1.4. TFTP での起動 5.1.5. フロッピーからの起動 5.1.6. PowerPC ブートパラメータ 5.2. ブートパラメータ 5.2.1. Debian Installer パラメータ 5.3. インストールプロセスのトラブルシューティング 5.3.1. フロッピーディスクの信頼性 5.3.2. 起動設定 5.3.3. カーネルの起動時メッセージの意味 5.3.4. バグレポータ 5.3.5. インストールレポートの送信 5.1. PowerPC でのインストーラの起動 5.1.1. CD-ROM からの起動 ほとんどの人にとって、 Debian CD セットを使うのが一番簡単な入手経路かと思います 。 CD セットが既に手元にあり、かつインストールするマシンが CD から直接起動でき るようなら、ツイています! 単に CD-ROM をドライブに入れてリブートし、次の章に進 んでください。 CD ドライブに特殊なドライバが必要で、インストール初期にはアクセスできないかもし れないことに注意してください。 CD が使えないハードウェアで起動する標準的な方法 を知るには、本章に戻って、動くであろう別のカーネルや別のインストール方法につい て読んでください。 CD-ROM から起動できなくても、希望する Debian システムコンポーネントやパッケージ を、おそらく CD-ROM からインストールできるでしょう。単純にフロッピーなどの別の メディアを使って起動してください。 OS、基本システム、任意の追加パッケージをイン ストールする場合、インストールシステムを CD-ROM ドライブに向けてください。 起動に問題があれば、項5.3. 「インストールプロセスのトラブルシューティング」をご 覧ください。 今のところ、CD-ROM からの起動をサポートしている PowerPC のサブアーキテクチャは PReP と New World PowerMac だけです。 PowerMac では、c キーを押しっぱなしにする か、または Command, Option, Shift, Delete キーを起動時に同時に押せば、 CD-ROM から起動できます。 OldWorld PowerMac では、Debian CD が起動しないでしょう。なぜなら OldWorld コン ピュータは、CD を利用するのに Mac OS ROM CD ブートドライバに依存し、このドライ バにはフリーソフトウェア版が存在しないからです。すべての OldWorld システムには 、フロッピードライブがあるので、インストーラを開始するためにフロッピードライブ を使い、必要とされたファイルのために CD を指定してください。 CD-ROM からの直接起動をサポートしていないシステムでも、インストールに CD-ROM を 用いることは可能です。 NewWorld では、OpenFirmware のコマンドを用いて、手動で CD-ROM から起動させることもできます。ハードディスクから起動させる場合は項 5.1.2.3. 「OpenFirmware からの NewWorld Mac の起動」の指示に従ってください。た だし OF プロンプトで与える CD の yaboot へのパスとしては、 0 > boot cd:,\install\yaboot のようなものを用いてください。 5.1.2. ハードディスクからの起動 既存の OS から起動することは、多くの場合便利なオプションです。また、いくつかの システムについては、インストールをサポートする唯一の方法です。 ハードディスクからインストーラを起動するには、既にダウンロードが完了していて、 項4.5. 「ハードディスク起動ファイルの準備」のように、配置されている必要がありま す。 5.1.2.1. OpenFirmware からの CHRP の起動 まだ書いていません。 5.1.2.2. MacOS からの OldWorld PowerMac の起動 項4.5.1. 「OldWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動」で BootX を設定済みなら、それを使ってインストールシステムを起動できます。 BootX の アプリケーションアイコンをダブルクリックしてください。 Options ボタンをクリック し、 Use Specified RAM Disk を選んでください。すると ramdisk.image.gz ファイル を選択できるようになります。ハードウェアによっては、 No Video Driver チェックボ ックスを選ばなければならないかもしれません。最後に Linux ボタンをクリックすると 、MacOS がシャットダウンして、インストーラが起動します。 5.1.2.3. OpenFirmware からの NewWorld Mac の起動 既に項4.5.2. 「NewWorld Mac におけるハードディスクからのインストーラの起動」に おいて、 vmlinux, initrd.gz, yaboot, yaboot.conf といったファイルを、 HFS パー ティションの root レベルに配置したことと思います。コンピュータを再起動し、ただ ちに (チャイムが鳴っているあいだに) Option, Command (クローバー/Apple), o, f の 各キーを同時に押します。数秒間たつと、OpenFirmware のプロンプトが表示されます。 プロンプトから次のように入力します。 0 > boot hd:x,yaboot x はカーネルと yaboot ファイルを置いた HFS パーティションの番号に置き換えてくだ さい。入力したら Enter を押します。いくつかのマシンでは、 hd: の代わりに ide0: を指定する必要があるかもしれません。さらに何秒か待つと、 yaboot のプロンプトが 表示されます。 boot: Yaboot の boot: プロンプトで、 install か install video=ofonly と入力し、Enter を押します。 install の方がうまくいかないときは、互換性を最大にするために video =ofonly 引数を試してみてください。これで Debian のインストールプログラムが開始 されるはずです。 5.1.3. USB メモリスティックからの起動 現在、NewWorld PowerMac は USB からの起動をサポートしています。 すでに項4.4. 「USB メモリスティックでの起動用ファイルの準備」にあるすべての準備 が、終わっていることと思います。 USB スティックから Macintosh システムを起動す るには、 Open Firmware は標準で USB ストレージデバイスを検索しませんので、 Open Firmware プロンプトを使う必要があります。プロンプトを表示するには、 Command- Option-o-f を起動中ずっと押したままにしておきます。 (項3.6.1. 「OpenFirmware の 起動」を参照) 今のところ ofpath は自動でやってはくれませんので、自分で USB ストレージをデバイ スツリーに出す必要があります。 Open Firmware プロンプトで、 dev / ls や devalias と入力し、認識しているすべてのデバイスとデバイスエイリアスを取得してく ださい。筆者のシステムでは、いろいろな USB スティックが usb0/disk, usb0/hub/ disk, /pci@f2000000/usb@1b,1/disk@1, /pci@f2000000/usb@1b,1/hub@1/disk@1 として 見えています。 デバイスパスを取得できたら、以下のようなコマンドでインストーラを起動してくださ い。 boot usb0/disk:2,\\:tbxi 2 には、はじめに起動イメージをコピーした Apple_HFS・Apple_Bootstrap パーティシ ョンが該当します。 ,\\:tbxi の部分は、事前に hattrib -b をしておいたディレクト リにある、 "tbxi" という HFS ファイルタイプのファイル (例: yaboot) から起動する ということを Open Firmware に指示しています。 システムが起動し、boot: が表示されることと思います。ここで追加の起動引数を入力 するか、単に Enter を押してください。 警告 この起動法は新しく、いくつかの NewWorld システムでは動作させるのが難しいかもし れません。問題が発生したら、項5.3.5. 「インストールレポートの送信」にあるように 、インストールレポートを出してください。 5.1.4. TFTP での起動 ネットワークからの起動には、ネットワーク接続と TFTP ネットワークブートサーバ (DHCP, RARP, BOOTP) が必要です。 ネットワーク起動をサポートするインストール方法は、項4.6. 「TFTP ネットブート用 ファイルの準備」で説明します。 現在、PReP と New World PowerMac システムではネットブートをサポートしています。 NewWorld Power Mac のような OpenFirmware のマシンでは、ブートモニタに入り (項 3.6.1. 「OpenFirmware の起動」を参照)、 boot enet:0 というコマンドを使います。 PReP や CHRP のマシンでは、ネットワークの指定が異なるかもしれません。 PReP マシ ンでは、 boot server_ipaddr,file,client_ipaddr を試してみてください。 5.1.5. フロッピーからの起動 PowerPC はフロッピーからの起動をサポートしていますが、用いることができるのは通 常 OldWorld システムだけです。 NewWorld システムには、フロッピードライブがつい ておらず、起動時には外付け USB フロッピードライブをサポートしていません。 おそらく項4.3. 「ディスクイメージからのフロッピーの作成」で必要なフロッピーイメ ージは既にダウンロードし、それらのイメージからフロッピーは作成済みかと思います 。 boot-floppy-hfs.img フロッピーから起動するには、システムをシャットダウンしたあ とにフロッピーをドライブに入れ、パワーオンボタンを押してください。 注意 Macintosh のフロッピー操作に慣れていない方へ: フロッピーがシステムの起動順で最 優先されるには、起動する前にフロッピーを挿入してください。有効なブートシステム のないフロッピーは排出されてしまい、ブート可能なハードディスクのパーティション をチェックします。 起動すると、root.bin フロッピーが要求されます。 root フロッピーを入れて Enter を押してください。 root システムがメモリにロードされると、インストーラプログラ ムが自動的に起動します。 5.1.6. PowerPC ブートパラメータ 多くの古い Apple モニタは、640x480 67Hz モードを使用します。古い Apple モニタで 画面がゆがむ場合、多くの Mach64・Rage ビデオハードウェアでモードを選択するには 、ブート引数に video=atyfb:vmode:6 を試してみてください。 Rage 128 ハードウェア ならこれを video=aty128fb:vmode:6 に変えてください。 5.2. ブートパラメータ ブートパラメータとは Linux カーネルのパラメータのことで、一般には周辺機器を適切 に扱うために用います。ほとんどの場合、カーネルは周辺機器の情報を自動的に検出し ます。しかし、場合によっては少々カーネルを助けてあげないといけないこともあるの です。 システムを初めて起動する場合は、デフォルトのブートパラメータを試して (つまりな にもパラメータを設定せずに)、正確に動作するか観察してください。たいていはうまく いくと思います。なにか問題が起こったら、そのハードウェアに関する情報をシステム に伝えるためのパラメータを調べ、あとで再起動します。 多くのブートパラメータの情報は (曖昧なハードウェア用の tips 込みで)、 Linux BootPrompt HOWTO で見つけられます。本節は、最も顕著なパラメータの概要だけを含ん でいます。いくつか共通のものは項5.3. 「インストールプロセスのトラブルシューティ ング」以下に含まれています。 カーネルが起動するときには、プロセスの最初のほうで Memory:availk/totalk available というメッセージが表示されます。 total は利用可能な RAM の総量をキロバイト単位 で表しています。この値が実際に搭載している RAM の量と一致しないときには、 mem= ram というパラメータが必要になります。 ram のところには、実際に搭載しているメモ リ量を、キロバイト単位なら「k」、メガバイト単位なら「m」を後ろにつけて記入しま す。例えば、 mem=65536k も mem=64m も 64MB の RAM を意味します。 起動の際にシリアルコンソールを使うと、通常カーネルはこちらを自動検出します。た だし、シリアルコンソールから起動させたいコンピュータにビデオカード (フレームバ ッファ) とキーボードもついている場合には、カーネルに console=device というパラ メータを渡す必要があるでしょう。 device は利用するシリアルデバイスです。これは 普通 ttyS0 のようになるでしょう。 5.2.1. Debian Installer パラメータ インストールシステムは、おそらく便利だと思われる、追加起動パラメータ^[2]をいく つか認識します。 debconf/priority このパラメータには、表示するメッセージのもっとも低い優先度を設定します。 デフォルトのインストールでは、 debconf/priority=high を使用します。優先度が 「高」のものと、「重要」のもののメッセージを表示し、「標準」や、「低」のメ ッセージはスキップします。問題にぶつかった場合、インストーラは必要な優先度 に調整します。 ブートパラメータに debconf/priority=medium を追加すると、インストールメニュ ーが表示され、インストールについて、さらに多くの制御を行うことができます。 debconf/priority=low を使った場合は、すべてのメッセージを表示します (expert 起動法と等価)。 debconf/priority=critical の場合は、インストールシステムは 重要なメッセージだけを表示し、大騒ぎせずに正しい設定をしようとします。 DEBIAN_FRONTEND このブートパラメータはインストーラで使うユーザインタフェースを制御します。 現在有効な設定は以下の通りです。 ● DEBIAN_FRONTEND=noninteractive ● DEBIAN_FRONTEND=text ● DEBIAN_FRONTEND=newt ● DEBIAN_FRONTEND=slang ● DEBIAN_FRONTEND=ncurses ● DEBIAN_FRONTEND=bogl ● DEBIAN_FRONTEND=gtk ● DEBIAN_FRONTEND=corba デフォルトのフロントエンドは DEBCONF_FRONTEND=newt です。シリアルコンソール でインストールするには、 DEBIAN_FRONTEND=text とすべきでしょう。一般的に、 デフォルトのインストールメディアでは newt フロントエンドのみが利用可能です 。そのため、今現在あまり有用ではありません。 BOOT_DEBUG このブートパラメータに 2 を設定すると、インストーラの起動プロセス中に詳細な ログを出力します。 3 を設定すると、起動プロセスの要所でデバッグ用のシェルが 利用できます。 (シェルを終了すると起動プロセスを継続します) BOOT_DEBUG=0 デフォルトです。 BOOT_DEBUG=1 通常よりも詳細です。 BOOT_DEBUG=2 デバッグ情報を大量に表示します。 BOOT_DEBUG=3 詳細なデバッグを行うよう、ブートプロセスの様々な箇所でシェルが実行され ます。起動を続けるにはシェルから抜けてください。 INSTALL_MEDIA_DEV このパラメータの値には、Debian インストーラを読み込むデバイスのパスを指定し ます。例えば、INSTALL_MEDIA_DEV=/dev/floppy/0 となります。 ブートフロッピーは root フロッピーを探すのに、通常全フロッピーと USB ストレ ージを検索しますが、このパラメータで 1 つのデバイスを探すように上書きできま す。 debian-installer/framebuffer いくつかのアーキテクチャでは、多くの言語でインストールを行うために、カーネ ルフレームバッファを使用します。フレームバッファが問題となるシステムの場合 、 debian-installer/framebuffer=false パラメータによってこの機能を無効にで きます。 bterm や bogl に関するエラーメッセージや、真っ暗な画面、インストー ルが始まって数分後にフリーズがおきたら問題の兆候です。 debian-installer/probe/usb 起動時の USB の検出で問題が起きる場合は、これに false を設定してください。 netcfg/disable_dhcp デフォルトでは、debian-installer は DHCP によりネットワークの設定を自動検出 します。検出が成功すると、確認する機会がなく検出値を変更できないでしょう。 DHCP の検出が失敗する場合のみ、手動ネットワーク設定を行えます。 ローカルネットワークに DHCP サーバがあるのに、それを回避したい場合 (例: 誤 った値を返す等)、 DHCP でのネットワーク設定をせず手動で情報を入力するのに、 netcfg/disable_dhcp=true パラメータを使用できます。 hw-detect/start_pcmcia PCMCIA サービスが原因で問題が発生する場合、 false を設定することで、起動し ないようにすることができます。いくつかのラップトップコンピュータには、そう いう行儀悪さがあることが知られています。 preseed/url preconfiguration ファイルをダウンロードする URL を指定します。これは自動イ ンストールで使用します。項4.7. 「自動インストール」を参照してください。 preseed/file 自動インストールで読み込む preconfiguration ファイルの PATH を指定します。 項4.7. 「自動インストール」を参照してください。 ramdisk_size 2.2.x カーネルを使用するのなら、 ramdisk_size=13000 を設定する必要があるか もしれません。 5.3. インストールプロセスのトラブルシューティング 5.3.1. フロッピーディスクの信頼性 フロッピーディスクを用いて Debian をインストールする人がつまづく最大の問題は、 フロッピーディスクの信頼性だと思います。 特にブートフロッピーが最も問題になるようです。これは Linux が起動する前に、ハー ドウェアから直接読み込まれるからでしょう。ハードウェアは Linux のフロッピーディ スクドライバほど信頼性の高い方法で読み込みを行ってくれないことが多く、正しくな いデータに当たると、エラーメッセージも表示せずに単に止まってしまいます。ドライ バフロッピーで問題が起きることもあるようで、この場合は大抵、ディスク I/O エラー に関するメッセージが大量に表示されます。 インストールが特定のフロッピーで停止してしまう場合は、まずフロッピーディスクの イメージをダウンロードし直して、それを別のフロッピーに書き直してみることです。 古いフロッピーをフォーマットし直すだけでは充分ではありません (そのフロッピーの フォーマットと書き込み時にエラーが出なかったとしても、です)。フロッピーを別のシ ステムで書き込んでみると、うまくいくこともあるようです。 あるユーザの報告によると、イメージのフロッピーへの書き込みを 3 回やり直さないと 、うまく動くようにならなかったそうです。その 3 番目のフロッピーでは、何も問題な くいったそうです。 また別のユーザからの報告では、同じフロッピーをドライブに入れたまま数回再起動を 繰り返すだけで、うまく起動したのだそうです。これはハードウェアかファームウェア のフロッピードライバのできが悪かったためでしょう。 5.3.2. 起動設定 ブートプロセスの最中にカーネルがハングしたり、搭載されている周辺機器やドライブ が正確に認識されないなどの問題が起こったら、まず項5.2. 「ブートパラメータ」の説 明に従ってブートパラメータを確認してください。 インストーラから与えられたカーネルではなく、自分で作ったカーネルから起動した場 合は、 CONFIG_DEVFS が設定されていることを確認してください。このインストーラに は CONFIG_DEVFS が必要です。 また、増設カードや周辺機器を取り外して再起動してみると、このような問題が解決で きることもよくあります。 マシンにメモリがたくさん (512M 以上) 積まれていて、インストーラがカーネルの起動 時にハングする場合は、 mem=512m のようなブート引き数を使って、カーネルが扱うメ モリの量を制限する必要があるかもしれません。 5.3.3. カーネルの起動時メッセージの意味 ブートシーケンスの途中で、 can't find something (〜が見つからない), something not present (〜が存在しない), can't initialize something (〜を初期化できない), this driver release depends on something (このドライバには〜が必要だ) などのメ ッセージがたくさん出力されることがあります。これらのメッセージのほとんどは無害 です。これらが出力される理由は、インストールシステムのカーネルが、いろいろな周 辺デバイスのできるだけ多くに対応しようとしているからです。そのため、OS が実際に は存在しない周辺機器を探すことになるので、文句を吐くわけです。システムがしばら く止まったように見えることもあります。これはデバイスが反応するのを待っているた めに起こるものです (実際にはそのデバイスは存在しないので、止まってみえるわけで す)。システムの起動に要する時間が堪えがたいほど長い場合は、後で自前のカーネルを 作ることもできます (項8.4. 「新しいカーネルのコンパイル」参照)。 5.3.4. バグレポータ 最初の起動段階は通過したのに、インストールが完了できなかった場合は、バグレポー タメニューを選択するといいかもしれません。これはユーザのフロッピーに、システム のエラーログや設定情報をコピーします。この情報は、何が間違っていてどのように修 正するか、といった手がかりを示しているかもしれません。バグ報告を送る際に、バグ 報告にこの情報を付けることができます。 その他のインストールメッセージは、インストール中では /var/log/ で、インストール したシステムが起動した後では /var/log/debian-installer/ で見つかるでしょう。 5.3.5. インストールレポートの送信 まだ問題がある場合には、インストールレポートをお送りください。また、インストー ルが成功したときのインストールレポートもお送りください。そうすると、たくさんの ハードウェア設定情報を手に入れることができます。 インストールレポートを記入する際には、以下のテンプレートをお使いください。その ファイルを、installation-reports 疑似パッケージのバグ報告として、 < submit@bugs.debian.org> 宛にお送りください。 Package: installation-reports Boot method: <インストーラの起動方法は? CD? フロッピー? ネットワーク?> Image version: <イメージを取得した場所と日時> Date: <インストールした日時> Machine: <マシンの説明 (例 IBM Thinkpad R32)> Processor: Memory: Root Device: Partitions: Output of lspci and lspci -n: Base System Installation Checklist: [O] = OK, [E] = Error (please elaborate below), [ ] = didn't try it Initial boot worked: [ ] Configure network HW: [ ] Config network: [ ] Detect CD: [ ] Load installer modules: [ ] Detect hard drives: [ ] Partition hard drives: [ ] Create file systems: [ ] Mount partitions: [ ] Install base system: [ ] Install boot loader: [ ] Reboot: [ ] Comments/Problems: <簡単なインストールの説明、初期インストールの考察、コメント、アイデアなど> バグ報告の際には、カーネルがハングした直前に表示されたカーネルメッセージを添え て、何が問題なのかを説明してください。また、問題が起きるまでにシステムに対して 行ったことも記述してください。 ━━━━━━━ ^[2] カーネルは最大でコマンドラインオプションを 8 つと、環境オプションを 8 つ受 け付けます。 (インストーラがデフォルトで付加するオプション含む) もしこの数を超 過すると、 2.4 カーネルは超過したオプションを無視してしまいますし、 2.6 カーネ ルはカーネルパニックを起こしてしまいます。 第6章 Debian Installer の使用法 目次 6.1. インストーラの動作 6.2. コンポーネント入門 6.3. それぞれのコンポーネントの使用法 6.3.1. Debian Installer のセットアップとハードウェアの設定 6.3.2. パーティション分割とマウントポイント選択 6.3.3. 基本システムのインストール 6.3.4. システム起動可能化 6.3.5. 第 1 ステージ完了 6.3.6. その他 6.1. インストーラの動作 Debian Installer は各インストールタスクを実行するために、たくさんの特定用途コン ポーネントから成ります。各コンポーネントは、必要ならユーザに質問をして、そのタ スクを実行します。この質問には優先度が設定されており、この優先度はインストーラ の起動時に設定することができます。 デフォルトのインストールでは、不可欠な (優先度が高い) 質問しかしません。これに より、ユーザの入力をほとんど行わず、高度な自動インストールを行うことができます 。コンポーネントは自動的に順番に実行されます。どのコンポーネントを実行するかは 、主に使用するインストール法やハードウェアに左右されます。インストーラは、質問 しない項目についてはデフォルト値を使用します。 問題がある場合はエラー画面を表示し、インストーラメニューに、代替アクションを選 択するように表示するかもしれません。いずれも問題なければ、ユーザはインストール メニューを目にすることはなく、単に順番に各コンポーネントの質問に答えて行くだけ でしょう。重大なエラー通知は優先度を「重要」に設定されているため、常に表示され ます。 インストーラが使用するデフォルト値は、 debian-installer の起動時にパラメータで 渡して指定できます。たとえば、強制的に静的ネットワーク設定をしたい場合、 (デフ ォルトでは可能なら DHCP を利用します) 起動パラメータに netcfg/disable_dhcp=true を加えることができます。利用できるオプションは項5.2.1. 「Debian Installer パラ メータ」を参照してください。 パワーユーザは、メニュードリブンインターフェース (自動で順に各ステップを実行す るインストーラではなく、ユーザが各ステップを制御する) の方が、満足するかもしれ ません。手動 (メニュー駆動) でインストーラを使用するには、起動引数に debconf/ priority=medium を加えてください。 ハードウェアをインストールする際に、オプションをカーネルモジュールへ渡す必要が ある場合、「エキスパート」モードでインストーラを起動する必要があります。これは 、インストーラを起動するコマンドに expert を使用する、あるいは起動引数に debconf/priority=low を加えることで行います。エキスパートモードでは debian-installer をフルコントロールできます。 通常インストーラの表示はキャラクタベースです。 (今、よりよく知られているグラフ ィカルインターフェースに対立する用語として) マウスはこの環境では使用できません 。ここでは、様々なダイアログでナビゲートするキーを紹介します。ボタンや選択肢が 表示している間は、 Tab キーや右矢印は「前方」へ、 Shift-Tab や左矢印は「後方」 へ移動します。上下矢印は、スクロールするリスト内の項目を選択し、またリスト自体 もスクロールさせます。さらに、長いリストでは、タイプした文字で始まる項目に直接 スクロールしますし、リストのスクロールにPg-Up や Pg-Down も使用できます。 space barは、チェックボックスのような項目を選択します。選択肢を有効にするには Enter を使用してください。 エラーメッセージは第 3 コンソールにリダイレクトされます。このコンソールへは左 Alt-F3 (左 Alt キーを押しながら F3 ファンクションキーを押す) を押してアクセスし てください。左 Alt-F1 で、メインのインストーラプロセスに戻ります。 これらのメッセージは /var/log/messages で見つけることもできます。インストールの 後、このログはあなたの新システムの /var/log/debian-installer/messages にコピー されます。他のインストールメッセージは、インストール中には /var/log/ に、インス トールしたシステムでコンピュータが起動した後には /var/log/debian-installer/ に あります。 6.2. コンポーネント入門 ここではインストーラコンポーネントを各コンポーネントの簡単な説明を添えて一覧し ます。特定のコンポーネントを使用するにあたり、知る必要があるかもしれない詳細は 項6.3. 「それぞれのコンポーネントの使用法」にあります。 main-menu インストーラの操作中にユーザにコンポーネントのリストを見せ、選択されたコン ポーネントを起動します。 main-menu では質問の優先度が「中」に設定されていま す。そのため、あなたの指定する優先度が、「高」や「重要」 (デフォルトは「高 」です) に設定されていれば場合、メニューを見ることはないでしょう。一方、あ なたの入力が必要なエラーが起きた場合、その問題を解決するために、質問の優先 度が一時的に格下げされるかもしれません。その場合、メニューが表示される可能 性があります。 現在実行しているコンポーネントから抜けるために、「Back」ボタンを繰り返し選 択してメインメニューに戻れます。 languagechooser 言語と言語の変種のリストを表示します。インストーラは、翻訳が完了していない 言語を除いて選択された言語で、メッセージを表示します。翻訳が完了していない 言語は、英語のメッセージが表示されます。 countrychooser 国のリストを表示します。ユーザが住んでいる国を選択できます。 kbd-chooser キーボードのリストを表示します。お持ちのキーボードに一致するモデルを選択し てください。 hw-detect システムのほとんどのハードウェアを自動検出します。これには、ネットワークカ ード、ディスクドライブ、PCMCIA が含まれます。 cdrom-detect Debian インストール CD を探しマウントします。 netcfg インターネットへ通信できるように、コンピュータのネットワーク接続を設定しま す。 iso-scan CD-ROM やハードディスクにある ISO ファイルシステムを探します。 choose-mirror Debian アーカイブミラーのリストを表示します。インストールするパッケージの取 得元を選択できるでしょう。 cdrom-checker CD-ROM の整合性チェック。これにより、インストール CD-ROM が壊れていないか自 分で保証できます。 lowmem lowmem は、少ないメモリを備えたシステムを検出を試み、次に debian-installer の不必要な部分を、メモリから (いくつかの機能を犠牲にして) 削除する様々なト リックを行います。 anna Anna's Not Nearly APT. (Anna はちっとも APT (適切) じゃない) 選択したミラー サーバや CD から、パッケージを取得してインストールします。 partman システムの内蔵ディスクを分割し、選択したパーティションのファイルシステムを 作成し、マウントポイントにそのファイルシステムを付けることができます。完全 自動モードや LVM サポートといったさらに面白い機能があります。これは Debian での好ましいパーティション分割ツールです。 autopartkit プリセットされたユーザの選択によって、自動的に全ディスクを分割します。 partitioner システムのディスクを分割することができます。あなたのコンピュータのアーキテ クチャに最適な、パーティション分割プログラムが選ばれます。 partconf パーティションのリストを表示します。また、選択したパーティションにファイル システムを作成します。 lvmcfg LVM (Logical Volume Manager) の設定について、ユーザの補助を行います。 mdcfg ソフトウェア RAID (Redundant Array of Inexpensive Disks) の設定をユーザに許 可します。このソフトウェア RAID は、新しめのマザーボードに見られる、安い IDE (疑似ハードウェア) RAIDコントローラより通常優秀です。 base-installer 再起動時にコンピュータが Linux で動作することができるように、もっとも基本的 なパッケージのセットをインストールします。 os-prober コンピュータに現在インストールされている OS を検出し、この情報を (bootloader のスタートメニューに発見した OS を加える機能を提供する) bootloader-installer へ渡します。これは、起動時にどの OS で起動するかを、ユ ーザが簡単に決める方法です。 bootloader-installer ハードディスクにブートローダプログラムをインストールします。これは、フロッ ピーや CD-ROM を使用しないで Linux を起動するのに必要です。ブートローダの多 くは、コンピュータが起動するごとに代替オペレーティングシステムを選ぶことが できます。 base-config 設定によって基本システムのパッケージをセットアップするダイアログを提供しま す。これは通常、コンピュータを再起動した後に行われます。そのため新しい Debian システムの「初稼働」となります。 shell メニューから、もしくは第 2 コンソールで shell を実行できます。 bugreporter 後で Debian 開発者へ、インストーラソフトウェアの障害を正確に報告するために 、障害に遭遇した際の、フロッピーディスクに情報を記録する方法を提供します。 6.3. それぞれのコンポーネントの使用法 本節では、各インストーラコンポーネントの詳細について述べていきます。コンポーネ ントは、ユーザに認識できる段階へグループ化されました。それらは、install 中に現 われる命令の形で示されます。すべてのモジュールを、インストール時に使用するとは 限らない、ということに注意してください。どのモジュールを実際に使用するかは、使 用するインストール法やハードウェアに左右されます。 6.3.1. Debian Installer のセットアップとハードウェアの設定 Debian Installer が起動して、最初の画面が表示されていると仮定しましょう。このと き、debian-installer の機能はまだ制限されています。ハードウェア、希望する言語、 実行するタスクなどに関しても、まだ知りません。しかし心配しないでください。 debian-installer は非常に賢いので、ハードウェアの自動検出をしたり、コンポーネン トの残りを見つけたり、高性能なインストールシステムに自分自身をアップグレードす ることができます。しかし、 (希望する言語、キーボードレイアウト、使用するネット ワークミラーの選択のように) いくつかのタスクでは自動的に決定することができない ので、 debian-installer を助けてあげる必要があります。 この段階で debian-installer がハードウェア検出を数回行うことに気がつくでしょう 。最初は、特にインストーラコンポーネントが必要とするハードウェア (例: CD-ROM や ネットワークカード) をロードするのが目的です。初回実行中にすべてのドライバが使 用可能であるわけではないので、ハードウェア検出をそのプロセス中の後で繰り返す必 要があります。 6.3.1.1. 有効なメモリのチェック debian-installer がまず行うことの一つが、有効なメモリをチェックすることです。有 効なメモリに制限がある場合、このコンポーネントは、システムに Debian GNU/Linux をインストールできるように、インストールプロセスをいくらかの変更を加えます。 少ないメモリでのインストールは、すべてのコンポーネントが有効とはなりません。制 限のうちの 1 つは、インストール用に言語を選ぶことができないだろうということです 。 6.3.1.2. 言語選択 インストールの最初のステップとして、インストールプロセスで使用したい言語を選択 してください。言語名は英語 (左側) と原語 (右側) の両方で表示しています。右側の 名称は、その言語そのもので書かれた表記です。このリストは英語名順に並んでいます 。 異なるダイアログの翻訳が利用できるなら、選んだ言語をインストールプロセスの残り で使用できます。選択した言語で、有効な翻訳が利用できなければ、インストーラは自 動的に英語になります。選択した言語は適切な、キーボードレイアウトの選択を助ける ためにも使用されます。 6.3.1.3. 国選択 項6.3.1.2. 「言語選択」で複数の国で話されている言語 (中国語、英語、フランス語、 その他の多くの言語) を選択した場合、国を指定する事ができます。一覧の最後の Other を選択した場合、大陸でグループ分けしたすべての国のリストが提供されます。 ここで選択した内容は、デフォルトのタイムゾーンや、地理的に適した Debian ミラー サーバを取得するために後のプロセスで使用されます。インストーラが提案したデフォ ルト値が適切でない場合、別の選択を行なうことができます。選択した国は、選択した 言語とあわせて、新しい Debian システム用の locale 設定に影響するかもしれません 。 6.3.1.4. キーボード選択 キーボードは、しばしば言語で使用する文字に合わされています。使用しているキーボ ードに一致するレイアウトを選択するか、希望のキーボードレイアウトが表示されなけ れば、近いものを選択してください。いったんシステムのインストールが完了すれば、 もっと広い範囲からキーボードレイアウトを選ぶことができます。 (インストールが完 了した後に、root で kbdconfig を実行してください) 希望のキーボードにハイライトを移動させて、Enter を押してください。ハイライトの 移動には矢印キーを使用してください。どの言語のキーボードでも同じ場所にあるため 、キーボードの設定に依存しません。「拡張」キーボードとは、最上段に F1 から F10 キーを備えたものです。 英語キーボードには 2 種類のキーボードレイアウトがあります。 qwerty/mac-usb-us (Apple USB) レイアウトは、Alt 機能が (PCキーボードの Alt に似た space キーの隣 にある) Command/Apple キーに割り当てられています。 qwerty/us (Standard) レイア ウトでは、Alt 機能が (多くの Mac キーボードでは 'alt' も刻印されている) Option キーに割り当てられています。その他の点ではこの 2 つのレイアウトはよく似ています 。 6.3.1.5. Debian Installer iso イメージの検索 hd-media でインストールを行う場合、インストールするファイルの残りを得るために、 Debian Installer iso イメージを見つけてマウントする必要があるでしょう。 iso-scan コンポーネントはその名の通り行います。 初めに iso-scan は、既知のファイルシステムがあるブロックデバイス (例えばパーテ ィション) を自動的にすべてマウントし、.iso (もっと言えば .ISO) で終わるファイル 名を順番に検索します。初回の試行でルートディレクトリ中、およびそのサブディレク トリ内しか検索しないことに注意してください (つまり /whatever.iso や /data/ whatever.iso を検出しますが、 /data/tmp/whatever.iso は検出しないということで す)。 iso イメージの検出後、iso-scan は、そのイメージが有効な Debian iso イメー ジであるか否かを決定するため、その内容をチェックします。前者の場合は完了します が、後者の場合 iso-scan は別のイメージを探します。 インストーラ iso イメージを探す試行が失敗する場合、 iso-scan はより徹底的に検索 するか確認します。このパスは最上位のディレクトリのみ調査しませんが、実際にファ イルシステム全体を全探索します。 iso-scan がインストーラ iso イメージを検出しない場合、元の OS を起動し直して、 イメージが (.iso で終わる) 正しい名前になっているか、 debian-installer が認識で きるファイルシステムに配置しているか、 (チェックサムを検証して) 壊れていないか チェックしてください。 Unix の経験があるユーザは、再起動せずに第 2 コンソール上 でチェックできます。 6.3.1.6. ネットワークの設定 このステップに入って、ネットワークデバイスが 1 つ以上あることをシステムが検出す ると、どのデバイスを主要 (つまりインストールに使用する) ネットワークインターフ ェースとするか、質問されます。その他のインターフェースはここでは設定しません。 インストールが完了したところで、追加のインタフェースを設定できるでしょう。 interfaces(5) man ページを参照してください。 デフォルトでは、debian-installer はコンピュータのネットワークを DHCP より自動的 に設定しようとします。 DHCP の検出に成功すれば完了です。失敗した場合、ネットワ ークケーブルが繋がっていないから、DHCP の設定が間違っているまで、幅広い原因が考 えられます。またローカルネットワークに DHCP サーバがないかもしれません。詳細な 説明のため、 3 番目のコンソールに表示するエラーメッセージをチェックしてください 。いずれの場合も、再実行するか、手動設定を実行するか、を質問されます。 DHCP サ ーバは、時々そのレスポンスが遅いことがあります。そのため、すべて適切であると確 信するなら、再実行してください。 ネットワークの手動設定では、ネットワークについていくつか ? 特に、 IP アドレス、 ネットマスク、ゲートウェイ、ネームサーバのアドレス、ホスト名について質問します 。さらに、無線ネットワークインターフェースがあるなら、無線 ESSIDと、 WEP キーを 質問します。項3.3. 「必要な情報」から回答を書き込んでください。 注意 見つけるか見つけないかはともかく,技術的詳細は手軽に見つかります。プログラムで は、ネットワーク IP アドレスが、システムの IP アドレスとネットマスクのビット積 であると仮定します。ブロードキャストアドレスは、システムの IP アドレスと、ネッ トマスクのビット否定とのビット和であると推測します。さらにゲートウェイも推測し ます。これらのうち、どれかがわからなければ、システムの推測を使用してください。 一度、システムをインストールした後で、必要なら /etc/network/interfaces を編集し て、それらを変更することができます。その他には、ネットワーク設定を順を追って行 う etherconf をインストールすることもできます。 6.3.2. パーティション分割とマウントポイント選択 最後のハードウェア検出が完了した時点で、 debian-installer はユーザのニーズ通り にカスタマイズされ、実際の作業ができるような、準備万端の状態にあります.本節の タイトルが表すように、次の少数のコンポーネントの主要なタスクは、ディスクのパー ティションを分割し、ファイルシステムを作成し、マウントポイントを割り当てて、 LVM や RAID 装置のような密接に関係する件のオプション設定を行うことです。 6.3.2.1. ディスクのパーティション分割 さあ、ディスクのパーティションを分割しましょう。パーティション分割に不安があっ たり、詳細を知りたければ、付録 B. Debian でのパーティション分割をご覧ください。 最初に、ドライブのすべてか、またはドライブの空き領域を、自動的にパーティション 分割するか選択する機会が与えられます。これを「ガイド」パーティション分割とも呼 びます。自動分割を望まなければ、 Manually edit partition table を選んでください 。 ガイドパーティション分割を選択した場合、以下の表から分割案を選択できます。どの 案でも賛否両論あり、付録 B. Debian でのパーティション分割で議論されています。よ くわからなければ、最初の項目を選択してください。ガイドパーティション分割は、最 低限動作する空き領域が必要なことを、心に留めておいてください。少なくとも 1GB の 空き領域 (選択した方法に依存します) がなければ、ガイドパーティション分割は失敗 してしまいます。 ┌─────────────┬────┬────────────────┐ │ パーティション分割方法 │最低容量│ 作成するパーティション │ ├─────────────┼────┼────────────────┤ │All files in one partition│600MB │/, swap │ ├─────────────┼────┼────────────────┤ │Desktop machine │500MB │/, /home, swap │ ├─────────────┼────┼────────────────┤ │Multi-user workstation │1GB │/, /home, /usr, /var, /tmp, swap│ └─────────────┴────┴────────────────┘ 分割案を選択後、新しいパーティションテーブルが次の画面に表示されます。ここでは 、パーティションがどのようにフォーマットされるか、どこにマウントされるかといっ た情報が含まれています。 パーティション一覧は以下のようになります。 IDE1 master (hda) - 6.4 GB WDC AC36400L #1 primary 16.4 MB ext2 /boot #2 primary 551.0 MB swap swap #3 primary 5.8 GB ntfs pri/log 8.2 MB FREE SPACE IDE1 slave (hdb) - 80.0 GB ST380021A #1 primary 15.9 MB ext3 #2 primary 996.0 MB fat16 #3 primary 3.9 GB xfs /home #5 logical 6.0 GB ext3 / #6 logical 1.0 GB ext3 /var #7 logical 498.8 MB ext3 #8 logical 551.5 MB swap swap #9 logical 65.8 GB ext2 この例では、2 つの IDE ハードディスクを、いくつかのパーティションに分割していま す。第 1 ディスクには空き領域がいくらかあります。パーティション行ごとに、パーテ ィション番号、パーティションタイプ、サイズ、追加フラグ、ファイルシステム、マウ ントポイントを表示しています。 これでガイドパーティション分割を終えます。生成されたパーティションテーブルでよ ければ、 (本節の最後に書かれているように) 新しいパーティションテーブルを反映す るよう、 Finish partitioning and write changes to disk をメニューから選べます。 そうでなければ、もう一度ガイドパーティション分割をしたり、以下に述べる手動パー ティション分割で提案する変更を修正をするのに Undo changes to partitions を選べ ます。 手動パーティション分割を選択すると、既存のパーティションテーブルがマウントポイ ントなしで表示されるのを除き、前述と同様の画面が表示されます。パーティションテ ーブルの手動セットアップの方法と、新しい Debian システムでのパーティションの使 用法については、本節の残りで扱います。 パーティションも空き領域もない、素のハードディスクを選択すると、新しいパーティ ションテーブルを作成するよう促されます (新しいパーティションを作成するのに必要) 。すると選択したディスクの下に、「FREE SPACE」 (空き領域) という新しい行が現れ ます。 空き領域を選択すると、新しいパーティションを作成するよう促されます。サイズやタ イプ (基本か論理か) 、場所 (空き領域の先頭からか最後からか) といった、一覧の簡 単な質問に答えなければなりません。この後、新しいパーティションの詳細な概要が得 られます。そこには、マウントポイントやマウントオプション、起動フラグ、用途とい ったオプションがあります。あらかじめ選択されたデフォルト値が気に入らなければ、 自由にお好みのものへと変更してください。例えば、オプション Use as: を選択すると 、スワップ、ソフトウェア RAID、LVM、またそれ以外のファイルシステムに、このパー ティションを変更できます。他の便利な機能として、既存のパーティションからこのパ ーティションに、データをコピーすることができる可能性があるということです。新し いパーティションに満足したら、 Done setting up the partition を選択して、 partman のメイン画面に戻ってください。 パーティションに対して変更を加えたい場合は、単にそのパーティションを選択して下 さい。パーティションの設定メニューに入れます。新しいパーティションを作成するの と同じ画面ですので、同様の選択肢を変更するだけで行えます。一見してよくわからな いかもしれないのは、表示されているパーティションのサイズを選択して、サイズ変更 ができることです。動作することがわかっているファイルシステムは、少なくとも fat16, fat32, ext2, ext3, swap です。このメニューではパーティションを削除するこ ともできます。 少なくとも 2 つのパーティションを必ず作成してください。 1 つは swap で、もう 1 つは (/ にマウントする) ルートファイルシステムです。ルートファイルシステムをマ ウントし忘れると、この問題を修正するまで partman は先に進みません。 partman の機能は、インストーラモジュールで拡張できますが、システムのアーキテク チャに依存します。あるはずの機能を確認できなければ、すべての必要なモジュールが 読み込まれているか確認してください。 (例: partman-ext3, partman-xfs, partman-lvm) パーティション分割に満足したら、パーティション分割メニューから Finish partitioning and write changes to disk を選択してください。ディスクに行われる変 更内容が表示され、その通りファイルシステムを作成するかどうか確認することになり ます。 6.3.2.2. 論理ボリュームマネージャ (LVM) の設定 システム管理者や「上級」ユーザとしてコンピュータを動かしていると、ディスク内の あるパーティション (たいてい最も重要なもの) が足らなくなり、他のパーティション は全体的にあまり使用されていないという状況が、確実にあります。このようなときは 、内容を移動したりシンボリックリンクを張るといった管理を行うことになります。 上記のような状況を避けるために、論理ボリュームマネージャ (LVM) を利用できます。 簡単に言うと、LVM では複数のパーティション (LVM 用語で物理ボリューム (physical volumes)) を仮想ディスクの形に結合でき、このディスクを仮想パーティション (論理 ボリューム (logical volumes)) に分割できます。ポイントは、論理ボリュームは (も ちろんその下のボリュームグループも)、複数の物理ディスクをまたがって定義できると 言うことです。 例えば、古い 160GB の/home パーティションに、もっと容量を追加することを考えます 。単にあなたは新しい 300GB のディスクをコンピュータに追加し、既存のボリュームグ ループに入れます。その後 /home ファイルシステムを保持したまま論理ボリュームをリ サイズします。ユーザは更新された 460GB のパーティションを、以前と同じ部屋として 使うことができます。もちろんこの例は少し単純にしすぎです。まだ読んでいないよう なら、 LVM HOWTO を調べるべきです。 debian-installer での LVM のセットアップはかなりシンプルです。始めに、パーティ ションを LVM の物理ボリュームとして使用するよう、マークをつけねばなりません。 (Partition settings メニューの partman 内で Use as:->physical volume for LVM を 選ぶことで行います) そうしたら lvmcfg モジュールを (partman から直接起動でも debian-installer のメインメニューからでも) 起動し、 Modify volume groups (VG) メニューで、物理ボリュームをボリュームグループに結合します。その後、Modify logical volumes (LV) からボリュームグループの先頭に論理ボリュームを作成してくだ さい。 注意 Apple Power Macintosh のハードウェアで、 LVM データのあるパーティションを特定す る一般的な標準はありません。この特殊なハードウェアでは、物理ボリュームやボリュ ームグループを作成するのに上述の手順ではできません。もし基本的な LVM ツールに詳 しければ、この制限を回避する方法があります。 Power Macintosh ハードウェア上の論理ボリュームにインストールするには、すべての ディスクパーティションを通常の論理ボリュームで作成してください。このパーティシ ョンは Partition settings メニューで、 Use as:->Do Not Use を選択してください。 (物理ボリュームとしてパーティションを作成する方法はありません) すべてのパーティ ション作成が終わったら、通常通り論理ボリュームマネージャを起動してください。し かし物理ボリュームの作成をしていないため、今度は別の仮想端末上のコマンドシェル にアクセスし (項6.3.6.2. 「シェルの使用とログの参照」参照)、手動で作成しなけれ ばなりません。 シェルコマンドプロンプトで pvcreate コマンドを使用し、選択したパーティションに 物理ボリュームを作成してください。その後、vgcreate コマンドで必要なボリュームグ ループを作成してください。その間、「メタデータエリアヘッダチェックサムが不正」 や「fsync エラー」といったエラーは安全に無視できます。ボリュームグループを作成 し終えたら、最初の仮想端末に戻り、 lvmcfg の論理ボリューム管理の項目を直接選択 してください。そこにボリュームグループがありますので、後は通常通り論理ボリュー ムを作成してください。 lvmcfg から partman に戻ると、通常のパーティションと同様に作成した論理ボリュー ムが見えるはずです。 (通常のパーティションと同様に扱ってください) 6.3.2.3. マルチディスクデバイス (ソフトウェア RAID) の設定 コンピュータに複数ハードディスクドライブがある^[3]なら、ドライブのパフォーマン スの向上やデータの信頼性向上のために mdcfg を使用できます。この結果をマルチディ スクデバイス (ソフトウェア RAID の方が有名) と呼ばれます。 MD は基本的に別のディスクにあるパーティションを束ねて、論理デバイスの形に結合し たものです。このデバイスは通常のパーティション (例: partman でフォーマットでき 、マウントポイントに割り当てられる等) と同様に使用できます。 享受する恩恵は、作成した MD デバイスの種類に依存します。現在、以下をサポートし ています。 RAID0 RAID0 はパフォーマンスに主眼をおいています。 RAID0 は全入力データを stripes へ分割し、均等にディスクアレイの各ディスクに分配します。これにより、読取・ 書込の処理速度を向上できますが、ディスクのうちの 1 つが破損したら、すべてを 失ってしまいます。 (情報の一部は正常なディスク上にありますが、他の部分は破 損したディスク上にあるからです) RAID0 の典型的な使用法は映像編集用のパーティションです。 RAID1 信頼性第一である場合、RAID1 を構成するとよいでしょう。全パーティションが正 確に同じデータを含むような、いくつかの (たいてい 2 つ) 等しいサイズのパーテ ィションから成ります。これは本質的に 3 つのことを意味します。まずディスクの 1 つが破損した場合、残ったディスクにデータミラーが残ります。次に利用可能領 域の断片だけの使用もできます。 (もっと正確には、RAID で構成する最小のパーテ ィションサイズとなります) 第 3 に、ディスクからのファイルの読み込みをロード バランスする事ができます。これにより、ファイルサーバのような、書き込みより 読み込みの方が負荷が高くなる傾向のあるサーバのパフォーマンスを改善できます 。 破損した場合に、任意に予備ディスクを破損したディスクの代わりに、ディスクア レイにつけることができます。 RAID5 RAID5 は速度と信頼性、データの冗長性をうまく折衷しています。 RAID5 はストラ イプへ入力するデータをすべて分割し、 1 つ以外の全ディスクに (RAID0 のよう に) 等しく分配します。 RAID0 と違い、RAID5 は (残りのディスクに書かれてい る) パリティ情報も計算します。パリティディスクは静的 (これを RAID4 と呼ぶ) ではありません。 (定期的に変更され) パリティ情報を全ディスクに等しく分配し ます。あるディスクが故障した場合、情報の失った部分は残ったディスクとそのパ リティから計算されます。 RAID5 は少なくとも 3 つのアクティブなパーティショ ンから成ります。故障した場合に、任意でディスクアレイ中の故障したディスクの 箇所に予備のディスクをセットできます。 おわかりのように、RAID5 は RAID1 より冗長性が少なく、同程度の信頼性を持ちま す。一方パリティ情報を計算することで、RAID0 より書込操作が少し遅いかもしれ ません。 まとめると ┌───┬─────┬───┬───────┬───────────────┐ │タイプ│デバイス最│予備デ│ディスク破損に│ 利用可能領域 │ │ │ 小構成数 │バイス│ 耐えるか? │ │ ├───┼─────┼───┼───────┼───────────────┤ │RAID0 │2 │なし │不可 │RAID にある最小パーティション │ │ │ │ │ │のサイズ?デバイス数 │ ├───┼─────┼───┼───────┼───────────────┤ │RAID1 │2 │任意 │可 │RAID にある最小パーティション │ │ │ │ │ │のサイズ │ ├───┼─────┼───┼───────┼───────────────┤ │RAID5 │3 │任意 │可 │RAID にある最小パーティション │ │ │ │ │ │のサイズ?(デバイス数 - 1) │ └───┴─────┴───┴───────┴───────────────┘ ソフトウェア RAID に関して、全体を通して正しいことが知りたければ、 Software RAID HOWTO をご覧ください。 注意 Apple Power Macintosh のハードウェアで、 RAID データのあるパーティションを特定 する一般的な標準はありません。そのため debian-installer では、このプラットフォ ームでの RAID のセットアップはサポートしていません。 MD デバイスを作成するには、RAID で使うための (これは Use as:->physical volume for RAID を選択して出てくる、Partition settings メニューの partman で行えます) 警告 MD のサポートは、インストーラに比較的新しく追加されました。 root (/) ファイルシ ステム用に MD を使用するなら、 RAID レベルやブートローダと組み合わせた際の問題 に行き当たるでしょう。経験を積んだユーザ向けに、いくつか設定したりインストール ステップをシェルから手動で行ったりして、問題を回避して動作させることができるか も知れません。 次にメインの partman メニューから Configure software RAID を選んでください。 mdcfg の最初の画面では、単に Create MD device を選択してください。サポートされ る MD デバイスのリストも提供されます。この中から 1 つ (例: RAID1) を選択してく ださい。その後は選択した MD デバイスに依存します。 ● RAID0 は単純です。利用可能な RAID パーティションの一覧が提供されますので、 単に MD にするパーティションを選択してください。 ● RAID1 は少しトリッキーです。まず MD にするアクティブなデバイスの数、スペア デバイスの数を入力します。次に利用可能な RAID パーティションの一覧からアク ティブのもの、次にスペアのものを選ぶ必要があります。選択したパーティション の数と先ほど入力した数は一致しなければなりません。心配しないでください。間 違って違う数のパーティションを選択した場合、debian-installer は問題を修正す るまで、先に進ませません。 ● RAID5 では、少なくとも 3 つのアクティブパーティションを使用する必要があると いう例外を除き、 RAID1 と同様のセットアップ手続きを行います。 同時に数種の MD を持つことは完全に可能です。例えば、3 つの 200GB の MD 専用ドラ イブがあって、どれも 2 つの 100GB のパーティションに分かれている場合、 3 つのド ライブすべての最初のパーティションを RAID0 (高速な 300GB のビデオ編集パーティシ ョン) で結合でき、その他の 3 つのパーティション (アクティブ 2 基、スペア 1 基) を RAID1 (/home 用に信頼できる 100GB のパーティション) で結合できます。 お好みの通りに MD デバイスの設定をした後で、 Finish mdcfg として partman に戻れ ます。新しい MD デバイスにファイルシステムを作成し、マウントポイントなどの通常 の属性を設定してください。 6.3.3. 基本システムのインストール この段階が最重要問題でないとはいえ、全体の基本システムをダウンロード、確認、展 開にインストールのほとんどの時間を費やします。遅いコンピュータや遅いネットワー ク接続しか持っていなければ、ある程度時間がかかるかもしれません。 6.3.3.1. 基本システムのインストール 基本のインストール中は、パッケージの展開・設定メッセージは、 tty3 にリダイレク トされます。 Left Alt-F3 を押すと、この端末 (terminal) にアクセスできます。元の インストーラの画面に戻るには、 Left Alt-F1 を押してください。 シリアルコンソールでのインストール中に、基本インストールが出力する展開・設定メ ッセージは、 /var/log/messages に保存されます。 インストール部では、Linux カーネルがインストールされます。デフォルトの優先度で は、インストーラはハードウェアと最も適合するカーネルを選びます。より低い優先度 モードでは、利用可能なカーネルのリストから選ぶことができます。 6.3.4. システム起動可能化 ディスクなしワークステーションにインストールするなら、ローカルディスクから起動 するなんて、明らかに意味がありませんから、このステップをスキップしてください。 同一マシンで複数の OS を起動させるのは、まだかなり魔術的です。ここでは、様々な ブートマネージャに言及しません。アーキテクチャによって、さらにサブアーキテクチ ャによってさえ変わるからです。詳しくは、ブートマネージャのドキュメントをご覧く ださい。 6.3.4.1. 他 OS の検出 ブートローダがインストールされる前に、インストーラは既にインストールされている 他の OS の検出を試します。サポートする OS を見つけると、ブートローダインストー ルステップの間にそれを通知します。また、Debian に加えて他の OS をブートできるよ うに、このコンピュータを設定します。 複数の OS を同一の機械で起動するのは、いまだに魔術的だということに注意してくだ さい。他の OS を検出し起動するようにブートローダをセットアップする自動サポート は、アーキテクチャごとに (サブアーキテクチャそれぞれでさえ) 異なります。作動し ない場合は、詳細についてブートマネージャの文書を調べるべきです。 注意 OS を検出する時にそのパーティションがマウントされていれば、インストーラは他の OS を検出しないかもしれません。これは、partman で他の OS を含むパーティション用 にマウントポイントを選択 (例: /win) したり、コンソールから手動でパーティション をマウントした場合に起きるかも知れません。 6.3.4.2. ハードディスクへの Yaboot のインストール 新しめ (1998 年中期以降) の PowerMac は、ブートローダに yaboot を使用します。イ ンストーラは、yaboot を自動でセットアップします。そのため、「bootstrap」という 名前で、 820k という小さなパーティションが必要です。このパーティションは、パー ティション分割コンポーネントで Apple_Bootstrap 形式にしてください。このステップ が正常に完了したら、そのディスクが起動可能になっており、 OpenFirmware が Debian GNU/Linux を起動できるように設定されています。 6.3.4.3. ハードディスクへの Quik のインストール OldWorld Power Macintosh 用のブートローダは quik です。これは CHRP でも使用でき ます。インストーラは、自動的に quik をセットアップしようと試みるでしょう。この セットアップは、7200, 7300, 7600 Powermac や Power Computing のクローンで動作す ることが知られています。 6.3.4.4. ブートローダなしで継続 このオプションは、アーキテクチャ/サブアーキテクチャにブートローダがない、あるい はインストールする気がない (例えば、既存のブートローダを使用するつもりであると か) 時に、ブートローダをインストールしていなくても、インストールを完了するのに 利用できます。 手動でブートローダを設定する場合、/target/boot にインストールしたカーネルの名前 をチェックしてください。またそのディレクトリに initrd が存在するかチェックして ください。存在するなら、ブートローダにそれを使うよう指定しなければなりません。 他に必要な情報は、 / ファイルシステムとするディスクないしパーティション、 (/ boot を個別のパーティションとする場合) /boot ファイルシステムとするディスクない しパーティションが必要です。 6.3.5. 第 1 ステージ完了 新しい Debian を再起動する前にちょっとすることがあります。ほとんどが debian-installer の後片付けです。 6.3.5.1. インストールの完了と再起動 初期の Debian インストールプロセスの最終ステップです。インストーラの起動に使用 したブートメディア (CD, floppy, etc) を、取り出すよう促されます。インストーラは 最後の数タスクを実行してから、再起動して新しい Debian システムを起動します。 6.3.6. その他 本節で挙げたコンポーネントは、通常インストールプロセスに関係しませんが、何かが うまく行かない時にユーザを助けられるようバックグラウンドで待っています。 6.3.6.1. インストールログの保存 インストールが成功したら、インストールプロセス中のログファイルが、新しい Debian システムの /var/log/debian-installer/ に自動的に作成されています。 メインメニューから Save debug logs を選択すると、ログファイルをフロッピーディス クに保存することができます。これは、インストール中に致命的な問題に遭遇してしま い、別システムでそのログを調査したいときや、インストールレポート向けにログを添 付したいときに便利です。 6.3.6.2. シェルの使用とログの参照 メニューには、Execute a Shell という項目があります。シェルを使用したくてもメニ ューが使用できないときは、 Left Alt-F2 (Mac のキーボードでは、Option-F2) を押し て、第 2 仮想コンソールと切り替えて下さい。これは、space bar の左側の Alt キー と、 F2 ファンクションキーを同時に押すことです。これは、ash と呼ばれる Bourne シェルのクローンを実行する個別ウィンドウです。 この段階では RAM ディスクから起動しています。また、使用には制限がありますが Unix ユーティリティが利用可能です。どのプログラムが利用できるかはコマンド ls / bin /sbin /usr/bin /usr/sbin や help とタイプするとわかります。テキストエディタ は nano です。シェルには自動補完や履歴のような、気の利いた機能を備えています。 実行できるタスクのすべてを実行するには、メニューを使用してください。何かうまく 行かない時のためだけに、シェルやコマンドが用意されています。特に、シェルでスワ ップパーティションを有効にしてしまうと、メニューソフトウェアがそれを検出できま せん。そのため、スワップパーティションを有効にするのは、シェルではなく必ずメニ ューを使用するべきです。メニューに戻るには左 Alt-F1 を押すか、メニューの項目か らシェルを開いたのなら、exit とタイプしてください。 6.3.6.3. ネットワーク越しのインストール network-console はとても興味深いコンポーネントで、インストールの大部分を、SSH を用いたネットワーク越しで行えるようにします。ネットワークを使用すると言うこと は、少なくともネットワークをセットアップするまで、コンソールでインストールを行 わなければならないということも含んでいます。 (でもこの部分は項4.7. 「自動インス トール」で自動化できます) このコンポーネントは、デフォルトではメインインストールメニューには現れません。 そのため、自分で明示しなければなりません。 CD からインストールする場合、優先度 を中にするかインストールメニューを呼び出し、 CD からインストーラコンポーネント をロードを選んでください。また、追加コンポーネントの一覧から network-console: SSH を使ってリモートでインストールを続けるを選んでください。読み込みに成功する と、 SSH を使ってリモートでインストールを続けるから呼ばれる新しいメニュー項目が 表示されます。 この新しいエントリを選択したら、インストールするシステムに接続するための新しい パスワード (とその確認) を入力してください。これで以上です。今、リモートでログ インするよう促す画面が出ているはずです。ユーザ名は installer、パスワードは先ほ ど入力した物を使用してください。この画面にある重要な細かい点として、このシステ ムの指紋 (fingerprint) があります。この指紋を「リモートでインストールを続ける人 」に、安全に転送する必要があります。 ローカルでインストールすると決めた場合は、Enter を押してください。メインメニュ ーに戻ります。そこで別のコンポーネントを選択してください。 それでは回線の向こう側へ行きましょう。前提として、あなたの端末がインストールシ ステムで使用する UTF-8 エンコードを使用できるように設定されている必要があります 。そうでなければ、リモートインストールは可能ですが、ダイアログの枠線が化けたり ASCII 以外の文字が読めないといった妙な表示になってしまいます。インストールシス テムへの接続を確立するには、単に以下のように入力してください。 $ ssh -l installer install_host install_host には、インストールするコンピュータの名前か IP アドレスのどちらかを セットします。実際のログインの前に、リモートシステムの指紋を表示するのでそれが 正しいかどうか確認してください。 注意 順番にいくつものコンピュータにインストールして、同じ IP アドレスやホスト名を持 っていたりすると、 ssh はそういったホストへの接続を拒否します。指紋が異なってい るというのは、通常なりすまし攻撃のサインです。なりすまし攻撃ではないことが確か なら、~/.ssh/known_hosts から関連する行を削除して、もう一度行う必要があります。 ログインするとメニューの開始, シェルの開始という 2 つのメニューがある初期画面が 表示されます。前者はメインのインストールメニューに移動し、通常のインストールを 進めることができます。後者はリモートシステムの検査と (可能なら) 修正できるよう なシェルを起動します。インストールメニュー用の SSH セッションを起動するのは 1 つだけにするべきですが、シェル用には複数のセッションを起動できます。 警告 SSH を使ってリモートでインストールを始めた後で、ローカルコンソールのインストー ルセッションに戻るべきではありません。新システムの設定を保持しているデータベー スが破損する可能性があるからです。それによりインストールが失敗したり、インスト ールしたシステムに何か問題が発生するかもしれません。 また、X 端末から SSH セッションを実行しているなら、接続が終了するまでウィンドウ のリサイズを行うべきではありません。 6.3.6.4. debian-installer からの base-configの実行 chroot 環境内で base-config を実行し、初期インストーラ (ハードディスクから再起 動する前) で基本システムを設定することができます。これは主にインストーラのテス トに役立ちますが、通常はやめておいた方がいいでしょう。 ━━━━━━━ ^[3] 本当のことをいえば、同一の物理ドライブを分割して MD デバイスを構築できます が、便利なことはなにもありません。 第7章新しい Debian システムを起動させる 目次 7.1. 決着のとき 7.1.1. OldWorld PowerMacs 7.1.2. NewWorld PowerMacs 7.2. Debian 起動後の (基本) 設定 7.2.1. タイムゾーンの設定 7.2.2. ユーザとパスワードの設定 7.2.3. PPP の設定 7.2.4. APT の設定 7.2.5. パッケージのインストール 7.2.6. ソフトウェアインストール中の質問 7.2.7. メール配送エージェントの設定 7.3. ログイン 7.1. 決着のとき 新しいシステムが初めて自力で起動することを、電気を扱うエンジニアは「スモークテ スト」と呼んでいます。 Debian を直接起動するようにしていてシステムが立ち上がらない場合には、インストー ルに使った起動メディア、あるいは (作ってあれば) カスタムブートフロッピーを挿入 してシステムを再起動してください。この方法では、おそらくブートパラメータに root =root のような、なんらかの引数を渡す必要があるでしょう。 root の箇所には、お使 いになるルートパーティション (/dev/sda1 など) を入れてください。 7.1.1. OldWorld PowerMacs インストール終了後に起動が失敗し、boot:というプロンプトのところで停止してしまっ たら、Linux と入力して Enter を押してみてください (quik.conf のデフォルトの起動 設定には「Linux」というラベルがついているのです)。 quik.conf 中で定義されている ラベルは、 boot:というプロンプトが出た時に Tab キーを押すと表示されます。また、 もう 1 度インストーラを起動し直して、 Install Quik on a Hard Disk の段階で置い た /target/etc/quik.conf を編集してみるのもよいでしょう。 quik を扱う上での情報 は、 http://penguinppc.org/projects/quik/ から得られます。 nvram をリセットせずに MacOS を起動するには、OpenFirmware プロンプトで bye と入 力してください (MacOS がマシンから削除されていないことが前提です)。OpenFirmware プロンプトに入るには、マシンがコールドブートするまで command-option-o-f のキー を押し続けてください。OpenFirmware nvram をリセットして MacOS をデフォルトにし 、MacOS に戻るようにするには、マシンがコールドブートしている間、command-option- p-r キーを押し続けてください。 インストールしたシステムをブートするのに BootX を使うなら、Linux Kernels フォル ダで希望するカーネルを選び、ramdisk オプションを非選択にして、インストールに対 応したルートデバイス (例えば /dev/hda8) を加えるだけです。 7.1.2. NewWorld PowerMacs G4 マシンと iBook では、option キーを押すと、起動可能な OS のボタンが並んだグラ フィカルな画面になります。Debian GNU/Linux は小さなペンギンのアイコンで示されま す。 MacOS を残しており、どこかの時点で OpenFirmware のブートデバイス変数を変更した 場合には、OpenFirmware をデフォルトの設定に戻す必要があります。これには、マシン がコールドブートするまで command-option-p-r キーを押し続けます。 boot: プロンプトが表示されたときに Tab キーを押すと、yaboot.conf で定義されてい るラベルが表示されます。 G3 や G4 において OpenFirmware をリセットすると、 Debian GNU/Linux がデフォルト で起動するようになります (パーティションが正しく作成され、Apple_Bootstrap パー ティションが最初に置かれている場合)。 Debian GNU/Linux が SCSI ディスクに置かれ ていて MacOS が IDE ディスクに置かれている場合には、うまく働かないかもしれませ ん。その場合は OpenFirmware に入ってブートデバイス変数を設定する必要があります が、通常は ybin が自動的にこの作業をします。 いちど Debian GNU/Linux が起動できたら、あなたが望むオプション (デュアルブート など) を /etc/yaboot.conf に追加して ybin を実行すれば、その変更をブートパーテ ィションに反映させることができます。詳しくは、 yaboot HOWTO を参照してください 。 7.2. Debian 起動後の (基本) 設定 起動したら、基本システムの設定を完了させ、追加インストールしたいパッケージを選 択するように求められます。この作業であなたを案内するのは、 base-config というア プリケーションです。そのコンセプトは、最初のステージから debian-installer にと ても良く似ています。 base-config は、本当にたくさんの専門コンポーネントからなり ます。各コンポーネントは 1 つの設定タスクを取り扱い、「バックグラウンドの隠され たメニュー」を含み、そのうえ同じ案内システムを使います。 インストールが終了した後なら、 root ユーザで base-config を実行すれば、いつでも base-config をやり直せます。 7.2.1. タイムゾーンの設定 ようこその画面の後で、タイムゾーンを設定するように求められます。まず最初に、シ ステムのハードウェアクロックを地方時に設定するか、世界時 (GMT あるいは UTC) に 設定するかを選択してください。ダイアログに表示される時間が、正しいオプションを 決める手助けとなるでしょう。 Macintosh のハードウェアクロックは通常、地方時に設 定されています。デュアルブートしたい場合には、世界時 (GMT) の代わりに地方時を選 択してください。 インストールプロセスのはじめで選択した所在地によって、1 つのタイムゾーンあるい は所在地に基づいた適切なタイムゾーンのリストのいずれかが示されます。 1 つのタイ ムゾーンが示される場合は、確認するために Yes を選ぶか、タイムゾーンの全リストか ら選ぶために No を選んでください。リストが表示されたら、タイムゾーンを選択する か、もっと長いリストを表示するためにその他 (Other) を選択してください。 7.2.2. ユーザとパスワードの設定 7.2.2.1. root アカウントのパスワードを設定する root (ルート) アカウントはスーパーユーザと呼ばれることもあります。このアカウン トは、システムのセキュリティ保護機構すべてを超越した権限を持つログイン名です。 ルートアカウントはシステム管理をする時のみ、できるだけ短時間に限って使うべきで す。 設定するパスワードは 6 文字以上で、大文字・小文字・記号を混ぜたものにしてくださ い。これは root 以外のユーザのパスワードでも同じですが、root アカウントのような 強力なアカウントのパスワード設定には、細心の注意を払ってください。辞書に載って いるような単語や、推測されやすい個人的な情報の使用などは避けてください。 あなたの root アカウントのパスワードが必要だなどと誰かが言ってきても、絶対に油 断しないでください。他のシステム管理者と協同でマシンを管理しているのでもない限 り、通常は自分の root のパスワードを、絶対に人に知られてはいけません。 7.2.2.2. 一般ユーザの登録 システムは一般ユーザのアカウントを作るよう求めてきます。こちらを、個人的なログ インに用いるアカウントとして主に使ってください。 root アカウントを通常の利用や 個人的なログインに使ってはいけません。 なぜいけないのでしょうか? root 権限の利用を避ける理由のひとつは、 root を使うと 簡単にシステムに回復不能のダメージを与えることができてしまうということです。ま た別の理由としては、誰かが仕掛けたトロイの木馬プログラム (これはあなたのスーパ ーユーザ権限を悪用してシステム全体のセキュリティをぼろぼろにしてしまいます) を うっかり実行してしまうかもしれないからです。 Unix のシステム管理についての良書 では、この話題についてより詳しく解説していますので、この話が初耳だという方はそ ういった本を読んでみてください。 最初にユーザのフルネームを尋ねられます。その後、ユーザアカウント名を尋ねられま す。一般にあなたの姓や何かそれに似通ったもので充分であり、実際にデフォルトにな ることでしょう。最後にそのアカウント用のパスワードを尋ねられます。 インストール後に新たなユーザアカウントを作成したい場合は、 adduser コマンドを使 ってください。 7.2.3. PPP の設定 インストールのファーストステージでネットワークの設定をしなかった場合、次にシス テムの残りの部分のインストールに PPP を用いるかどうかを選択します。 PPP はモデ ムでダイアルアップ接続を確立するために使用されるプロトコルです。この時点でモデ ムの設定をすれば、インストールの次のステップの間にインターネットからの追加パッ ケージやセキュリティアップデートをダウンロードできるでしょう。コンピュータにモ デムが無ければ、あるいはインストールの後でモデムの設定をする方が良いのなら、こ の段階をスキップすることができます。 PPP 接続を設定するために、電話番号、ユーザ名、パスワードおよび DNS サーバ (オプ ション) などを含むインターネットサービスプロバイダ (ISP) からのいくつかの情報が 必要になります。一部の ISP では Linux ディストリビューション向けのインストール ガイドラインを提供しています。たとえ特に Debian を対象としていなくても、設定パ ラメータ (およびソフトウェア) のほとんどは Linux ディストリビューション間で似か よっているので、その情報が使えます。 ここで PPP を設定するよう選択すると、pppconfig というプログラムが起動します。こ のプログラムは PPP 接続の設定を手伝ってくれます。なおダイアルアップ接続の名前を 尋ねられた際には、必ず provider と名付けてください。 おそらく pppconfig プログラムを使えば、苦労することなく PPP 接続の設定ができる でしょう。しかし、もしこのプログラムでうまく設定ができない場合は、以下の解説を 参照してください。 PPP を設定するには、GNU/Linux 上でのファイル閲覧・編集の基本を知っておかなけれ ばなりません。ファイルを閲覧するには more を使います (.gz 拡張子のついた圧縮フ ァイルには zmore を使います)。例えば README.debian.gz を閲覧するには、 zmore README.debian.gz と入力します。基本システムには nano という名前のエディタが収録 されています。このエディタはとても簡単に使えますが、多くの機能があるわけではあ りません。あとで jed、 nvi、less、emacs といった、より多機能なエディタや閲覧ソ フトウェアをインストールすると良いでしょう。 /etc/ppp/peers/provider を編集して /dev/modem を /dev/ttyS# に書き換えてくださ い。ここでの # はお使いになるシリアルポートの番号を表しています。 Linux ではこ の番号は 0 から数えますので、最初のシリアルポートは Linux では /dev/ttyS0 とな ります。シリアルポートを備えた Macintosh では、モデムポートは /dev/ttyS0 で、プ リンタポートは /dev/ttyS1 です。次に、 /etc/chatscripts/provider を編集して、ご 自分のプロバイダの電話番号、ユーザ名、パスワードを書き込みます。パスワードの前 にある「\q」は削除しないでください。これはパスワードを隠して、ログファイルに残 らないようにしてくれます。 多くのプロバイダは、ログイン手続きで (テキストモードの認証ではなく) PAP や CHAP を使います。両方を使うところもあります。プロバイダが PAP や CHAP を要求する場合 は、必要な作業も異なります。 /etc/chatscripts/provider にあるダイヤル文字列 (行 の先頭に「ATDT」があるもの) 以下をすべてコメントアウトしてから、すでに説明した 通りに /etc/ppp/peers/provider を修正し、 user name を付け加えてください。ここ で name には、接続しようとしているプロバイダでのあなたのユーザ名を当てはめてく ださい。次に /etc/ppp/pap-secrets あるいは /etc/ppp/chap-secrets を編集して、そ ちらにあなたのパスワードを入力してください。 さらに /etc/resolv.conf を編集して、プロバイダのネームサーバ (DNS) の IP アドレ スを加える必要もあります。 /etc/resolv.conf に記述する行の形式は nameserver xxx.xxx.xxx.xxx です。 x で示される箇所には、利用する IP アドレスの数字を当ては めてください。 /etc/ppp/peers/provider ファイルに usepeerdns オプションを追加す れば、通常リモートホストが提供してくれる情報を参照し、適切な DNS サーバを自動的 に選択するようにも設定できます。 お使いのプロバイダのログイン手続きが、大半の ISP と異なるようなことがなければ、 これで完了です! root アカウントで pon と入力して PPP 接続を開始し、 plog コマン ドを利用してその手続きを監視してください。接続を切断するには、root アカウントで poff と入力してください。 Debian での PPP の使用法に関するより詳しい情報は、 /usr/share/doc/ppp/ README.Debian.gz ファイルをお読みください。 静的な SLIP 接続をするには、 /etc/init.d/network ファイルに slattach コマンド (net-tools パッケージに含まれています) を追加する必要があります。動的な SLIP 接 続の場合には、 gnudip パッケージが必要です。 7.2.3.1. Ethernet 越しの PPP (PPPOE) の設定 PPPOE は一部のブロードバンド接続に使用される PPP 関連のプロトコルです。今のとこ ろ、設定を手助けするような基本設定中でのサポートはありません。とはいえ、必要な ソフトウェアはインストールされました。それはインストールのこのステージで VT2 に 切り替えて、pppoeconf を実行することで手動で PPPOE を設定できることを意味してい ます。 7.2.4. APT の設定 一般にパッケージのインストールに使う主な手段は、 apt パッケージに含まれている apt-get というプログラムを用いるやり方です。^[4] aptitude のようなパッケージ管 理用のフロントエンドとしては、他に synaptic や以前からの dselect も使用され、 apt-get に依存しています。これらフロントエンドは、洗練されたユーザインターフェ イスにいくつかの追加された特徴 (パッケージの検索や状態のチェック) が統合されて いるので、新規ユーザにお薦めです。 パッケージの取得先を知るには、APT の設定が必要です。この作業を助けてくれるのが 、apt-setup というツールです。 設定作業における次の段階は、他の Debian パッケージがどこにあるかを APT に教える ことです。この設定は、apt-setup を実行するか、/etc/apt/sources.list を編集すれ ば、インストール後の任意の時点で再設定できます。 公式 CD-ROM がこの時点でドライブにある場合は、ユーザへの質問は省略され、 CD-ROM からパッケージを取得するよう自動的に設定されます。 CD-ROM がスキャンされますか ら、お気づきになるでしょう。 公式 CD-ROM を持っていない場合は、Debian パッケージへのアクセス方法を選ぶ必要が あります。 FTP、HTTP、CD-ROM、ローカルのファイルシステムから選択します。 同じ Debian アーカイブに対して複数の APT ソースを指定することもできます。 apt-get は、すべての取得可能なバージョンの中から、いちばん高いバージョン番号を 持つパッケージを自動的に選択します。また、たとえばあなたが HTTP と CD-ROM の両 方の APT ソースを使えるとき、 apt-get は可能ならローカルの CD-ROM を自動的に選 びますが、より新しいバージョンが HTTP で取得できる場合にのみ HTTP を使います。 しかし不必要に APT ソースを追加するとネットワークアーカイブから新しいバージョン を探す処理が遅くなってしまうので、不要な APT ソースを追加するのは良い考えではあ りません。 7.2.4.1. ネットワーク上からのパッケージ取得の設定 システムの残りの部分をネットワーク経由でインストールするつもりでしたら、通常は http ソースを選択します。 ftp ソースも使えますが、 ftp は接続がやや遅くなる傾向 があります。 ネットワーク上からのパッケージ取得設定の次の段階は、 apt-setup にあなたが住んで いる国を教えることです。この情報を使って、Debian の公式ミラーサイトのうちどれに 接続するかを決定します。国を選ぶと、利用可能なサーバの一覧が表示されます。一覧 のうちの一番上を選べば良いはずですが、もちろんどれを選んでも構いません。とはい えインストール用に提供されているミラーリストは、このバージョンの Debian がリリ ースされた時に生成されたものです。一部のミラーが廃止され利用できなくなっている かもしれないので注意してください。 ミラーサイトを選択した後に、プロキシサーバを使用するかを尋ねられます。プロキシ サーバはすべての HTTP や FTP リクエストをインターネットに転送し、企業のネットワ ーク上でインターネットへのアクセスを制限し最適化するために最もよく使用されるサ ーバです。ネットワークによっては Proxy サーバだけがインターネットへの接続を許可 されるので、そのような場合には Proxy サーバ名を入力しなければなりません。さらに 、ユーザ名およびパスワードを含めなければならないかもしれません。一部の ISP はユ ーザにプロキシサーバを提供しているかもしれませんが、ほとんどのホームユーザはセ ットアップにプロキシサーバを指定する必要はないでしょう。 ミラーサイトの選択後、設定した新しいパッケージ取得先がテストされます。テストが 無事終了すれば、さらに別のパッケージ取得先を追加するかどうかを尋ねられます。選 択したパッケージソースを使って問題があった場合には、 (自分の国リストあるいは全 体リストとは) 別のミラーサイトを試してみるか、別のネットワークパッケージソース を用いて試してみてください。 7.2.5. パッケージのインストール 次に、Debian によって前もってまとめられた多数のソフトウェア設定が提供されます。 もちろん、いつでも新しいマシンにインストールするパッケージをひとつひとつ選ぶこ とができます。これは、以下で説明する aptitude プログラムによるものです。しかし 、Debian には 14900 個ものパッケージがあるので、その方法は時間のかかる作業とな るかもしれません! そこで、まず最初にタスクを選択し、そのあとで個々のパッケージを追加する、という ことができるようになっています。タスクは、「デスクトップ環境」、「ウェブサーバ 」、「印刷サーバ」のように、コンピュータでしたいであろう、いろいろな仕事や物事 を大まかに表しています^[5]。項C.3. 「タスクに必要なディスクの空き容量」に、利用 可能なタスクのために必要な空き容量のリストがあります。 タスクを選び終わったら Ok を選択してください。すると aptitude が、あなたの選択 したパッケージをインストールします。 注意 たとえひとつもタスクを選択しなかったとしても、標準 (standard)、重要 (important) 、必須 (required) の優先度を持つパッケージがインストールされます。この機能は、 コマンドラインから tasksel -ris を実行したのと同じで、今のところおよそ 37 メガ バイトのアーカイブをダウンロードします。インストールされるパッケージの数と、 (ダウンロードが必要なパッケージがある場合には) パッケージのキロバイト数が表示さ れます。 もしインストールすべきかをパッケージごとに決めたければ、tasksel で「手動でパッ ケージを選択 (manual package selection)」オプションを選択してください。もしこの オプションと並んでひとつ以上のタスクを選択すると、aptitude は --visual-preview オプション付きで呼ばれます。これはインストールパッケージを見直せる^[6]というこ とを意味します。タスクを選択しなかった場合、通常の aptitude 画面が表示されます 。選択を終えたら、パッケージのダウンロードとインストールを始めるために「g」を押 さなければなりません。 注意 タスクを選択することなしに「手動でパッケージを選択 (manual package selection)」 を選択した場合、標準では何もパッケージはインストールされません。最小のシステム をインストールしたい場合にはこのオプションを使えば良いですが、ベースシステムの 一部でシステムに必要になるかもしれない、インストールされないパッケージを (再起 動前に) 選択する責任はあなたにあることも意味します。 Debian には 14900 個のパッケージがありますが、タスクインストーラのタスクでカバ ーされているのは、そのうちのほんの少数に過ぎません。より多くのパッケージの情報 を見るためには、何らかの検索文字列を使ってapt-cache search 検索文字列を実行する か (apt-cache(8) のマニュアルページを参照)、以下で説明する aptitude を実行して ください。 7.2.5.1. aptitude を使った上級者向けのパッケージ選択 aptitude はパッケージを管理するための最新のプログラムです。 aptitude は、個々の パッケージや (上級ユーザのための) 与えられた基準と一致するパッケージセットおよ び全タスクを選択できるようにします。 最も基本的なキーバインドは以下の通りです。 ┌────┬──────────────────────────┐ │ キー │ 動作 │ ├────┼──────────────────────────┤ │Up, Down│選択項目を上下に移動する │ ├────┼──────────────────────────┤ │Enter │アイテムを開く/折りたたむ/活性化する │ ├────┼──────────────────────────┤ │+ │パッケージに追加マークをつける │ ├────┼──────────────────────────┤ │- │パッケージに削除マークをつける │ ├────┼──────────────────────────┤ │d │パッケージの依存関係を表示する │ ├────┼──────────────────────────┤ │g │実際にパッケージをダウンロード/インストール/削除する│ ├────┼──────────────────────────┤ │q │終了 │ ├────┼──────────────────────────┤ │F10 │メニューを開く │ └────┴──────────────────────────┘ 上記以外のコマンドは、? キーでオンラインヘルプをご覧ください。 7.2.6. ソフトウェアインストール中の質問 tasksel や aptitude を用いて選択したパッケージは、 apt-get と dpkg によってダウ ンロードし解凍され、ひとつひとつインストールされていきます。インストールの途中 で、あるプログラムがユーザからの追加情報を必要とする場合には、あなたに対して質 問がなされます。また、インストール中にエラーが起こっていないかどうかを監視する ためにも、この段階での出力を見ていると良いかもしれません (パッケージのインスト ールができなくなるようなエラーの場合は、それを確認するよう求められるでしょうが) 。 7.2.6.1. X サーバの設定 iMac (または、古い Macintosh の一部) では、X サーバのソフトウェアは適切なビデオ 設定を計算できません。そのため、ビデオ設定の際には Advanced オプションを選択す る必要があります。モニタの水平同期レンジには、59-63 と入力してください。垂直リ フレッシュレンジはデフォルトのままで構いません。 マウスデバイスは、/dev/input/mice に設定してください。 7.2.7. メール配送エージェントの設定 現在、多くの人々の生活において電子メールは非常に重要な要素になっています。です から Debian がインストールの過程でメールシステムを正しく設定させたとしても何も 驚くことはありません。Debian の標準のメール配送エージェントは、比較的小さく柔軟 で、学習することが容易な exim4 です。 コンピュータが任意のネットワークに接続していないとしてもメールシステムの設定が 必要かどうか、あなたは尋ねるかもしれません。短い答えは「イエス」です。もっと長 い説明は「いくつかのシステムユーティリティ (cron、 quota および aide ...) が電 子メールであなたに重要なメッセージを送るかもしれないから」です。 そこで、最初の画面にいくつかの共通のメールシナリオが示されます。あなたのニーズ に最も近いものを選んでください。 インターネットサイト システムはネットワークに接続されています。また、メールは SMTP を使って直接 送受信されます。次の画面でマシンのメール名や受信、あるいは中継メールのため のドメインリストのような二三の基本的な質問をされるでしょう。 スマートホストでメール送信 このシナリオでは、あなたの送出したメールが他のマシンに転送されます (実際の 仕事は「スマートホスト」がします)。また、スマートホストは通常あなたのコンピ ュータ宛てのメールを格納します。ですから、ずっとオンラインである必要はあり ません。それは、fetchmail のようなプログラムを通してスマートホストからメー ルをダウンロードしなければならないということも意味します。このオプションは ダイアルアップユーザに適しています。 ローカル配信のみ システムはネットワーク上にありません。また、メールはローカルユーザ間でのみ 送受信されます。あなたが何かメッセージを送るつもりでなくても、いくつかのシ ステムユーティリティがさまざまな警告 (例えば、いとしの「Disk quota exceeded (ディスク割当量超過)」) を時々送るかもしれないので、このオプションを強くお 勧めします。また、このオプションはこれ以上の質問をしないので新規ユーザに便 利です。 今は設定しない 何をしているのか完全に確信しているようでしたら、これを選んでください。これ はメールシステムを未設定のままにします。あなたが設定するまでメールの送受信 はできないでしょう。また、システムユーティリティからの重要なメッセージを逃 してしまうかもしれません。 これらのシナリオのどれも必要なものに適さない場合、あるいはより申し分ないセット アップが必要なら、インストール完了後に /etc/exim4 ディレクトリ下の設定ファイル を編集する必要があるでしょう。exim4 に関するより多くの情報は、 /usr/share/doc/ exim4 をご覧ください。 7.3. ログイン パッケージのインストールが完了すると、ログインプロンプトが現れます。あなたが指 定した一般ユーザのアカウント名とパスワードを入力して、ログインしてください。こ れで、システムは準備完了です。 初心者のユーザは、システムを使い始めながら、すでにインストールされている文書を 読んでみると良いでしょう。現在はまだ文書システムが数種類存在しており、別々の形 式の文書を統合するための作業が進められているところです。以下に出発点をいくつか 示します。 インストールしたプログラムに添付する文書は、 /usr/share/doc/ 以下のプログラム名 のサブディレクトリに収められています。たとえば apt を使ってシステムへプログラム をインストールする際に参考になる APT User's Guide は、 /usr/share/doc/apt/ guide.html/index.html となります。 また、/usr/share/doc/ 階層構造の中には、いくつか特別なフォルダがあります。Linux HOWTO は、 /usr/share/doc/HOWTO/en-txt/ の中に、 .gz フォーマットで収められてい ます。 dhelp をインストールした後に、 /usr/share/doc/HTML/index.html に拾い読み できる文書のインデックスを見つけるでしょう。 これらの文書を簡単に見るには、cd /usr/share/doc/ と入力し、lynx . (lynx スペー スドット。ドットはカレントディレクトリを表します) と入力してください。 また、コマンドプロンプトから使えるほとんどのコマンドに対し、 info コマンドまた は man コマンドによってその文書が参照できます。 help と入力すると、シェルコマン ドのヘルプが読めます。コマンドを --help つきで入力すると、たいていそのコマンド の簡単な使い方が表示されます。その結果が画面からスクロールして消えてしまう場合 には、コマンドのあとに | more を追加すると、画面ごとに一時停止してくれます。あ る文字で始まるコマンドの一覧を知りたいときは、その文字を入力してからタブを 2 回 押します。 Debian と GNU/Linux についてのより完全な導入文書としては、 /usr/share/doc/ debian-guide/html/noframes/index.html をご覧ください。 ━━━━━━━ ^[4] 実際にパッケージをインストールするプログラムは dpkg です。しかしこのパッケ ージはむしろ低レベルなツールです。 apt-get は、適切に dpkg を起動する,より高レ ベルなツールです。なぜなら APT は、あなたが今インストールしようとしているパッケ ージが必要とする別のパッケージをインストールしなければならないことを知っている からです。また、そのパッケージを CD やネットワークなどの媒体から取得する方法を 知っているからです。 ^[5] このリストを示すために base-config は単に tasksel プログラムを呼び出してい ることを知っているべきです。手動でのパッケージ選択では、 aptitude が実行されて います。どちらの方法もインストールの終了後、いつでも追加パッケージのインストー ルに使えます。インストール終了後にある特定のパッケージをインストールしたいとき は、単に aptitude install パッケージを実行すれば良いです (ここで、パッケージは インストールしたいパッケージの名前です)。 ^[6] さらにデフォルトの選択を変更することができます。何か追加パッケージを選択し たい場合、表示 (View)->新しいパッケージ画面 (New Package View) を使用してくださ い。 第8章次のステップとそれから 目次 8.1. Unix を初めてお使いになる方へ 8.2. Debian に慣れる 8.2.1. Debian パッケージングシステム 8.2.2. アプリケーションの種類の管理 8.2.3. cron ジョブ管理 8.3. さらなる文書や情報 8.4. 新しいカーネルのコンパイル 8.4.1. カーネルイメージの管理 8.1. Unix を初めてお使いになる方へ Unix を初めてお使いになる方は、出かけて何冊か本を買い、少し読んでみるとよいでし ょう。さらに多くの価値ある情報が Debian Reference で見つけられます。この Unix FAQ のリストには、素晴らしい歴史的な参考文献を提供する UseNet ドキュメントがた くさん紹介されています。 Linux は Unix の実装の一つです。 Linux Documentation Project (LDP) では Linux に関するたくさんの HOWTO やオンラインの書籍をまとめています。これらの文書の多く は手元のコンピュータにインストールすることもできます。doc-linux-html パッケージ (HTML 版) か doc-linux-text パッケージ (テキスト版) をインストールしてから、/ usr/share/doc/HOWTO ディレクトリを覗いてみてください。また各国語版の LDP HOWTO も Debian のパッケージとしてご利用いただけます。 8.2. Debian に慣れる Debian は他のディストリビューションとは少々異なっています。他のディストリビュー ションで Linux に精通された方でも、システムを整然とした状態に保つためには、 Debian について知っておかなくてはならないことがあります。この章では Debian に慣 れる手助けとなる資料を紹介します。 Debian の使い方を逐一説明することは意図して いません。すごく急いでいる人にシステムをざっとつかんでもらうだけのものです。 8.2.1. Debian パッケージングシステム まず理解すべき最も重要な考え方に、Debian のパッケージングシステムがあります。基 本的に、システムの大部分はパッケージングシステムの管理下にあると考えられていま す。このパッケージングシステムによって管理されるディレクトリには、以下のディレ クトリが含まれています。 ● /usr (/usr/local を除く) ● /var (/var/local を作成し、それ以下のディレクトリを自由に使うことは可能で す) ● /bin ● /sbin ● /lib 例えば、/usr/bin/perl をあなたが別に用意したファイルで置き換えたとしても、その 動作には問題はありません。ただし、後で perl パッケージを更新すると、あなたが置 いたファイルはパッケージによって置き換えられてしまいます。これを避けるには、 aptitude でパッケージを「hold」 (保留) するという操作を行います。 ベストなインストール方法の一つに apt があります。コマンドライン版の apt-get を 利用することもできますし、フルスクリーンテキスト版の aptitude を利用することも できます。apt は main、contrib、non-free を統一的に処理するので、輸出制限パッケ ージもスタンダードパッケージも同じ樣に扱うことができます。 8.2.2. アプリケーションの種類の管理 似たような種類のものが複数あるようなアプリケーションは、update-alternatives で 管理されています。同種のアプリケーションを複数保守している人は、 update-alternatives の man ページをご覧ください。 8.2.3. cron ジョブ管理 システム管理者権限のもとで実行するジョブは、設定ファイルのある /etc に置いてく ださい。毎日、毎週、毎月 root で実行する cron ジョブがあれば、 /etc/cron. {daily,weekly,monthly} に置いてください。これらは /etc/crontab から呼び出され、 アルファベット順に実行されます。 一方、特定のユーザで実行する必要がある cron ジョブや、特定の時間または頻度で実 行する必要がある cron ジョブには、 /etc/crontab あるいは /etc/cron.d/whatever が使えます (後者の方が望ましい)。これらのファイルには cron ジョブを実行するユー ザを明記する特別なフィールドがあります。 どちらの場合も、ファイルを編集するだけで cron が自動的に実行してくれます。特別 なコマンドを実行する必要はありません。詳しい情報は cron(8)、crontab(5)、 /usr/ share/doc/cron/README.Debian をご覧ください。 8.3. さらなる文書や情報 もし、特定のプログラムに関する情報が必要ならば、まずは man プログラム名や info プログラム名を実行してみてください。 /usr/share/doc にも有用な文書がたくさんあります。特に、/usr/share/doc/HOWTO や /usr/share/doc/FAQ には興味深い情報がいくつもあります。バグを報告するには /usr/ share/doc/debian/bug* をご覧ください。特定のプログラムについて Debian 固有の問 題を読むためには /usr/share/doc/(package name)/README.Debian をご覧ください。 Debian ウェブサイトには、Debian に関するたくさんの文書があります。特に、 Debian GNU/Linux FAQ と Debian リファレンスをご覧ください。 Debian ドキュメンテーショ ンプロジェクトには、Debian ドキュメンテーションに関するより多くのインデックスが 用意されています。 Debian のコミュニティでは、ユーザがお互いにサポートを行って います。 Debian のメーリングリストを購読するにはメーリングリストの購読ページを ご覧ください。大事なことを言い忘れましたが、Debian メーリングリストアーカイブに は Debian に関する豊富な情報が含まれています。 GNU/Linux の情報の一般的なソースは、 Linux Documentation Project です。そこで、 GNU/Linux システムの部分について、他の非常に価値ある情報のための HOWTO やポイン タを得られるでしょう。 8.4. 新しいカーネルのコンパイル 新しいカーネルをコンパイルしようとする動機はなんでしょう? Debian では、標準で入 っているカーネルで多くの機能をサポートしているので、ほとんどその必要はありませ ん。また、Debian は多くの場合、いくつかの代替カーネルを提供しています。ですから おそらく、もっと自分のハードウェアに対応する代わりのカーネルイメージパッケージ があるかどうかをまず確認したいと思うでしょう。しかし、以下のような目的のために は、新しいカーネルをコンパイルすることは有益です。 ● 特殊なハードウェアを使ったり、標準カーネルとハードウェアとの競合を回避する ため ● (ハイメモリサポートなど) 標準カーネルでサポートされていない機能を利用するた め ● 使わないドライバを取り除くことでカーネルを最適化し、起動にかかる時間を短く するため ● モジュール化されたカーネルの代わりに、一体化したカーネルを作成するため ● 最新のカーネルや開発版のカーネルを使用するため ● linux カーネルに関してもっと学ぶため 8.4.1. カーネルイメージの管理 カーネルのコンパイルを恐がらないでください。楽しく、かつ役に立つ作業です。 Debian 流にカーネルをコンパイルするのに必要なパッケージは、 fakeroot、 kernel-package、 kernel-source-2.6.8 (この文書を執筆している時点で最も新しいバ ージョンです) 、あとは多分すでにインストール済みのパッケージがいくつか、です (完全な一覧については /usr/share/doc/kernel-package/README.gz をご覧ください)。 この方法はカーネルソースから .deb を作り、また非標準のモジュールがあれば、作成 したカーネルに依存した .deb も同時に作ります。これはカーネルイメージの管理には 良い方法で、 /boot にカーネル、System.map、ビルドに使った設定ファイルの記録を保 存します。 必ずしも「Debian 流」にカーネルをコンパイルする必要はありません。しかし、カーネ ルの管理にもパッケージングシステムを用いるほうが、実際に安全で簡単です。実は kernel-source-2.6.8 ではなく、Linus が配付しているカーネルソースをそのまま利用 することもできますが、その場合でも kernel-package を用いてコンパイルしてくださ い。 kernel-package の利用に必要な文書すべては、 /usr/share/doc/kernel-package ディ レクトリにあります。そのため、この節では簡単な解説のみを行います。 以降では、あなたがマシン上で行動する自由があって、ホームディレクトリのどこかに カーネルソースを展開すると仮定します。^[7]。また、カーネルバージョンが 2.6.8 だ と仮定します。カーネルソースを取り出したいディレクトリにいることを確認してから 、 tar xjf /usr/src/kernel-source-2.6.8.tar.bz2 としてソースを展開し、作成され た kernel-source-2.6.8 ディレクトリに移動してください。 次にカーネルコンパイルの設定を行います。X11 のインストールおよび設定が済んでい て、X11 を実行中の場合は make xconfig を、そうでない場合は make menuconfig を実 行します (後者では libncurses5-dev がインストールされている必要があります)。オ ンラインヘルプを時間をかけて読み、注意深く選択してください。一般的に、迷った場 合はそのデバイスドライバ (イーサネットカードや、 SCSI コントローラなどの周辺機 器を制御するソフトウェア) を入れた方がよいでしょう。なお注意していただきたいの ですが、特定のハードウェアに関係のないその他のオプションで、よく理解できないも のはデフォルトの値のままにしておいてください。また、「Loadable module support」 にある「Kernel module loader」 (デフォルトでは選択されていません) は忘れずに選 択してください。さもないと、Debian のインストールに問題が生じることもあります。 続いてソースツリーをクリアし、kernel-package のパラメータをリセットします。これ には、make-kpkg clean を実行してください。 さあ、カーネルをコンパイルしましょう。 fakeroot make-kpkg --revision=custom.1.0 kernel_image を実行してください。バージョン番号「1.0」は自由に変えられます。こ の番号は、構築したカーネルを後から確認できるようにするためのものだからです。同 様に、「custom」の箇所にもお好みのキーワード (例えばホスト名など) を使うことが できます。マシンのパワーにもよりますが、カーネルのコンパイルにはかなり時間がか かります。 PCMCIA の機能が必要なら、pcmcia-source のインストールも必要です。root アカウン トで /usr/src ディレクトリに gzip で圧縮された tar ファイルを展開します (モジュ ールはあるべき場所、つまり /usr/src/modules になくてはなりません)。それから root アカウントで make-kpkg modules_image を実行します。 一旦コンパイルが完了すれば、他のパッケージと同じように、そのカスタムカーネルを インストールできます。root アカウントで dpkg -i ../ kernel-image-2.6.8-subarchitecture_custom.1.0_powerpc.deb を実行してください。 subarchitecture は、カーネルのオプションで設定された任意のサブアーキテクチャを 表しています。また dpkg -i kernel-image... とすると、カーネルと一緒に役に立つ補 助的なファイルもいくつかインストールされます。例えばカーネルの問題をデバッグす るのに役立つ System.map や、現行のカーネルの設定が記録されている /boot/ config-2.6.8 などが適切にインストールされます。さらに、新たに作成された kernel-image-2.6.8 パッケージは、自動的にあなたのプラットフォームのブートローダ を設定してくれますので、ブートローダを再度実行する必要はありません。なお、モジ ュールパッケージを作成した場合、例えば PCMCIA がある場合は、同様にそれらもイン ストールする必要があるでしょう。 さて、システムを再起動する時がやってきました。これまでの作業の間に何か警告が表 示されていたらそれらを注意深く読み、それから shutdown -r now を実行してください 。 kernel-package に関するより詳しい情報については、 /usr/share/doc/kernel-package にある素晴しいドキュメントをお読みください。 ━━━━━━━ ^[7] 他にも、カーネルソースを展開してカスタムカーネルをビルドできる場所はありま すが、特別なパーミッションを必要としないここが最も簡単です。 付録 A. インストール Howto 目次 A.1. 前置き A.2. インストーラを起動する A.2.1. CD-ROM A.2.2. Floppy A.2.3. USB メモリスティック A.2.4. ネットワークからの起動 A.2.5. ハードディスクからの起動 A.3. インストール A.4. インストールレポートを送ってください A.5. そして最後に... この文書は、新しい debian-installer で PowerPC (「powerpc」) に Debian GNU/ Linux sarge をインストールする方法について説明します。これは、インストール作業 の迅速なリハーサルで、たいていの導入のために必要となるであろうすべての情報を含 んでいます。もっと多くの情報が有用な場合には、 Debian GNU/Linux インストールガ イドのより詳細な説明にリンクします。 A.1. 前置き インストール中にバグに遭遇した場合には、それらを報告する方法の説明のために項 5.3.5. 「インストールレポートの送信」を参照してください。この文書で答えることが できない質問があれば、debian-boot メーリングリスト (debian-boot@lists.debian.org) で直接質問するか、 IRC (freenode ネットワーク上 の #debian-boot) で訊ねてください。 A.2. インストーラを起動する debian-cd チームが debian-installer を使用してビルドした CD イメージは、 Debian CD ページから入手できます。どこで CD を手に入れられるかについてのより詳細に関し ては、項4.1. 「公式 Debian GNU/Linux CD-ROM セット」をご覧ください。 一部のインストール方法では、CD イメージ以外のイメージを必要とします。項4.2.1. 「どこでインストールイメージを探すか」は、Debian ミラーサイトでイメージを探す方 法について説明しています。 以下の小節では、インストール可能なそれぞれの手段のためにどのイメージを取得する べきかを詳しく説明します。 A.2.1. CD-ROM debian-installer での sarge のインストールに使用できる 2 つの異なる netinst CD イメージがあります。これらは、CD から起動し、ネットワーク越しに追加パッケージを インストールするように意図されているので、`netinst' という名前がついています。 2 つのイメージの違いは、完全な netinst イメージの方にはベースパッケージが含まれ ているのに対して、名刺サイズの CD イメージを使用する場合は、ウェブからそれらを ダウンロードしなければならないということです。インストールするのにはむしろネッ トワークを必要としないフルサイズ CD イメージを手に入れる方が良いでしょう。それ なら CD セットの最初の 1 枚を必要とするだけです。 好みのタイプをダウンロードして、CD に焼いてください。 CD から PowerMac を起動す るには、起動中ずっと c キーを押し続けてください。 CD から起動するその他の方法は 、項5.1.1. 「CD-ROM からの起動」をご覧ください。 A.2.2. Floppy CD から起動できない場合は、Debian をインストールするためにフロッピーイメージを ダウンロードできます。floppy/boot.img と floppy/root.img、そしてたぶんドライバ ディスクのうちの 1 枚を必要とします。 中に boot.img を含んでいるのが、ブートフロッピーです。このフロッピーで起動する と、2 番目のフロッピーを挿入するよう指示されます -- そこで root.img を含むフロ ッピーを使用します。 ネットワーク越しのインストールを計画している場合は、一般に多数のイーサネットカ ード用の追加ドライバや PCMCIA サポートを含む floppy/net-drivers.img が必要です 。 CD は持っているけれどそこから起動できない場合は、まずフロッピーから起動して、 CD を使ったインストールを完了するためにドライバディスクの floppy/cd-drivers.img を使ってください。 フロッピーディスクは、現存しているメディアの中で最も信頼性が低いものの 1 つなの で、たくさんの不良ディスクが出る覚悟をしてください (項5.3.1. 「フロッピーディス クの信頼性」をご覧ください)。ダウンロードしたそれぞれの .img ファイルは単一のフ ロッピーに入れられます。/dev/fd0 やなにか他の装置に書き込むには dd コマンドが使 えます (詳細は項4.3. 「ディスクイメージからのフロッピーの作成」をご覧ください) 。 2 枚以上のフロッピーがあるなら、ラベルを付けておくのは良い考えです。 A.2.3. USB メモリスティック 取り外し可能な USB 記憶装置からもインストールできます。例えば、 USB キーチェー ンは、どんな場所ででも手軽に Debian をインストールできる媒体です。 USB メモリスティックを準備する最も簡単な方法は、 hd-media/boot.img.gz をダウン ロードし gunzip を使用して、そのファイルから 128MB のイメージを抽出することです 。そのイメージをメモリスティック (少なくとも 128 MB のサイズが必要です) に直接 書き込んでください。もちろんこれは、メモリスティック上のすでにある何もかもを破 壊してしまいます。それから、今ではもう FAT ファイルシステムのあるメモリスティッ クをマウントしてください。次に、Debian netinst CD イメージをダウンロードして、 メモリスティックにそのファイルをコピーしてください。ファイル名が .iso で終わり さえすれば、どんなファイル名でも大丈夫です。 その他にも、debian-installer で使用するためのメモリスティックを設定するより柔軟 な方法があり、もっと小さなサイズのメモリスティックで動作させられます。詳細は、 項4.4. 「USB メモリスティックでの起動用ファイルの準備」をご覧ください。 USB 記憶装置から Macintosh システムを起動するには、Open Firmware のマニュアルを 必要とします。方法は、項5.1.3. 「USB メモリスティックからの起動」をご覧ください 。 A.2.4. ネットワークからの起動 debian-installer をネットから完全に起動することもできます。 netboot のための様 々な方法は、アーキテクチャや netboot セットアップに依存します。 netboot/ 以下の ファイルは、debian-installer を netboot するために使用できます。 A.2.5. ハードディスクからの起動 リムーバブルメディアを使用せずに、単に既存のハードディスク (そこに異なる OS が あっても構いません) を使ってインストーラを起動することができます。 hd-media/ initrd.gz、hd-media/vmlinuz および Debian CD イメージをハードディスクの一番上の ディレクトリにダウンロードしてください。 CD イメージのファイル名が .iso で終わ っていることを確かめてください。それは initrd を備えた linux の起動にかかわる問 題です。 A.3. インストール インストーラが立ち上がるとすぐに、歓迎の初期画面が表示されます。起動するために Enter を押すか、他の起動方法やパラメータのための説明を読んでください (項5.2. 「 ブートパラメータ」をご覧ください)。 しばらくして、言語を選択するための質問がされます。矢印キーを使って言語を選び、 継続するために Enter を押してください。次に、その言語が話される国々を含む選択肢 が表示され、国を選択するよう質問されます。短いリスト上にはない場合は、世界中の すべての国のリストから選択できます。 キーボードレイアウトを確認するよう尋ねられるかもしれません。もしよく分からなけ れば、デフォルトを選択してください。 debian-installer がハードウェアの一部を検知し、CD やフロッピー、あるいは USB な どからインストーラの残りの部分をロードする間、くつろいでいてください。 次にインストーラは、ネットワークハードウェアを検知し、DHCP によってネットワーク のセットアップをしようとします。ネットワーク上にないか、 DHCP が無い場合は、ネ ットワークを手動で設定する機会が与えられます。 さあ、ディスクのパーティションを分割しましょう。最初に、ドライブのすべてか、ま たはドライブの空き領域を自動的にパーティション分割するか選択する機会が与えられ ます。これは新規ユーザや急いでいる誰にでも薦められますが、自動分割を望まない場 合はメニューからマニュアルを選びます。 次の画面でパーティションテーブル (パーティションをどうフォーマットするか、それ をどこにマウントするか) を見ることになります。修正や削除をするためには、パーテ ィションを選択してください。もし自動パーティション分割を行っていれば、設定した ものを使用するメニューから、Finished partitioning で決定できます。スワップスペ ースのために少なくとも 1 つのパーティションを割り当てることと / にパーティショ ンをマウントすることを忘れないようにしてください。付録 B. Debian でのパーティシ ョン分割にパーティション分割に関するもっと多くの情報があります。 それから debian-installer はパーティションをフォーマットし、ベースシステムのイ ンストール (時間がかかることがあります) を始めます。続いてカーネルがインストー ルされます。 最後の段階はブートローダをインストールすることです。コンピュータ上に他のオペレ ーティングシステムを検出した場合は、インストーラがブートメニューにそれらを加え て知らせます。 次に debian-installer は、インストールが終了したことを伝えます。 CD-ROM や他の 起動メディアを取り出して、マシンを再起動するために Enter を叩いてください。章 7. 新しい Debian システムを起動させるで説明しているように、インストール手順の 次の段階に向けて起動するべきです。 インストール手順についてもっと多くの情報が必要ならば、章 6. Debian Installer の 使用法をご覧ください。 A.4. インストールレポートを送ってください debian-installer で首尾よくインストールをやり遂げられたならば、レポート提出のた めにしばらく時間をかけてください。新しくインストールしたシステムの /root ディレ クトリの中に install-report.template という名前のテンプレートがあります。項 5.3.5. 「インストールレポートの送信」で説明しているように記入して、 installation-reports パッケージのバグとして提出してください。 もし base-config に達せなかったり、他の問題に陥ったりしたならば、おそらく debian-installer のバグを発見しました。インストーラを改善するためには、私たちが それらについて知っていることが必要ですので、バグ報告するための時間をとってくだ さい。問題を報告するためにはインストールレポートが使用できます。インストールが 完全に失敗する場合は、項5.3.4. 「バグレポータ」をご覧ください。 A.5. そして最後に... Debian のインストールが快適であり、Debian が役に立つことに気づいていただければ と思います。章 8. 次のステップとそれからを読みたいと思ったかもしれません。 付録 B. Debian でのパーティション分割 目次 B.1. Debian のパーティションとそのサイズを決める B.2. ディレクトリツリー B.3. お勧めするパーティションルール B.4. Linux におけるデバイス名 B.5. Debian のパーティション分割プログラム B.5.1. 最近の PowerMac でのパーティション分割 B.1. Debian のパーティションとそのサイズを決める 必要最小限の構成でも、GNU/Linux は自身のために少なくとも 1 つのパーティションを 必要とします。オペレーティングシステム全体、アプリケーション、個人ファイルは 1 つのパーティションに収めることが可能です。多くの人はこれと別にスワップパーティ ションも必要だと思っているようですが、これは厳密には正しくありません。「スワッ プ」とはオペレーティングシステムが用いるメモリの一時退避用空間で、これを用いる とシステムはディスク装置を「仮想メモリ」として使えるようになります。スワップを 独立したパーティションに割り当てると、 Linux からの利用がずっと効率的になります 。 Linux は普通のファイルを無理やりスワップとして利用することもできますが、これ はお勧めできません。 とはいえ大抵の人は、この最低限必要な数よりは多くのパーティションを GNU/Linux に 割り当てます。ファイルシステムをいくつかのより小さなパーティションに分割する理 由は 2 つあります。 1 つめは安全性です。もし偶然に何かがファイルシステムを破壊 したとしても、一般的にその影響を被るのは 1 つのパーティションだけです。そのため 、システムの一部を (注意深く保持しておいたバックアップと) 置き換えるだけですみ ます。少なくとも、いわゆる「ルートパーティション」は別にすることを考慮しましょ う。ここにはシステムの最も基本的な構成部分が収められており、もし他のパーティシ ョンに破損が生じたとしても、 Linux を起動してシステムを補修できます。システムを ゼロから再インストールしなければならないようなトラブルが防げるのです。 2 つめの理由は、一般的にビジネスで使う際により重要になってくるものですが、これ はコンピュータの利用方法にかなり依存します。例えばスパムメールをたくさん受け取 ったメールサーバは、パーティションを簡単に溢れさせてしまうかもしれません。もし メールサーバ上の独立したパーティションを /var/mailに割り当てれば、スパムメール を取り込んでもシステムの大半は問題なく動作するでしょう。 たくさんのパーティションを利用する際に唯一の不利になる点は、どのようなパーティ ションが必要となるかをあらかじめ予測するのが、ほとんどの場合は難しいということ です。用意したパーティションが小さすぎると、システムを再インストールしたり、容 量の足りないパーティションからしょっちゅうファイルを移動して、スペースを空けた りしなければならないでしょう。一方、あまりに大きなパーティションを用意すれば、 他で利用できるスペースを浪費しかねません。近頃はディスクも安価になったとはいえ 、お金を無駄に使う必要はないでしょう? B.2. ディレクトリツリー ディレクトリとファイルの名前について、Debian GNU/Linux は Filesystem Hierarchy Standard に従っています。この規格を用いると、ユーザやプログラムは、ファイルやデ ィレクトリの場所を予想しやすくなります。根っこ (ルート = root) にあるディレクト リは、単にスラッシュ / で表されます。ルートのレベルには、 Debian システムでは必 ず以下のようなディレクトリが含まれます。 ┌──────┬──────────────────────────────┐ │ディレクトリ│ 内容 │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │bin │基本的なコマンドバイナリ │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │boot │ブートローダのスタティックなファイル │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │dev │デバイスファイル │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │etc │ホスト固有のシステム設定 │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │home │ユーザのホームディレクトリ │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │lib │基本的な共有ライブラリとカーネルモジュール │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │media │取替え可能なメディア用のマウントポイントを含む │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │mnt │ファイルシステムを一時的にマウントするためのポイント │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │proc │システム情報を含む仮想ディレクトリ (2.4 および 2.6 カーネル)│ ├──────┼──────────────────────────────┤ │root │root ユーザのホームディレクトリ │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │sbin │基本的なシステムバイナリ │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │sys │システム情報を含む仮想ディレクトリ (2.6 カーネル) │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │tmp │一時ファイル用 │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │usr │第 2 階層 │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │var │可変データ │ ├──────┼──────────────────────────────┤ │opt │アドオンアプリケーションソフトウェアパッケージ │ └──────┴──────────────────────────────┘ 以下の一覧は、ディレクトリやパーティションについて重要となる考え方を説明したも のです。与えられたシステム構成や特別な使用パターンによって、ディスク使用状況は 大きく変化することに注意して下さい。ここで提案するのは一般的なガイドラインであ り、パーティション分割の第一歩を提供しています。 ● ルートパーティション / は、必ず /etc、/bin、 /sbin、/lib、 /dev を物理的に 含んでいなければなりません (つまりこれらのディレクトリを別のパーティション にしてはいけません)。さもないと起動ができなくなります。一般的にここは 150-250 MB 程度を必要とします。 ● /usr: すべてのユーザプログラムを含む (/usr/bin)、ライブラリ (/usr/lib)、文 書 (/usr/share/doc) など。ここは一般に、ファイルシステムの中でも最も容量を 必要とするところです。少なくとも 500 MB のディスク容量を割り当てるべきでし ょう。インストールしようとするパッケージの数やタイプによっては、もっと多く のディスク容量を割り当てなければなりません。ディスク容量がたっぷりあるワー クステーションやサーバのインストールでは 4〜6GB を割り当てるべきです。 ● /var: ニュース記事、電子メール、ウェブコンテンツ、データベース、パッケージ ングシステムのキャッシュなど、さまざまな可変データがこのディレクトリに収め られます。このディレクトリの容量はシステムの利用方法に大きく左右されますが 、たいていの場合はパッケージ管理ツールの使う分が最も大きな影響を持つことに なるでしょう。Debian が提供するものすべてをいっぺんにフルインストールする場 合でも、 /var には 2〜3 GB ほどの容量を割り当てておけば足りるはずです。一度 にすべてをインストールせず、部分部分を徐々に (例えば、まずサービスやユーテ ィリティを、次にコンソール用のもの、次に X 用のもの...というように) インス トールするなら、300〜500 MB の空き容量があれば良いでしょう。ハードドライブ の空き容量が不足していて、少なくともメジャーアップデートをする予定がないな らば、割り当てる容量は 30〜40 MB 程度でも構いません。 ● /tmp: プログラムが作成する一時データは、普通このディレクトリを利用します。 通常は 40〜100MB あれば充分です。いくつかのアプリケーション (アーカイブマニ ピュレータ、CD/DVD オーサリングツール、およびマルチメディアソフトウェアを含 む) が、一時イメージファイルを保存するのに /tmp を使用するかもしれません。 そのようなアプリケーションを使用する計画があるのなら、それ相応に /tmp で利 用できる容量を調整すべきです。 ● /home: 各ユーザは、個人的なデータをこのディレクトリのサブディレクトリに収め ます。その容量は、このシステムを利用するユーザの数や、ユーザディレクトリに どのようなファイルが収められるかによって異なってきます。システムの使い方に もよりますが、ユーザごとに約 100 MB ほどが必要でしょう。しかしこの値は必要 に応じて調整しなければなりません。もし、たくさんのマルチメディアファイル (MP3、動画) をホームディレクトリに保存するつもりなら、もっと多くの容量を確 保しておいてください。 B.3. お勧めするパーティションルール 新規ユーザや Debian マシンを個人で使う人、家庭で使うシステム、その他ユーザ 1 人 で使うようなマシンには、 / パーティション 1 つ (とスワップ) で済ますのが、恐ら くもっとも簡単で素直なやり方でしょう。しかし、パーティションがおよそ 6GB より大 きいサイズなら、パーティションタイプに ext3 を選んでください。 ext2 パーティシ ョンは定期的にファイルシステムの整合性のチェックを必要とします。そして、このこ とはパーティションが大きいときに起動遅延の原因となります。 マルチユーザシステムやたくさんのディスク容量があるシステムでは、 /usr、/var、 / tmp、/home をそれぞれ / パーティションとは別の独立したパーティションにするのが 良いでしょう。 Debian のディストリビューションには含まれていないプログラムをたくさんインストー ルするつもりなら、 /usr/local パーティションが必要となるかもしれません。またメ ールサーバとして利用するなら、 /var/mail を別のパーティションにする必要があるか もしれません。 /tmp に独自のパーティション (例えば 20〜50MB くらい) を割り当て るのも、多くの場合は良い考えです。たくさんのユーザアカウントを抱えるサーバを設 置するなら、独立した大きな /home パーティションを用意することも大抵は良い考えで す。このように、利用方法に応じて、パーティションの配置状態はコンピュータによっ てさまざまです。 とても複雑なシステムのためには、 Multi Disk HOWTO をご覧になるとよいでしょう。 こちらには、ISP やサーバの管理者が関心を持つような事柄の多くが、詳細な情報とし て含まれています。 スワップスペースの問題に関しては、さまざまな見方があります。大雑把ながらも悪く ないやり方は、搭載しているシステムメモリと同じ容量のスワップを用意することです 。ただし多くの場合は 16MB 以下にすべきではありません。もちろんこのルールにも例 外はあります。例えば 256MB ほどの RAM を積んだマシンで、 10000 変数の連立方程式 を解こうとするならば、 1GB (もしくはそれ以上) のスワップを必要とするでしょう。 32-bit のアーキテクチャ (i386、m68k、32-bit SPARC、PowerPC) におけるスワップパ ーティションの最大サイズは 2GB です。これはほとんどの場合において充分な大きさで あるはずです。しかし、もしこれ以上の大きさのスワップ領域が必要なら、別のディス ク (あるいは「スピンドル」) にスワップ領域を分散したり、また可能ならば、SCSI や IDE の別々のチャンネルにスワップ領域を分散したりするよう試みるべきでしょう。こ のようにすると、カーネルは複数のスワップ領域をバランス良く使おうとするので性能 が向上します。 一例として、以前の自宅用マシンを紹介しましょう。このマシンは 32MB の RAM と / dev/hda に 1.7GB IDE のハードディスクを搭載していました。 /dev/hda1 には別の OS 用に 500MB のパーティションがあり、 /dev/hda3 を 32MB のスワップパーティション として使用し、残りの約 1.2GB の /dev/hda2 を Linux パーティションにしていました 。 システムのインストールが完了した後に入れることになるであろう各タスク (task) の 占める領域については項C.3. 「タスクに必要なディスクの空き容量」を調べてください 。 B.4. Linux におけるデバイス名 Linux におけるディスクおよびパーティションの命名法は、他のオペレーティングシス テムとは異なっています。パーティションを作成したりマウントしたりする際には、 Linux がどのようなディスク名を用いるのか知っておく必要があります。以下は基本的 な命名法の仕組みです。 ● 第 1 フロッピードライブは /dev/fd0 と名付けられる。 ● 第 2 フロッピードライブは /dev/fd1 と名付けられる。 ● 第 1 SCSI ディスク (SCSI ID アドレスによる) は /dev/sda と名付けられる。 ● 第 2 SCSI ディスク (アドレスによる) は /dev/sdb と名付けられ、以下も同様。 ● 第 1 SCSI CD-ROM は /dev/scd0 および /dev/sr0 と名付けられる。 ● IDE プライマリーコントローラのマスターディスクは /dev/hda と名付けられる。 ● IDE プライマリーコントローラのスレーブディスクは /dev/hdb と名付けられる。 ● IDE セカンダリーコントローラのマスターディスクおよびスレーブディスクは、そ れぞれ /dev/hdc、/dev/hdd と名付けられる。最近の IDE コントローラは 2 つの チャンネルを持ち、事実上 2 つのコントローラがあるかのように動作します。 各ディスクのパーティションは、ディスク名に十進数を付け加えることで表します。例 えば sda1 と sda2 は、それぞれシステムの第 1 SCSI ディスクドライブの第 1、第 2 パーティションを表します。 実際にありそうな例を挙げてみましょう。2 つの SCSI ディスクを持つシステムで、一 方の SCSI アドレスが 2、もう一方の SCSI アドレスが 4 だとします。最初のディスク (アドレス 2) は sda、 2 つ目のディスクは sdb と名付けられます。もし sda ドライ ブに 3 つのパーティションがあるなら、それらは sda1、sda2、 sda3 と名付けられま す。 sdb ディスクとそのパーティションについても同様です。 2 つの SCSI ホストバスアダプタ (コントローラ) があると、ドライブの順序が混乱す るかもしれないので注意してください。ドライブのモデルや容量を知っているなら、ブ ートメッセージに注目するのが最も良い解決策でしょう。 B.5. Debian のパーティション分割プログラム いろいろな種類のパーティション分割ツールが Debian 開発者によって組み込まれ、さ まざまな形式のハードディスクやコンピュータアーキテクチャで動作するようになって います。以下に、それらのアーキテクチャで使えるプログラムのリストを示します。 partman Debian 推奨のパーティション分割ツールです。このアーミーナイフは、パーティシ ョンサイズを変更したり、ファイルシステムを作成したり、マウントポイントを指 定したりすることもできます。 cfdisk 一般ユーザのための、操作の容易なフルスクリーン表示ディスクパーティション作 成プログラムです。 cfdisk は FreeBSD パーティションを全く理解しません。したがって、こちらでも デバイス名が変わってしまうかもしれません。 mac-fdisk fdisk の Mac 版です。 Partition a Hard Disk を選択すると、上記のプログラムの 1 つがデフォルトで実行さ れます。もしデフォルトで実行されるプログラムがお望みのものでない場合は、まずそ のディスクパーティション作成プログラムを終了してから、 Alt と F2 キーをいっしょ に押してシェル (tty2) を起動し、お望みのプログラムの名前を (必要なら引数を添え て) 直接入力してください。プログラムを終了したら、debian-installer の Partition a Hard Disk という作業段階はとばして、次に進んでください。 IDE ディスクに 20 以上のパーティションを作ろうとしている場合は、 21 番目以降の パーティションに対応するデバイスを作成しなければなりません。適切なデバイスが存 在しないと、パーティションを初期化した後の次のステップで失敗します。例として、 21 番目のパーティションが初期化できるよう、デバイスを追加するためのコマンド群を 示します。これらは tty2 や Execute A Shell から実行できます。 # cd /dev # mknod hda21 b 3 21 # chgrp disk hda21 # chmod 660 hda21 ターゲットシステムにも正しいデバイスがないと、新しいシステムで起動したときに失 敗します。カーネルとモジュールをインストールしたら、以降を実行してください。 # cd /target/dev # mknod hda21 b 3 21 # chgrp disk hda21 # chmod 660 hda21 Mac タイプのディスク上でパーティション分割する際の一つの重要な点は、スワップパ ーティションはその名前によって認識されるということです。つまり名前を「swap」に しなければいけません。すべての Mac linux パーティションは、同じパーティションタ イプ (Apple_UNIX_SRV2) です。マニュアルが良くできていますので、そちらを参照して ください。また mac-fdisk Tutorial も読んでおくと良いでしょう。ディスクを MacOS と共有したい場合に行う作業が、段階を追って書かれています。 B.5.1. 最近の PowerMac でのパーティション分割 NewWorld PowerMac にインストールする場合には、ブートローダ用に特殊なブートスト ラップパーティションを作成しなければなりません。このパーティションのサイズは 800KB とし、パーティションタイプは Apple_Bootstrap にしなければいけません。ブー トストラップパーティションを Apple_Bootstrap タイプで作らないと、マシンはハード ディスクからは起動できません。このパーティションは、partman で新しいパーティシ ョンを作成し「NewWorld boot partition」として使用するようにするか、あるいは mac-fdisk の b コマンドを使って簡単に作成できます。 この Apple_Bootstrap タイプの特殊なパーティションが必要とされるのは、 MacOS が ブートストラップパーティションをマウントして壊してしまわないようにするためです 。OpenFirmware が、ここを自動的に起動できるように特殊な変更がされてしまうからで す。 ブートストラップパーティションに置かれるのは、非常に小さな 3 つのファイルだけ: yaboot バイナリ、この設定ファイル yaboot.conf、第 1 ステージの OpenFirmware ロ ーダ ofboot.b です。これはファイルシステムにマウントする必要も、またカーネルな どを置く必要もありませんし、またそうすべきではありません。このパーティションの 操作には、 ybin と mkofboot ユーティリティを使ってください。 OpenFirmware に Debian GNU/Linux を自動的に起動させるためには、ブートストラップ パーティションはディスク上の他のブートパーティション (特に MacOS のブートパーテ ィション) よりも前に置かなければなりません。ブートストラップパーティションは真 っ先に作りましょう。しかし、後からブートストラップパーティションを追加すること も可能で、 mac-fdisk の r コマンドを使ってパーティションマップを並べ替え、マッ プ (これは常にパーティション 1 になります) の直後にブートストラップパーティショ ンを置けば良いのです。これは論理的なマップ順で、物理的な順序ではありませんが、 ちゃんと動作します。 Apple のディスクには、通常複数の小さなドライブパーティションがあります。マシン を MacOSX とのデュアルブートにしたい場合は、これらのパーティションと小さな HFS パーティション (最小サイズで 800K) を確保しなければなりません。MacOSX は、起動 のたびに、 MacOS パーティションもドライバパーティションもないディスクに対して、 初期化するかどうかを尋ねるからです。 付録 C. ランダムビット 目次 C.1. Preconfiguration ファイルサンプル C.2. Linux のデバイス C.2.1. マウスのセットアップ C.3. タスクに必要なディスクの空き容量 C.4. Unix/Linux System システムからの Debian GNU/Linux のインストール C.4.1. はじめに C.4.2. debootstrap のインストール C.4.3. debootstrap の実行 C.4.4. 基本システムの設定 C.4.5. カーネルのインストール C.4.6. ブートローダのセットアップ C.1. Preconfiguration ファイルサンプル 以下は自動インストール用 preconfiguration ファイルの、完全に動作するサンプルで す。使用方法は項4.7. 「自動インストール」で説明されています。このファイルを使用 する前に、行をアンコメントしてかまいません。 注意 この例をマニュアルに間違いなく表せるように、いくつかの行を分割しています。これ は行継続文字「\」と次行のインデントで表します。実際の preconfiguration ファイル では、この分割されている行を一行に結合しなければなりません。そうしない場合、予 期しない結果で preconfiguration が失敗します。 「まっさらな」サンプルファイルは、../example-preseed.txt から手に入ります。 #### Startup. # To use a preseed file, you'll first need to boot the installer, # and tell it what preseed file to use. This is done by passing the # kernel a boot parameter, either manually at boot or by editing the # syslinux.cfg (or similar) file and adding the parameter to the end # of the append line(s) for the kernel. # # If you're netbooting, use this: # preseed/url=http://host/path/to/preseed # If you're remastering a CD, you could use this: # preseed/file=/cdrom/preseed # If you're installing from USB media, use this, and put the preseed file # in the toplevel directory of the USB stick. # preseed/file=/hd-media/preseed # Be sure to copy this file to the location you specify. # # Some parts of the installation process cannot be automated using # some forms of preseeding, because the questions are asked before # the preseed file is loaded. For example, if the preseed file is # downloaded over the network, the network setup must be done first. # One reason to use initrd preseeding is that it allows preseeding # of even these early steps of the installation process. # # If a preseed file cannot be used to preseed some steps, the install can # still be fully automated, since you can pass preseed values to the kernel # on the command line. Just pass path/to/var=value for any of the preseed # variables listed below. # # While you're at it, you may want to throw a debconf/priority=critical in v# there, to avoid most questions even if the preseeding below misses some. # And you might set the timeout to 1 in syslinux.cfg to avoid needing to hit # enter to boot the installer. # # Note that the kernel accepts a maximum of 8 command line options and # 8 environment options (including any options added by default for the # installer). If these numbers are exceeded, 2.4 kernels will drop any # excess options and 2.6 kernels will panic. With kernel 2.6.9 or newer, # you can use 32 command line options and 32 environment options. # # Some of the default options, like 'vga=normal' may be safely removed # for most installations, which may allow you to add more options for # preseeding. # It is not possible to use preseeding to set language, country, and # keyboard. Instead you should use kernel parameters. Example: # languagechooser/language-name=English # countrychooser/shortlist=US # console-keymaps-at/keymap=us #### Network configuration. # Of course, this won't work if you're loading your preseed file from the # network! But it's great if you're booting from CD or USB stick. You can # also pass network config parameters in on the kernel params if you are # loading preseed files from the network. # netcfg will choose an interface that has link if possible. This makes it # skip displaying a list if there is more than one interface. d-i netcfg/choose_interface select auto # If you have a slow dhcp server and the installer times out waiting for # it, this might be useful. #d-i netcfg/dhcp_timeout string 60 # If you prefer to configure the network manually, here's how: #d-i netcfg/disable_dhcp boolean true #d-i netcfg/get_nameservers string 192.168.1.1 #d-i netcfg/get_ipaddress string 192.168.1.42 #d-i netcfg/get_netmask string 255.255.255.0 #d-i netcfg/get_gateway string 192.168.1.1 #d-i netcfg/confirm_static boolean true # Note that any hostname and domain names assigned from dhcp take # precedence over values set here. However, setting the values still # prevents the questions from being shown even if values come from dhcp. d-i netcfg/get_hostname string unassigned-hostname d-i netcfg/get_domain string unassigned-domain # Disable that annoying WEP key dialog. d-i netcfg/wireless_wep string # The wacky dhcp hostname that some ISPs use as a password of sorts. #d-i netcfg/dhcp_hostname string radish #### Mirror settings. d-i mirror/country string enter information manually d-i mirror/http/hostname string http.us.debian.org d-i mirror/http/directory string /debian d-i mirror/suite string testing d-i mirror/http/proxy string #### Partitioning. # If the system has free space you can choose to only partition that space. #d-i partman-auto/init_automatically_partition \ # select Use the largest continuous free space # Alternatively, you can specify a disk to partition. The device name can # be given in either devfs or traditional non-devfs format. # For example, to use the first disk devfs knows of: d-i partman-auto/disk string /dev/discs/disc0/disc # You can choose from any of the predefined partitioning recipes: d-i partman-auto/choose_recipe select \ All files in one partition (recommended for new users) #d-i partman-auto/choose_recipe select Desktop machine #d-i partman-auto/choose_recipe select Multi-user workstation # Or provide a recipe of your own... # The recipe format is documented in the file devel/partman-auto-recipe.txt. # If you have a way to get a recipe file into the d-i environment, you can # just point at it. #d-i partman-auto/expert_recipe_file string /hd-media/recipe # If not, you can put an entire recipe in one line. This example creates # a small /boot partition, suitable swap, and uses the rest of the space # for the root partition: #d-i partman-auto/expert_recipe string boot-root :: \ # 20 50 100 ext3 $primary{ } $bootable{ } method{ format } format{ } \ # use_filesystem{ } filesystem{ ext3 } mountpoint{ /boot } . \ # 500 10000 1000000000 ext3 method{ format } format{ } \ # use_filesystem{ } filesystem{ ext3 } mountpoint{ / } . \ # 64 512 300% linux-swap method{ swap } format{ } . # For reference, here is that same recipe in a more readable form: # boot-root :: # 40 50 100 ext3 # $primary{ } $bootable{ } # method{ format } format{ } # use_filesystem{ } filesystem{ ext3 } # mountpoint{ /boot } # . # 500 10000 1000000000 ext3 # method{ format } format{ } # use_filesystem{ } filesystem{ ext3 } # mountpoint{ / } # . # 64 512 300% linux-swap # method{ swap } format{ } # . # This makes partman automatically partition without confirmation. d-i partman/confirm_write_new_label boolean true d-i partman/choose_partition select \ Finish partitioning and write changes to disk d-i partman/confirm boolean true #### Boot loader installation. # Grub is the default boot loader (for x86). If you want lilo installed # instead, uncomment this: #d-i grub-installer/skip boolean true # This is fairly safe to set, it makes grub install automatically to the MBR # if no other operating system is detected on the machine. d-i grub-installer/only_debian boolean true # This one makes grub-installer install to the MBR if if finds some other OS # too, which is less safe as it might not be able to boot that other OS. d-i grub-installer/with_other_os boolean true # Alternatively, if you want to install to a location other than the mbr, # uncomment and edit these lines: #d-i grub-installer/bootdev string (hd0,0) #d-i grub-installer/only_debian boolean false #d-i grub-installer/with_other_os boolean false #### Finishing up the first stage install. # Avoid that last message about the install being complete. d-i prebaseconfig/reboot_in_progress note #### Shell commands. # d-i preseeding is inherently not secure. Nothing in the installer checks # for attempts at buffer overflows or other exploits of the values of a # preseed file like this one. Only use preseed files from trusted # locations! To drive that home, and because it's generally useful, here's # a way to run any shell command you'd like inside the installer, # automatically. # This first command is run as early as possible, just after # preseeding is read. #d-i preseed/early_command string anna-install some-udeb # This command is run just before the install finishes, but when there is # still a usable /target directory. #d-i preseed/late_command string echo foo > /target/etc/bar # This command is run just as base-config is starting up. #base-config base-config/early_command string echo hi mom # This command is run after base-config is done, just before the login: # prompt. This is a good way to install a set of packages you want, or to # tweak the configuration of the system. #base-config base-config/late_command string \ # apt-get install zsh; chsh -s /bin/zsh ###### Preseeding the 2nd stage of the installation. #### Preseeding base-config. # Avoid the introductory message. base-config base-config/intro note # Avoid the final message. base-config base-config/login note # If you installed a display manager, but don't want to start it immediately # after base-config finishes. #base-config base-config/start-display-manager boolean false # Some versions of the installer can report back on what you've installed. # The default is not to report back, but sending reports helps the project # determine what software is most popular and include it on CDs. #popularity-contest popularity-contest/participate boolean false #### Clock and time zone setup. # Controls whether or not the hardware clock is set to UTC. #base-config tzconfig/gmt boolean true # If you told the installer that you're in the United States, then you # can set the time zone using this variable. # (Choices are: Eastern, Central, Mountain, Pacific, Alaska, Hawaii, # Aleutian, Arizona East-Indiana, Indiana-Starke, Michigan, Samoa, other) #base-config tzconfig/choose_country_zone/US select Eastern # If you told it you're in Canada. # (Choices are: Newfoundland, Atlantic, Eastern, Central, # East-Saskatchewan, Saskatchewan, Mountain, Pacific, Yukon, other) #base-config tzconfig/choose_country_zone/CA select Eastern # If you told it you're in Brazil. (Choices are: East, West, Acre, # DeNoronha, other) #base-config tzconfig/choose_country_zone/BR select East # Many countries have only one time zone. If you told the installer you're # in one of those countries, you can choose its standard time zone via this # question. #base-config tzconfig/choose_country_zone_single boolean true # This question is asked as a fallback for countries other than those # listed above, which have more than one time zone. You can preseed one of # the time zones, or "other". #base-config tzconfig/choose_country_zone_multiple select #### Account setup. # To preseed the root password, you have to put it in the clear in this # file. That is not a very good idea, use caution! #passwd passwd/root-password password r00tme #passwd passwd/root-password-again password r00tme # If you want to skip creation of a normal user account. #passwd passwd/make-user boolean false # Alternatively, you can preseed the user's name and login. #passwd passwd/user-fullname string Debian User #passwd passwd/username string debian # And their password, but use caution! #passwd passwd/user-password password insecure #passwd passwd/user-password-again password insecure #### Apt setup. # This question controls what source the second stage installation uses # for packages. Choices are cdrom, http, ftp, filesystem, edit sources list # by hand base-config apt-setup/uri_type select http # If you choose ftp or http, you'll be asked for a country and a mirror. base-config apt-setup/country select enter information manually base-config apt-setup/hostname string http.us.debian.org base-config apt-setup/directory string /debian # Stop after choosing one mirror. base-config apt-setup/another boolean false # You can choose to install non-free and contrib software. #base-config apt-setup/non-free boolean true #base-config apt-setup/contrib boolean true # Do enable security updates. base-config apt-setup/security-updates boolean true #### Package selection. # You can choose to install any combination of tasks that are available. # Available tasks as of this writing include: Desktop environment, # Web server, Print server, DNS server, File server, Mail server, # SQL database, Laptop, Standard system, manual package selection. The # last of those will run aptitude. You can also choose to install no # tasks, and force the installation of a set of packages in some other # way. We recommend always including the Standard system task. tasksel tasksel/first multiselect Desktop environment, Standard system #tasksel tasksel/first multiselect Web server, Standard system #### Mailer configuration. # During a normal install, exim asks only a few questions. Here's how to # avoid even those. More complicated preseeding is possible. exim4-config exim4/dc_eximconfig_configtype \ select no configuration at this time exim4-config exim4/no_config boolean true exim4-config exim4/no_config boolean true # It's a good idea to set this to whatever user account you choose to # create. Leaving the value blank results in postmaster mail going to # /var/mail/mail. exim4-config exim4/dc_postmaster string #### X Configuration. # Preseeding Debian's X config is possible, but you probably need to know # some details about the video hardware of the machine, since Debian's X # configurator does not do fully automatic configuration of everything. # X can detect the right driver for some cards, but if you're preseeding, # you override whatever it chooses. Still, vesa will work most places. #xserver-xfree86 xserver-xfree86/config/device/driver select vesa # A caveat with mouse autodetection is that if it fails, X will retry it # over and over. So if it's preseeded to be done, there is a possibility of # an infinite loop if the mouse is not autodetected. #xserver-xfree86 xserver-xfree86/autodetect_mouse boolean true # Monitor autodetection is recommended. xserver-xfree86 xserver-xfree86/autodetect_monitor boolean true # Uncomment if you have an LCD display. #xserver-xfree86 xserver-xfree86/config/monitor/lcd boolean true # X has three configuration paths for the monitor. Here's how to preseed # the "medium" path, which is always available. The "simple" path may not # be available, and the "advanced" path asks too many questions. xserver-xfree86 xserver-xfree86/config/monitor/selection-method \ select medium xserver-xfree86 xserver-xfree86/config/monitor/mode-list \ select 1024x768 @ 60 Hz #### Everything else. # Depending on what software you choose to install, or if things go wrong # during the installation process, it's possible that other questions may # be asked. You can preseed those too, of course. To get a list of every # possible question that could be asked during an install, do an # installation, and then run these commands: # debconf-get-selections --installer > file # debconf-get-selections >> file # If you like, you can include other preseed files into this one. # Any settings in those files will override pre-existing settings from this # file. More that one file can be listed, separated by spaces; all will be # loaded. The included files can have preseed/include directives of their # own as well. Note that if the filenames are relative, they are taken from # the same directory as the preseed file that includes them. #d-i preseed/include string x.cfg # More flexibly, this runs a shell command and if it outputs the names of # preseed files, includes those files. For example, to switch configs based # on a particular usb storage device (in this case, a built-in card reader): #d-i preseed/include_command string \ # if $(grep -q "GUID: 0aec3050aec305000001a003" /proc/scsi/usb-storage-*/*); \ # then echo kraken.cfg; else echo otherusb.cfg; fi # To check the format of your preseed file before performing an install, # you can use debconf-set-selections: # debconf-set-selections -c preseed.cfg C.2. Linux のデバイス Linux では、/dev に特別なファイルがいろいろとあります。このファイルはデバイスフ ァイルと呼ばれます。 Unix の世界ではハードウェアへのアクセスは風変わりです。そ こではハードウェアにアクセスする際に、ドライバを実際に動かす特別なファイルがあ ります。デバイスファイルは、実際のシステムコンポーネントへのインターフェースと なります。また、/dev 以下のファイルは、さらに通常のファイルと異なる振る舞いをし ます。以下は、最も重要なデバイスファイルの一覧です。 ┌──┬────────────┐ │fd0 │第 1 フロッピードライブ │ ├──┼────────────┤ │fd1 │第 2 フロッピードライブ │ └──┴────────────┘ ┌───┬───────────────────────────┐ │hda │第 1 IDEポートの IDE ハードディスク / CD-ROM (Master) │ ├───┼───────────────────────────┤ │hdb │第 1 IDEポートの IDE ハードディスク / CD-ROM (Slave) │ ├───┼───────────────────────────┤ │hdc │第 2 IDEポートの IDE ハードディスク / CD-ROM (Master) │ ├───┼───────────────────────────┤ │hdd │第 2 IDEポートの IDE ハードディスク / CD-ROM (Slave) │ ├───┼───────────────────────────┤ │hda1 │最初の IDE ハードディスクの最初のパーティション │ ├───┼───────────────────────────┤ │hdd15 │4 番目の IDE ハードディスクの 15 番目のパーティション │ └───┴───────────────────────────┘ ┌───┬───────────────────────────┐ │sda │SCSI ID が最小の SCSI ハードディスク (例: 0) │ ├───┼───────────────────────────┤ │sdb │SCSI ID が次に小さい SCSI ハードディスク (例: 1) │ ├───┼───────────────────────────┤ │sdc │SCSI ID がその次に小さい SCSI ハードディスク (例: 2) │ ├───┼───────────────────────────┤ │sda1 │最初の SCSI ハードディスクの最初のパーティション │ ├───┼───────────────────────────┤ │sdd10 │4番目の SCSI ハードディスクの 10 番目のパーティション │ └───┴───────────────────────────┘ ┌──┬────────────────┐ │sr0 │SCSI ID が最小の SCSI CD-ROM │ ├──┼────────────────┤ │sr1 │SCSI ID が次に小さい SCSI CD-ROM│ └──┴────────────────┘ ┌────┬────────────────────────────┐ │ttyS0 │シリアルポート 0、MS-DOS では COM1 │ ├────┼────────────────────────────┤ │ttyS1 │シリアルポート 1、MS-DOS では COM2 │ ├────┼────────────────────────────┤ │psaux │PS/2 マウスデバイス │ ├────┼────────────────────────────┤ │gpmdata │疑似デバイス、GPM (マウス) デーモンからのリピータデータ │ └────┴────────────────────────────┘ ┌───┬──────────────────────┐ │cdrom │CD-ROM ドライブへのシンボリックリンク │ ├───┼──────────────────────┤ │mouse │マウスデバイスファイルへのシンボリックリンク│ └───┴──────────────────────┘ ┌──┬────────────────────┐ │null│送られたものをすべて消してしまうデバイス│ ├──┼────────────────────┤ │zero│無限に 0 を読み出せるデバイス │ └──┴────────────────────┘ C.2.1. マウスのセットアップ (gpm が動いている) Linux コンソールと X ウィンドウ環境の両方で、マウスを使用で きます。以下で示すような、gpm リピータの信号を X サーバに流れるようにすれば、双 方で使用するような互換性を持つことができます。 mouse => /dev/psaux => gpm => /dev/gpmdata -> /dev/mouse => X /dev/ttyS0 (repeater) (symlink) /dev/ttyS1 /etc/X11/XF86Config や /etc/X11/XF86Config-4 で元のマウスプロトコルを X に設定 するなら、リピータプロトコルを (/etc/gpm.conf で) raw に設定してください。 X の中で gpm を使用するこのアプローチは、マウスが不注意に抜かれた場合にも利点が あります。単純に # /etc/init.d/gpm restart として gpm を再起動すると、X を再起動しなくても、ソフトウェア的にマウスを再接続 することができます。 いろいろな理由で gpm が無効だったりインストールされていない場合、 /dev/psaux と いったマウスデバイスから直接読み込むよう X を設定するといいです。詳細は、 /usr/ share/doc/HOWTO/en-txt/mini/3-Button-Mouse.gz の 3-Button Mouse mini-Howto や、 man gpm、 /usr/share/doc/gpm/FAQ.gz、 README.mouse をご覧ください。 PowerPC では、/etc/X11/XF86Config や /etc/X11/XF86Config-4で、マウスデバイスを "/dev/input/mice" に設定してください。 最近のカーネルは、マウスにボタンが 1 つしかなくても、 3 ボタンエミュレーション 機能があります。 /etc/sysctl.conf に以下の行を記述してください。 # 3-button mouse emulation # turn on emulation /dev/mac_hid/mouse_button_emulation = 1 # Send middle mouse button signal with the F11 key /dev/mac_hid/mouse_button2_keycode = 87 # Send right mouse button signal with the F12 key /dev/mac_hid/mouse_button3_keycode = 88 # For different keys, use showkey to tell you what the code is. C.3. タスクに必要なディスクの空き容量 デフォルトの 2.4 カーネルを用いた i386 用の基本インストールは、全標準パッケージ を含めると、573MB のディスク領域が必要です。 以下の表は tasksel で表示されるタスクについて、 aptitude が報告したサイズです。 いくつかのタスクでは、内容が一部重複していることに注意してください。つまり、2 つのタスクを一緒にインストールした後のインストールサイズは、挙げてある数値を合 計したものよりも、小さくなるということです。 パーティションのサイズを決定するとき、基本インストールのサイズに加え、以下の表 に列挙したサイズが必要であるのに注意してください。「Installed size」はインスト ール完了時に /usr に必要なサイズを、「Download size」は /var に (一時的に) 必要 なサイズを記述しています。 ┌──────┬────────┬────────┬────────────┐ │ タスク │インストールサイ│ダウンロードサイ│インストールに必要な空き│ │ │ ズ (MB) │ ズ (MB) │ 容量 (MB) │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │デスクトップ│1392 │460 │1852 │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │ウェブサーバ│36 │12 │48 │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │印刷サーバ │168 │58 │226 │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │DNS サーバ │2 │1 │3 │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │ファイルサー│47 │24 │71 │ │バ │ │ │ │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │メールサーバ│10 │3 │13 │ ├──────┼────────┼────────┼────────────┤ │SQL データベ│66 │21 │87 │ │ース │ │ │ │ └──────┴────────┴────────┴────────────┘ 注意 デスクトップタスクは、 Gnome と KDE の両デスクトップ環境をインストールします。 英語以外の言語でインストールする場合、その言語が有効なら tasksel は地域化タスク を、自動的にインストールします。必要な容量は言語によって異なりますが、ダウンロ ードとインストールで最大 200MB 必要となります。 C.4. Unix/Linux System システムからの Debian GNU/Linux のインストール 本節は、マニュアルの他の部分で説明されているメニュードリブンインストーラを使用 せずに、既存の Unix・Linux システムから Debian GNU/Linux をインストールする方法 について説明します。この「クロスインストール」 HOWTO は、 Red Hat, Mandrake, SUSE から Debian GNU/Linux に移行するユーザの要望で書かれました。本節では、*nix コマンドの入力について熟知し、ファイルシステムを操作できるのが前提となっていま す。また、#が Debian chroot に入力されたコマンドを示し、 $ はユーザの現在のシス テムに入力されるコマンドを表します。 一旦、新しい Debian システムを好みに設定したら、既存のユーザデータを (あるなら) 稼働したまま移行できます。したがって、これは「0 ダウンタイム」 Debian GNU/Linux インストールになります。またこれは、様々な起動・インストールメディアと相性のよ くないハードウェアに対処する、うまい方法です。 C.4.1. はじめに 今の *nix のパーティション分割ツールで、スワップと最低 1 つファイルシステムを作 成するよう、ハードディスクを希望に添って再分割してください。コンソールのみのイ ンストールには、最低 150MB の空き領域が必要ですし、 X をインストールする予定な ら最低 300MB 必要です。 パーティションへのファイルシステム作成。例えば、/dev/hda6 パーティションに、 ext3 ファイルシステムを作成するには、以下のようにします。 (今回の例ではこのパー ティションを root パーティションとします) # mke2fs -j /dev/hda6 ext3 ではなく ext2 ファイルシステムを作成するには、 -j を取ってください。 スワップを以下のように初期化して有効にしてください。 (パーティション番号は、 Debian スワップパーティションにするパーティション番号に、読み替えてください) # mkswap /dev/hda5 # sync; sync; sync # swapon /dev/hda5 パーティションを /mnt/debinst (インストールポイント。新システムの root (/) ファ イルシステムになります) にマウントしてください。厳密にいうとマウントポイント名 は何でも構いません。以降の説明ではこれを使用します。 # mkdir /mnt/debinst # mount /dev/hda6 /mnt/debinst 注意 分割したパーティションをファイルシステムの一部 (例 /usr) にマウントする場合、次 のステージに進む前に、手動でそのディレクトリを作成・マウントする必要があります 。 C.4.2. debootstrap のインストール Debian インストーラが使用するツール (Debian 基本システムをインストールする公式 の方法と認められている) が debootstrap です。 wget と ar を使用しますが、 /bin/ sh にのみ依存しています。今のシステムに既にインストールしていなければ、 wget と ar をインストールし、その後 debootstrap をダウンロード・インストールしてくださ い。 rpm ベースシステムがあるなら、alien を使って .deb を .rpm に変換できます。もし くは、 http://people.debian.org/~blade/install/debootstrap から rpm 形式のもの をダウンロードできます。 また、手動でインストールするには、以下の手順になります。まず .deb を展開するた めに作業フォルダを次のように作ってください。 # mkdir work # cd work debootstrap バイナリは、Debian アーカイブ (あなたのアーキテクチャに適合するファ イルを必ず選ぶこと) にあります。 pool から debootstrap .deb をダウンロードして 、作業フォルダにパッケージをコピーし、バイナリファイルを展開してください。バイ ナリをインストールする際には root 権限を持つ必要があるでしょう。 # ar -x debootstrap_0.X.X_arch.deb # cd / # zcat /full-path-to-work/work/data.tar.gz | tar xv debootstrap を実行するには、最小版の glibc (現在は GLIBC_2.3) がインストールさ れている必要があります。 debootstrap 自身は、シェルスクリプトですが、ここから呼 ばれる様々なユーティリティが glibc を必要としています。 C.4.3. debootstrap の実行 debootstrap は,実行されると、アーカイブから必要なファイルを直接ダウンロードで きます。以下のコマンドの例では、 http.us.debian.org/debian としていますが、ネッ トワーク的に近い Debian アーカイブミラーサイトで代用できます。ミラーサイトは、 http://www.debian.org/misc/README.mirrors でリストされています。 sarge Debian GNU/Linux CD を持っていて、 /cdrom にマウントしていれば、 http URL に代えて file URL (file:/cdrom/debian/) を使用することができます。 debootstrap コマンドの ARCH は、以下のうち一つを使用してください。 alpha, arm, hppa, i386, ia64, m68k, mips, mipsel, powerpc, s390, sparc. # /usr/sbin/debootstrap --arch ARCH sarge \ /mnt/debinst http://http.us.debian.org/debian C.4.4. 基本システムの設定 さあ、これでディスクに真の Debian システムを (いくぶん中がスカスカですが) 手に 入れました。そこに chroot してください。 # LANG= chroot /mnt/debinst /bin/bash C.4.4.1. パーティションのマウント /etc/fstab を作る必要があります。 # editor /etc/fstab 以下のサンプルを自分に合うように編集できます。 # /etc/fstab: static file system information. # # file system mount point type options dump pass /dev/XXX / ext3 defaults 0 1 /dev/XXX /boot ext3 ro,nosuid,nodev 0 2 /dev/XXX none swap sw 0 0 proc /proc proc defaults 0 0 /dev/fd0 /mnt/floppy auto noauto,rw,sync,user,exec 0 0 /dev/cdrom /mnt/cdrom iso9660 noauto,ro,user,exec 0 0 /dev/XXX /tmp ext3 rw,nosuid,nodev 0 2 /dev/XXX /var ext3 rw,nosuid,nodev 0 2 /dev/XXX /usr ext3 rw,nodev 0 2 /dev/XXX /home ext3 rw,nosuid,nodev 0 2 /etc/fstab で指定したファイルシステムを、すべてマウントするには mount -a として ください。また、ファイルシステムを別々にマウントするには、以下のようにしてくだ さい。 # mount /path # 例: mount /usr proc ファイルシステムは、どこでも何度でもマウントすることができますが、慣習的に /proc にマウントします。 mount -a を使用しなかった場合は、以下のように先に進む 前に必ず proc をマウントしてください。 # mount -t proc proc /proc ls /proc コマンドは、今度は空のディレクトリにはならないはずです。これが失敗する ようなら、以下のように chroot の外側から proc をマウントできるかもしれません。 # mount -t proc proc /mnt/debinst/proc C.4.4.2. キーボードの設定 キーボードを設定するには次のようにしてください。 # dpkg-reconfigure console-data chroot 内では、キーボードを設定できませんが、再起動後に有効になることに注意して ください。 C.4.4.3. ネットワークの設定 ネットワークの設定をするには、 /etc/network/interfaces, /etc/resolv.conf, /etc/ hostname を編集してください。 # editor /etc/network/interfaces 次は、 /usr/share/doc/ifupdown/examples のシンプルな例です。 ###################################################################### # /etc/network/interfaces -- configuration file for ifup(8), ifdown(8) # See the interfaces(5) manpage for information on what options are # available. ###################################################################### # We always want the loopback interface. # auto lo iface lo inet loopback # To use dhcp: # # auto eth0 # iface eth0 inet dhcp # An example static IP setup: (broadcast and gateway are optional) # # auto eth0 # iface eth0 inet static # address 192.168.0.42 # network 192.168.0.0 # netmask 255.255.255.0 # broadcast 192.168.0.255 # gateway 192.168.0.1 /etc/resolv.conf に、ネームサーバと search ディレクティブを入力してください。 # editor /etc/resolv.conf シンプルな /etc/resolv.conf は以下になります。 search hqdom.local\000 nameserver 10.1.1.36 nameserver 192.168.9.100 システムのホスト名 (2 から 63 文字) を入力してください。 # echo DebianHostName > /etc/hostname 複数のネットワークカードを持っているなら、 /etc/modules ファイルに希望の順番で 、ドライバモジュールの名前を配置してください。その後起動中に、各カードは期待通 りにインターフェース名 (eth0, eth1など) と結びつけられます。 C.4.4.4. タイムゾーン、ユーザ、APT の設定 タイムゾーンの設定、一般ユーザの追加、 apt ソースの選択を行うには、以下のコマン ドを実行します。 # /usr/sbin/base-config new C.4.4.5. locale の設定 英語以外の言語を使用するよう locale の設定をするために、次のように locales サポ ートパッケージをインストール・設定します。 # apt-get install locales # dpkg-reconfigure locales 注: apt はあらかじめ (つまり base-config で) 設定しておかなければなりません。 ASCII や latin1 以外の文字セットを持つ locale を使用する前には、適切な localization HOWTO を調べてください。 C.4.5. カーネルのインストール このシステムを起動できるようにするなら、おそらく Linux カーネルとブートローダが 必要でしょう。次のようにして、あらかじめパッケージ化したカーネルを確認してくだ さい。 # apt-cache search kernel-image 次に、選んだパッケージ名を使ってインストールしてください。 # apt-get install kernel-image-2.X.X-arch-etc C.4.6. ブートローダのセットアップ Debian GNU/Linux システムを起動できるようにするために、インストールしたカーネル を新しい root パーティションから読み込むように、ブートローダをセットアップして ください。 debootstrap は、ブートローダをインストールしないことに注意してくださ い。とは言っても、セットアップするために Debian chroot 内部の apt-get を使用す ることができます。 ブートローダのセットアップについての説明は、 man yaboot.conf をチェックしてくだ さい。 Debian をインストールするのに使用したシステムを保持する場合、既存の yaboot.conf に、 Debian インストールへのエントリを単に加えてください。そして新 システムにそれをコピーし、そこで編集してください。編集を終えた後、ybin を呼び出 してください。 (ybin を呼び出したシステムと関係あるところの、 yaboot.conf が使 われるということを覚えていてください) 以下は基本的な /etc/yaboot.conf の例です。 boot=/dev/hda2 device=hd: partition=6 root=/dev/hda6 magicboot=/usr/lib/yaboot/ofboot timeout=50 image=/vmlinux label=Debian いくつかのマシンでは、 hd: の代わりに ide0: を使う必要があるかもしれません。 付録 D. 付記 目次 D.1. この文書について D.2. この文書への貢献 D.3. 多大な貢献 D.4. 商標表示 D.1. この文書について 本マニュアルは、初期の Debian インストールマニュアルを元にした、 boot-floppies 用の woody インストールマニュアルを元に、 sarge 用 debian-installer のために書 かれました。また、2003 年 GPL でリリースした、Progeny ディストリビューションマ ニュアルも元にしています。 この文書は DocBook XML を用いて書かれています。出力形式は、docbook-xml パッケー ジや docbook-xsl パッケージの情報を用いて、様々なプログラムで生成されます。 この文書では、そのメンテナンス性を高めるために、実体やプロファイル属性など数々 の XML の特徴を利用しています。これらは、プログラミング言語の変数や条件に似た機 能を果たします。この XML ソースには、異なる各アーキテクチャの情報が含まれていま すが、各アーキテクチャ固有の文章のまとまりを分離するのに、プロファイル属性が使 われています。 D.2. この文書への貢献 この文書に関する問題や提案がある場合には、それらを debian-installer-manual パッ ケージに対するバグ報告として提出してください。その方法については reportbug パッ ケージや Debian バグ追跡システムのオンラインドキュメントをご覧ください。なお同 じ問題が報告済みかどうかを調べるためには、 debian-installer-manual パッケージに 関するバグ報告を確認するとよいでしょう。もし同じ問題が報告済みならば、 宛に、確証のための追加情報や有益な情報を提供することができま す。 XXXX には、報告済みのバグに付けられた番号を当てはめてください。 もちろんこの文書の DocBook ソースを入手し、それに対するパッチを作成していただけ るともっと助かります。 DocBook ソースは debian-installer WebSVN にあります。 DocBook に慣れていなくても心配しないでください。あなたが始められるよう、マニュ アルディレクトリに簡単なチャートシートがあります。 html に似ていますが、プレゼ ンテーションではなく、テキストの意味の方を重視しています。パッチは debian-boot メーリングリスト (以下を参照) に提出してください。歓迎いたします。 SVNでソース をチェックする方法については、ソースのルートディレクトリの README をご覧くださ い。 どうか、この文書の著者に直接連絡をとるようなことはしないでください。このマニュ アルの話題も含め、 debian-installer に関する議論を行うメーリングリストがありま す。その宛先は です。またDebian メーリングリスト 購読ページには、このメーリングリストの購読に関する説明があります。また Debian メーリングリストアーカイブでは、その写しをオンラインで読むこともできます。 なお本文書の日本語訳については、 で議論を行っています 。また、Debian JP Project: メーリングリストに購読に関する簡単な説明があり、 debian-doc Mailing List Archive では過去のメールを読むことができます。 D.3. 多大な貢献 もともとこの文書は Bruce Perens, Sven Rudolph, Igor Grobman, James Treacy, Adam Di Carlo によって書かれました。 Sebastian Ley はインストール Howto を書きました 。非常に多くの Debian ユーザや開発者がこの文書に貢献しています。特に Michael Schmitz (m68k のサポート) や、Frank Neumann (Amiga install manual の原著者)、 Arto Astala, Eric Delaunay/Ben Collins (SPARC に関する情報)、さまざまな文書を編 集、著述している Tapio Lehtonen と St?phane Bortzmeyer には多大なご協力をいただ きました。また、Pascal Le Bail には USB メモリースティックから起動する方法につ いて、有益な情報をいただいたことに感謝いたします。 Miroslav Ku?e には Sarge の debian-installer の新機能について、たくさん記述していただきました。 Jim Mintha によるネットワークブートに関する HOWTO (利用可能な URL が不明) や、 Debian FAQ、 Linux/m68k FAQ、 SPARC プロセッサ向け Linux FAQ、 Linux/Alpha FAQ やその他の文書には、極めて有用な文章や情報があります。これらの自由に利用できる 素晴らしい情報源をメンテナンスされている方々は、高く評価されるべきでしょう。 本マニュアルの chroot してのインストールに関する節 (項C.4. 「Unix/Linux System システムからの Debian GNU/Linux のインストール」) は、 Karsten M. 自身が著作権 を持つドキュメントの一部が元になっています。 D.4. 商標表示 すべての商標には、それぞれに所有者がいます。 付録 E. GNU General Public License 目次 E.1. Preamble E.2. GNU GENERAL PUBLIC LICENSE E.3. How to Apply These Terms to Your New Programs 日本語訳注: 以下の文書は GNU General Public License (GPL) の原文です。フリーソ フトウェア財団 (FSF) は、翻訳されたものをチェックできないこと、翻訳に誤りが混入 した場合の問題などから、翻訳を公式なものとして認めていません。もちろん非公式な 翻訳が存在することは認めていますので、非公式日本語訳で GPL の日本語訳をご覧いた だけます。 Version 2, June 1991 Copyright (C) 1989, 1991 Free Software Foundation, Inc. -- 51 Franklin St, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301, USA. Everyone is permitted to copy and distribute verbatim copies of this license document, but changing it is not allowed. E.1. Preamble The licenses for most software are designed to take away your freedom to share and change it. By contrast, the gnu General Public License is intended to guarantee your freedom to share and change free software -- to make sure the software is free for all its users. This General Public License applies to most of the Free Software Foundation's software and to any other program whose authors commit to using it. (Some other Free Software Foundation software is covered by the gnu Library General Public License instead.) You can apply it to your programs, too. When we speak of free software, we are referring to freedom, not price. Our General Public Licenses are designed to make sure that you have the freedom to distribute copies of free software (and charge for this service if you wish), that you receive source code or can get it if you want it, that you can change the software or use pieces of it in new free programs; and that you know you can do these things. To protect your rights, we need to make restrictions that forbid anyone to deny you these rights or to ask you to surrender the rights. These restrictions translate to certain responsibilities for you if you distribute copies of the software, or if you modify it. For example, if you distribute copies of such a program, whether gratis or for a fee, you must give the recipients all the rights that you have. You must make sure that they, too, receive or can get the source code. And you must show them these terms so they know their rights. We protect your rights with two steps: (1) copyright the software, and (2) offer you this license which gives you legal permission to copy, distribute and /or modify the software. Also, for each author's protection and ours, we want to make certain that everyone understands that there is no warranty for this free software. If the software is modified by someone else and passed on, we want its recipients to know that what they have is not the original, so that any problems introduced by others will not reflect on the original authors' reputations. Finally, any free program is threatened constantly by software patents. We wish to avoid the danger that redistributors of a free program will individually obtain patent licenses, in effect making the program proprietary. To prevent this, we have made it clear that any patent must be licensed for everyone's free use or not licensed at all. The precise terms and conditions for copying, distribution and modification follow. E.2. GNU GENERAL PUBLIC LICENSE TERMS AND CONDITIONS FOR COPYING, DISTRIBUTION AND MODIFICATION ● This License applies to any program or other work which contains a notice placed by the copyright holder saying it may be distributed under the terms of this General Public License. The "Program", below, refers to any such program or work, and a "work based on the Program" means either the Program or any derivative work under copyright law: that is to say, a work containing the Program or a portion of it, either verbatim or with modifications and/or translated into another language. (Hereinafter, translation is included without limitation in the term "modification".) Each licensee is addressed as "you". Activities other than copying, distribution and modification are not covered by this License; they are outside its scope. The act of running the Program is not restricted, and the output from the Program is covered only if its contents constitute a work based on the Program (independent of having been made by running the Program). Whether that is true depends on what the Program does. ● You may copy and distribute verbatim copies of the Program's source code as you receive it, in any medium, provided that you conspicuously and appropriately publish on each copy an appropriate copyright notice and disclaimer of warranty; keep intact all the notices that refer to this License and to the absence of any warranty; and give any other recipients of the Program a copy of this License along with the Program. You may charge a fee for the physical act of transferring a copy, and you may at your option offer warranty protection in exchange for a fee. ● You may modify your copy or copies of the Program or any portion of it, thus forming a work based on the Program, and copy and distribute such modifications or work under the terms of Section 1 above, provided that you also meet all of these conditions: a) You must cause the modified files to carry prominent notices stating that you changed the files and the date of any change. b) You must cause any work that you distribute or publish, that in whole or in part contains or is derived from the Program or any part thereof, to be licensed as a whole at no charge to all third parties under the terms of this License. c) If the modified program normally reads commands interactively when run, you must cause it, when started running for such interactive use in the most ordinary way, to print or display an announcement including an appropriate copyright notice and a notice that there is no warranty (or else, saying that you provide a warranty) and that users may redistribute the program under these conditions, and telling the user how to view a copy of this License. (Exception: if the Program itself is interactive but does not normally print such an announcement, your work based on the Program is not required to print an announcement.) These requirements apply to the modified work as a whole. If identifiable sections of that work are not derived from the Program, and can be reasonably considered independent and separate works in themselves, then this License, and its terms, do not apply to those sections when you distribute them as separate works. But when you distribute the same sections as part of a whole which is a work based on the Program, the distribution of the whole must be on the terms of this License, whose permissions for other licensees extend to the entire whole, and thus to each and every part regardless of who wrote it. Thus, it is not the intent of this section to claim rights or contest your rights to work written entirely by you; rather, the intent is to exercise the right to control the distribution of derivative or collective works based on the Program. In addition, mere aggregation of another work not based on the Program with the Program (or with a work based on the Program) on a volume of a storage or distribution medium does not bring the other work under the scope of this License. ● You may copy and distribute the Program (or a work based on it, under Section 2) in object code or executable form under the terms of Sections 1 and 2 above provided that you also do one of the following: a) Accompany it with the complete corresponding machine-readable source code, which must be distributed under the terms of Sections 1 and 2 above on a medium customarily used for software interchange; or, b) Accompany it with a written offer, valid for at least three years, to give any third party, for a charge no more than your cost of physically performing source distribution, a complete machine-readable copy of the corresponding source code, to be distributed under the terms of Sections 1 and 2 above on a medium customarily used for software interchange; or, c) Accompany it with the information you received as to the offer to distribute corresponding source code. (This alternative is allowed only for noncommercial distribution and only if you received the program in object code or executable form with such an offer, in accord with Subsection b above.) The source code for a work means the preferred form of the work for making modifications to it. For an executable work, complete source code means all the source code for all modules it contains, plus any associated interface definition files, plus the scripts used to control compilation and installation of the executable. However, as a special exception, the source code distributed need not include anything that is normally distributed (in either source or binary form) with the major components (compiler, kernel, and so on) of the operating system on which the executable runs, unless that component itself accompanies the executable. If distribution of executable or object code is made by offering access to copy from a designated place, then offering equivalent access to copy the source code from the same place counts as distribution of the source code, even though third parties are not compelled to copy the source along with the object code. ● You may not copy, modify, sublicense, or distribute the Program except as expressly provided under this License. Any attempt otherwise to copy, modify, sublicense or distribute the Program is void, and will automatically terminate your rights under this License. However, parties who have received copies, or rights, from you under this License will not have their licenses terminated so long as such parties remain in full compliance. ● You are not required to accept this License, since you have not signed it. However, nothing else grants you permission to modify or distribute the Program or its derivative works. These actions are prohibited by law if you do not accept this License. Therefore, by modifying or distributing the Program (or any work based on the Program), you indicate your acceptance of this License to do so, and all its terms and conditions for copying, distributing or modifying the Program or works based on it. ● Each time you redistribute the Program (or any work based on the Program), the recipient automatically receives a license from the original licensor to copy, distribute or modify the Program subject to these terms and conditions. You may not impose any further restrictions on the recipients' exercise of the rights granted herein. You are not responsible for enforcing compliance by third parties to this License. ● If, as a consequence of a court judgment or allegation of patent infringement or for any other reason (not limited to patent issues), conditions are imposed on you (whether by court order, agreement or otherwise) that contradict the conditions of this License, they do not excuse you from the conditions of this License. If you cannot distribute so as to satisfy simultaneously your obligations under this License and any other pertinent obligations, then as a consequence you may not distribute the Program at all. For example, if a patent license would not permit royalty-free redistribution of the Program by all those who receive copies directly or indirectly through you, then the only way you could satisfy both it and this License would be to refrain entirely from distribution of the Program. If any portion of this section is held invalid or unenforceable under any particular circumstance, the balance of the section is intended to apply and the section as a whole is intended to apply in other circumstances. It is not the purpose of this section to induce you to infringe any patents or other property right claims or to contest validity of any such claims; this section has the sole purpose of protecting the integrity of the free software distribution system, which is implemented by public license practices. Many people have made generous contributions to the wide range of software distributed through that system in reliance on consistent application of that system; it is up to the author/donor to decide if he or she is willing to distribute software through any other system and a licensee cannot impose that choice. This section is intended to make thoroughly clear what is believed to be a consequence of the rest of this License. ● If the distribution and/or use of the Program is restricted in certain countries either by patents or by copyrighted interfaces, the original copyright holder who places the Program under this License may add an explicit geographical distribution limitation excluding those countries, so that distribution is permitted only in or among countries not thus excluded. In such case, this License incorporates the limitation as if written in the body of this License. ● The Free Software Foundation may publish revised and/or new versions of the General Public License from time to time. Such new versions will be similar in spirit to the present version, but may differ in detail to address new problems or concerns. Each version is given a distinguishing version number. If the Program specifies a version number of this License which applies to it and "any later version", you have the option of following the terms and conditions either of that version or of any later version published by the Free Software Foundation. If the Program does not specify a version number of this License, you may choose any version ever published by the Free Software Foundation. ● If you wish to incorporate parts of the Program into other free programs whose distribution conditions are different, write to the author to ask for permission. For software which is copyrighted by the Free Software Foundation, write to the Free Software Foundation; we sometimes make exceptions for this. Our decision will be guided by the two goals of preserving the free status of all derivatives of our free software and of promoting the sharing and reuse of software generally. NO WARRANTY ● because the program is licensed free of charge, there is no warranty for the program, to the extent permitted by applicable law. except when otherwise stated in writing the copyright holders and/or other parties provide the program "as is" without warranty of any kind, either expressed or implied, including, but not limited to, the implied warranties of merchantability and fitness for a particular purpose. the entire risk as to the quality and performance of the program is with you. should the program prove defective, you assume the cost of all necessary servicing, repair or correction. ● in no event unless required by applicable law or agreed to in writing will any copyright holder, or any other party who may modify and/or redistribute the program as permitted above, be liable to you for damages, including any general, special, incidental or consequential damages arising out of the use or inability to use the program (including but not limited to loss of data or data being rendered inaccurate or losses sustained by you or third parties or a failure of the program to operate with any other programs), even if such holder or other party has been advised of the possibility of such damages. END OF TERMS AND CONDITIONS E.3. How to Apply These Terms to Your New Programs If you develop a new program, and you want it to be of the greatest possible use to the public, the best way to achieve this is to make it free software which everyone can redistribute and change under these terms. To do so, attach the following notices to the program. It is safest to attach them to the start of each source file to most effectively convey the exclusion of warranty; and each file should have at least the "copyright" line and a pointer to where the full notice is found. one line to give the program's name and a brief idea of what it does. Copyright (C) year name of author This program is free software; you can redistribute it and/or modify it under the terms of the gnu General Public License as published by the Free Software Foundation; either version 2 of the License, or (at your option) any later version. This program is distributed in the hope that it will be useful, but without any warranty; without even the implied warranty of merchantability or fitness for a particular purpose. See the gnu General Public License for more details. You should have received a copy of the gnu General Public License along with this program; if not, write to the Free Software Foundation, Inc., 51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301, USA. Also add information on how to contact you by electronic and paper mail. If the program is interactive, make it output a short notice like this when it starts in an interactive mode: Gnomovision version 69, Copyright (C) year name of author Gnomovision comes with absolutely no warranty; for details type `show w'. This is free software, and you are welcome to redistribute it under certain conditions; type `show c' for details. The hypothetical commands `show w' and `show c' should show the appropriate parts of the General Public License. Of course, the commands you use may be called something other than `show w' and `show c'; they could even be mouse-clicks or menu items -- whatever suits your program. You should also get your employer (if you work as a programmer) or your school, if any, to sign a "copyright disclaimer" for the program, if necessary. Here is a sample; alter the names: Yoyodyne, Inc., hereby disclaims all copyright interest in the program `Gnomovision' (which makes passes at compilers) written by James Hacker. signature of Ty Coon, 1 April 1989 Ty Coon, President of Vice This General Public License does not permit incorporating your program into proprietary programs. If your program is a subroutine library, you may consider it more useful to permit linking proprietary applications with the library. If this is what you want to do, use the gnu Library General Public License instead of this License.